ランニング用GPSウォッチ5社の選び方を徹底解説!
市民ランナーにとって、必要不可欠なアイテム。その1つがランニングウォッチです。特に人気なのがGPS機能付きのランニングウォッチ。
一昔前までであれば、ストップウォッチとしての機能と一定距離をどれくらいのペースで走れたかという「ラップタイム」を計測する機能があるものが主流でした。
ですが、2012年以降、様々な機能が追加されたランニングウォッチが展開され、今ではGPS機能の付いたランニングウォッチが主流になってきまています。
それだけではなく、ランニング中の様々なデータを数値として弾き出してくれるため、自分自身を客観的に見れるアドバイザーとしてGPSウォッチを活用できるわけです。
日本市場において、GPSウォッチと言えば、エプソン、ガーミン、スントの3社。心拍計測で有名なポラールもあります。トレイルランニングやトライアスロンを含めても、この4社のうちのどれかを装着している人がほとんどです。
ランナー全体で見ると、圧倒的に多いのはやはりランキーパーやランタスティックなどのスマートフォンアプリ。ですが、スマホを装着しながら走るのは大変だ・・・という方がGPS機能のあるランニングウォッチに切り替えるケースは多く、一方でどのGPSウォッチを選べばいいのか分からないという方も多いようです。
ランニングウォッチ・GPSウォッチの人気・おすすめを徹底比較【最新版】の中では、前述の4社にTomTomというメーカーを加えた、5社GPSウォッチの各製品別の比較をしました。
今回は、この5社のブランド毎にどんな違い、特徴があるのかを見ていきたいと思います。
まずは自分に合いそうなブランドを選び、ブランドの中で自分の走る目的に合ったGPSウォッチを選ぶ、という流れがおすすめ。
今回の記事を見ていただくことで、あなたに合ったブランドが見つかるはずです。
目次
GPSウォッチ①ガーミン(GARMIN)
ガーミンのGPSウォッチの良いところは、ランニングフォームまである程度数値化できること、機能が豊富にあるにも関わらず、使い勝手が良いところ。各計測項目の時間的変化・比較が見やすいところでしょうか。
個人的に感じるのは、スントよりもカスタマイズがシンプルでやりやすいです。。
下記のデータを見ていただくと分かりますが、各計測項目が時間の変化とともにどう変化しているのかが非常に見やすい。更にランニングダイナミクス機能(ランニング中の上下動、接地時間)はガーミンのみ計測ができる項目なので、ランニングフォームが数値化できるわけです。
※ランニングダイナミクスはfenix3シリーズ、fenix5シリーズ、ForeAthlete 935、645、920XTJ、735XTJ、630J、620Jなどで計測可能。
計測には心拍ベルトもしくはランニングダイナミクスポッド(いずれも別売り。セット販売されているものもあり)の装着が必須です。630J、620Jのみタッチパネル式。
ガーミン社が出しているランニングダイナミクスの評価表を活用すると、
自分のランニング中の動作の課題が発見できるため、自分の走りを数値化し、課題を見つけたいランナーにはオススメの機能です。
筆者のデータを見てみると、接地時間やピッチに比べると、上下動が少し大きいというのが数値として理解できます。
ラップ毎にバイブレーションと共に数値を教えてくれるように設定をすることができたり、オリジナルのメニューを組めたりとカスタマイズも柔軟で、かつ設定もしやすいのがガーミンの特徴です。
他社の様々なサービスとも連携できるので、ランニングを科学したいランナーにはおすすめです。
関連記事:Garmin(ガーミン)の時計・ランニングウォッチの人気やオススメは?選び方を解説してみた
GPSウォッチ②スント(SUUNTO)
スントのGPSウォッチの良いところは、自分仕様にGPSウォッチを幅広くカスタマイズできること。SNSとの相性が良いことです。スントムービーは自分が走った履歴を3Dの動画で残してくれるので、SNS上で動画をシェアする人が多く、2015年の1月に行ったインターネット調査では、スントオーナーの9割がSUUNTO MOVIEをFacebookやTwitter、Instagramでシェアをしていることが分かっています。
※現在はReliveなど、スントムービーよりもクオリティの高いソフトウェアが誕生してきています。
スントのGPSウォッチはMOVES COUNTというアプリ内でカスタマイズをしていきます。
※アプリのデザインは圧倒的にスントが美しい!
