低酸素トレーニングから約1ヶ月で最大酸素摂取量(VO2max)はどう変化したのか?
ランニングパフォーマンスの向上には、
①最大酸素摂取量(VO2max)
②無酸素性作業閾値(AT値)
③ランニングエコノミー
の3つの要素を高めていくことが鍵になります。
ただし、それぞれの項目を厳密に計測しようと思った場合、専門施設での測定が必要です。
ですが、最近ではGPSウォッチ等のウェアラブルデバイスを活用して、簡易的に予測値を出すことが可能になってきました。
3つの項目の中でも、私たち市民ランナーに最も馴染みがある項目が①の最大酸素摂取量(VO2max)ではないでしょうか。
最大酸素摂取量とは、体重1kgあたり1分間に取り込むことのできる最大の酸素量のことです。
つまり、体内に取り込める量が多ければ多いほど、基本的にはランニングパフォーマンスが高いことになります。
その最大酸素摂取量はGPSウォッチ等のウェアラブルデバイスを使った心拍計測によって、ある程度予測が可能になりました。
最大酸素摂取量を計測するには、通常酸素マスクを装着して、ランニング中の呼気を採取する必要があります。
なので、「心拍数から最大酸素摂取量を予測することができるの?」と思う方がいるかもしれません。
ですが、ランニング中の心拍変動からGPSウォッチユーザーの最大酸素摂取量の予測を可能にしているFirstbeat社のホワイトペーパーによると、心拍計測から最大酸素摂取量を算出する方法は実験室で計測した結果の95%の精度を誇るとされています。
※ただし、算出のためのアルゴリズムに関しては書かれていません。
では、どうすれば心拍計測をもとにした最大酸素摂取量が向上するのでしょうか?
簡単に解説すると、要は以前よりも低い心拍数で速く走れるようになればいいわけです。
もしくは、仮に同じスピードで走っていたとしても、以前より低い心拍数で走れていたらパフォーマンスは向上したと判断できます。
とはいえ、特にトレーニング歴が長くなってくると、最大酸素摂取量をトレーニングで高めることは簡単ではありません。
時にはインターバルトレーニングなど、高強度のランニングが必要になる場合だってあります。
関連記事:最大酸素摂取量(VO2max)を高めるためのマラソントレーニングとは?
以上を踏まえて、ここ数ヶ月の最大酸素摂取量(VO2max)の推移を見てみましょう。
2月の現段階で私の最大酸素摂取量は57ml/kg/minです。
「優れている」と書かれていますが、相対値での話です。絶対値ではまだまだ・・・。
低酸素トレーニングをスタートした12月は52ml/kg/minと9月~11月の54ml/kg/minから少し下がっていますが、1月に55ml/kg/min、そして2月の57ml/kg/minと徐々に向上しているのが分かります。
過去1年間を振り返ってみても、この2月の数値が最高値となっています。
心拍数から最大酸素摂取量を推定しているので、気温や湿度といった外部要因が結果に大きく影響してきます。
もちろん、夏場のデータと冬場のデータを比較をすると心拍反応は異なるため、信憑性に欠けるわけです。
ですが、同じ冬場(12月~2月)で比較をしているので、外部環境の影響は少ないと言っていいのではないでしょうか。
また、光学心拍計を使ってダッシュをすることで、一時的に最大酸素摂取量の予測値を上げようとしたわけでもありません。
※光学心拍計は身体の末端で心拍(脈拍)を計測しているので、ダッシュなどを行い、急激に運動強度を上げようとすると、上手く反応せず低い心拍数を記録することがあります。
では、最大酸素摂取量を上げるために、この数ヶ月で相当ハードなトレーニングをしたのか?というと、いわゆるインターバルトレーニングは一度も実施していません。
屋外のトレーニングはウルトラトレイル を想定して、基本的に長くゆっくり走ること。
そして、ジムでのランニングに関するトレーニングは標高3,000mの低酸素環境の中、傾斜(10%~30%)をつけた状態でゆっくり走るか、歩くトレーニングを実施しています。
※12月中は低酸素環境でのトレーニングを計6回、1月は10回実施。
もちろん、ランナーが心拍数だけで運動強度を判断するのは限界がある!にも書いたように、心拍数だけでランニングパフォーマンスの向上を判断することもできません。
ですが、今回ランニングパフォーマンス向上という文脈で、分かりやすい結果が出たので、共有をさせていただきました。
今回は最大酸素摂取量(VO2max)という切り口で解説をしてきましたが、また違った切り口でランニングパフォーマンスについて考えてみたいと思っています。
2月の下旬にはASICS Sports Complex RUNNING TESTを実施する予定です。
最大酸素摂取量の計測はできませんが、総合的にランニングパフォーマンスや筋力・パワーなどの項目がどう変化しているのか?チェックしていきましょう。
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