グラフ上は心拍数の推移です、その他自分の好きな測定項目を同じグラフ上に表示させることができます。
沢山のデータを重ね合わせると、非常に見にくくなることからも、各データの推移はガーミンの方が分かりやすい印象です。
デフォルトの状態でも必要なデータを取ることができますが、例えばピッチやストライドを知りたい場合はムーブスカウントのAPP ZONEからピッチとストライドのそれぞれのアプリをダウンロードし、時計内に組み込みます。
そうすると、ランニング中も自分が今どれくらいのピッチで走っているのか、どれくらいのストライドで走っているのかを確認しながら走ることができます。
人気のアプリはAPP ZONEの上位に表示されているので、上位表示されているものの中から、目的に応じてダウンロードするのも1つの方法です。
ガーミンよりもカスタマイズの自由度は高いですが、その分設定が難しく感じるのが難点。
とりあえず数値計測ができれば良いという方よりも、しっかりと目的に応じて数値計測を行い、GPSウォッチをカスタマイズしたいというランナーにオススメのブランドです。
特にスントムービーはSNS上でも多くシェアされていて、ランニングのモチベーションを維持・向上させる意味でも活用できる優れものです。
3Dでリアルな感じが伝わってきます。
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GPSウォッチ③エプソン(EPSON)
エプソンのGPSウォッチの良いところは、とにかく使い方がシンプルで分かりやすいところです。
ランニングウォッチをカスタマイズするのが面倒だという人向けです。
今までランタスティックやランキーパーなどのスマホアプリを使っていて、GPSウォッチに移行したいというランナーで手軽に操作できるものを選ぶのであれば、エプソンがオススメ。
設定が複雑ではないため、GPSウォッチ初心者が活用するのに適しています。
自分仕様でカスタマイズして使いたい、色んなデータを取りたい方には少々物足りなさも感じるかもしれません。ただし、機能的に他社より劣っているというわけではなく、使い方をシンプルにしている、というのが大きな特徴です。
下記のキャプチャー画像はWristable GPS SF 850で計測したものです。
心拍計が時計内に搭載されているので、心拍数、最大酸素摂取量、レース予想タイムを含めて、デフォルトでも12個の数値を計測してくれます。
レース予想タイムに関しては、筆者の場合タイムが遅く出ています。
時計内に搭載されている心拍計の信憑性を得るために、スントのランニングウォッチと同時計測を行いましたが、エプソンでの計測結果は心拍数のアベレージが151bpm、最小66bpm〜最高180bpm。
一方、スントで心拍数を計測したところ(胸部に心拍ベルトを装着)アベレージが155bpm、最小113bpm〜最大167bpm。
スントの場合、胸部に心拍計を装着していること(エプソンは手首で計測)、加えて20分程走った後に上記の計測をスタートしたので、最小66bpmよりも113bpmの方が信憑性は高そうです。
平均ペースも5′35″/kmということで、180bpmが出るほどのペースでは無いため、正確性という意味では△という判断です。
※下記のガーミンとスントの解析データを見ていただくと、平均4′28″/kmで5㎞走っている時の平均心拍が167bpm、平均4′47″/kmで12.6㎞走っている時の平均心拍が169bpmということなので、5′35″/㎞は比較的ゆっくりとしたペースだと考えることができます。
関連記事:エプソンから新型GPSウォッチWristable GPS SF−850が発売開始!
GPSウォッチ④ポラール(Polar)
心拍計測のパイオニアとして有名なのが、Polar(ポラール)のGPSウォッチです。今ではほとんどのGPSウォッチメーカーが光学心拍機能を搭載したGPSウォッチをリリースしています。
元々は胸部に装着する心拍ベルトを通じて、心拍数を計測していましたが、時計の裏側にある光センサーで脈拍を感知し、日常生活やランニング中の心拍数を把握できるようになりました。
ポラールはアスレティックトレーナーやストレングスコーチなど、いわゆる専門家も多く使用しているブランドであり、心拍数で運動強度を把握しながらトレーニングを行うということをいち早く提唱してきたメーカーです。
光学心拍に関しても、精度の高い計測を実現するために、様々な努力をされています。
2018年年末からはGPSウォッチでランニングパワーが計測できるようになり、ランニングやトライアスロンなど、持久系アスリートのパフォーマンス向上を目的とした、様々な機能を追加しています。
専用のソフトウェア上で、各アクティビティに関する情報を取得できるのはもちろん、目標までのトレーニングを提案してくれたりもするので、心拍数などのデータを元に、本格的にトレーニングしていきたい方にオススメです。
トレーニングプランに関しては、最初に自身が目標とするレースを5km、10km、ハーフマラソン、フルマラソンの中から選択。
1週間当りのトレーニング頻度、時間、トレーニングのレベル(とても軽い、軽い、まあまあ激しい、激しい)の中から選択すると、目標までにどんな頻度で、どんなトレーニングをすれば良いのか?を自動的に出してくれるものです。
自身でトレーニングすることもできますが、ソフトウェアが弾き出すプログラムを参考にトレーニングするのも参考になるのではないでしょうか?
関連記事:Polar(ポラール)の Vantage Vが新たに搭載した次世代のランニングウォッチ機能とは?
GPSウォッチ⑤トムトム(TomTom)
TomTom製GPSウォッチの良い所は、機能面を必要最低限に絞り込み、さらにボタン箇所を1箇所に集約したことで抜群の操作性を誇ります。
機能面を絞り込んだと書きましたが、ペース、距離、時間、心拍数、ラップ、高度計測などランナーに必要な情報は全て提供してくれます。多くのGPSウォッチは機能が沢山ありすぎて、人によっては使いこなすのが非常に大変です。
さらに、多くのGPSウォッチからは様々なデータが算出されるわけですが、その数値から「何が読み取れるのか?」は専門家か運動生理学等の勉強をしていない限り、なかなか理解できません。
その代わり、ウルトラマラソンを走る、データ管理を重要視するランナーには向かないとも言えるでしょう。
GPSウォッチを選ぶ際に最も気になるのは「GPSが正確に取得できるのか?」「心拍(脈拍)は正確に取得してくれるのか?」ではないでしょうか?
TomTomは自動車・個人向けナビゲーションシステムと地図情報では、欧州有数の企業であり、世界で初めてスポーツウォッチに心拍計を取り入れたメーカーです。
なので、「GPSが正確に取得できるのか?」「心拍(脈拍)は正確に取得してくれるのか?」という問いに対しては、しっかりと期待に答えてくれるでしょう。
GPSウォッチを使ってランニングを開始する時に、GPSの立ち上がりが遅くてストレスを感じることが多々ありますが、TomTomのGPSウォッチにはQuickGPSfixという機能があり、正確な位置をすばやく特定し、アクティビティを開始できるようになっています。
管理画面も1画面で全ての測定項目が見えるため、分かりやすい。地図上に距離表示をしてくれるアプリはTomTomのみ。他のGPSウォッチのアプリには無いポイントです。
関連記事:TomTomアドベンチャー【GPSウォッチ体験レビュー】
まとめ
今回はGPSウォッチを展開している5社を比較してみました。大きな特徴をそれぞれ比較すると
①ガーミン・・・ランニングフォームが数値化できる。各計測項目の時間的変化・比較がしやすい。
②スント・・・自分仕様にGPSウォッチを幅広くカスタマイズできる。SNSとの相性が良い(スントムービー)。
③エプソン・・・使い方がシンプルで分かりやすい。
④ポラール・・・心拍計測の老舗ブランドであり、ランニングパワーなどの新しい機能を追加している。
⑤トムトム・・・デザインと操作性に優れ、音楽等を聴きながら走りたいランナーとの相性が良い。
これらの項目に加え、価格やデザインなどの検討項目も加わることでしょう。
GPSウォッチを実際に活用できている人というのは意外に少なく、GPSと時間と距離、ペースを把握するアイテムと化しているランナーがほとんどです。
ランニングパフォーマンスを改善できる要素は沢山詰まっていますから、ぜひご自身の目的に合ったGPSウォッチを選び、活用してみてください。