【保存版】ランニングで膝の痛みが起きてしまったら必ず実施したい具体的対処法の全て!
一般ランナーがランニングをしている中で抱える大きな悩み。それは「膝の痛み」。
ランニング中に膝を痛めてしまった場合は、怪我の対処法を知りたい!というランナーが多いですし、膝を痛めていない人でも、できれば怪我はしたくないと思っているはずです。
事実、今現在膝に痛みを抱えていなくても、ランニング中に膝を傷めたくないという不安も筆者のもとに多く寄せられています。
ザムスト(日本シグマックス)が大阪マラソンEXPO2014で行った1159人のランナーに対するアンケートによると、約80%のランナーが膝に何らかの不安を感じていると回答。
「痛みや不安を感じる箇所」については、1位が膝の外側(23%)、2位膝の内側(20%)、3位が膝のお皿の下(14%)と続きます。
日本陸上競技連盟医事委員会トレーナー部が実施した「陸上競技における外傷・障害アンケート調査」においても、膝関節の傷害発生件数は全体の約20%と、2番めに多く(一番多かったのは下腿部(膝から下、足首より上でふくらはぎやすね、アキレス腱などを指す)だった)とのこと。
知っておきたいランニングで起きる膝の痛み・怪我ベスト3に紹介してある通り、ランニング中に起きる膝の怪我は診断名が付くものはもちろん、診断名がつかないような症状を訴える方も多くいらっしゃいます。
痛みが出てしまった後、再度ランニングをリスタートさせるためにどうにかしたいんだけど、具体的にどんな対処をすればいいのか分からない・・・という方も。
そこで今回はランニング中に起きてしまった膝の痛みに対処する具体的な方法を、順を追って紹介していきたいと思います。
尚、今回の記事コンテンツは膝の痛みを抱えているランナーだけでなく、「膝の怪我をしたくない!」というランナーの方にも役に立つはずです。
「敢えて、自分自身で対処するならどうすればいいのか?」という問いに対する1つの考え方として紹介していきます。
もちろん、医学的な知識が無いのに、全てを自己解決できるわけではありません。
ですが、自分自身が医療機関に行った際に、専門家が下記の流れで怪我を診てくれるかどうかは、ちゃんと診てくれているのかどうかの1つの判断基準になるはずです。
もしあなたが、マラソンやランニングで膝の痛みに悩まされているのなら、きっと復活までのプロセスが明確になることでしょう。
目次
処置編
アイシング
まず、ランニング中、もしくはランニング後に
「膝に痛みが出てしまったな・・・」
という時には、アイシングで様子を見てみましょう。
走り終わった後に、氷で痛みが出ている箇所を冷やします。
冷やし方は、ビニール袋に氷を敷き詰めて、袋の空気を抜いてから患部にあてるか、アイスバッグを使って冷やしても構いません。
袋の空気を抜く理由は、氷と患部とがしっかりと密着するようにするためです。
アイシングに関しては、詳細を改めて記事にする予定ですが、
ダメージを最小限に留めておくための応急処置として捉えておくと良いでしょう。
ポイントは、目安として15分〜20分程度、冷たさで皮膚感覚が麻痺するところまで冷やすこと。
慣れないうちは痛いですが、時間が経つに連れて痛みも気にならなくなってきますので、上記の時間を目安に冷やします。
アイシングのし過ぎも良くないので、20分以上はアイシングをしないほうが無難です。
病院へ行く
アイシングをしても痛みが治まらない、もしくは走るとすぐに痛みが出てしまうという方は、一度病院(整形外科)を受診しましょう。
専門的なアドバイスが出来る人に一度相談するというのも1つの手です。
ランニング中に膝の痛みが出るということは、必ず何らかの原因があるはずです。
原因が分からなければ、仮に痛みが無くなったとしても、怪我を繰り返してしまう可能性があります。
もしかしたら、どこかの筋肉が弱いのかもしれませんし、硬いのかもしれません。疲労骨折していた、ということだってあり得ます。
ですから、確認という意味も含めて、迷った時は受診しましょう。
マラソンで怪我したランナー必見!絶対に失敗しない病院の選び方という記事の中で、どんな病院に行けばいいのかを解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
原因が分かったら、あとは対処の方法が見えてきますので、それに従えばいいだけです。
この時点で整骨院や治療院などを活用するのも良いでしょう。
ストレッチ
ランニングやマラソンをやっている人の中には身体が硬い人も少なくありません。
身体が硬いことが原因で膝に痛みが出ているケースも多いので、怪我をしている、していないに限らずですが、しっかりストレッチをしておきましょう。
膝が痛いというと、どうしても膝ばかりが気になってしまいますが、膝以外の箇所に問題があるケースが多く、やはりここでも痛みの原因をしっかりと探っておく必要があるわけです。
ストレッチのやり方に関してですが、
短時間で実施できる!ランニングに必要な下肢のストレッチ7選の中で、太ももや股関節周囲のストレッチの方法を動画でお伝えしていますので、参考にしてみてください。
トレーニング(筋トレ)
最後にトレーニング(筋トレ)。
どこかが弱くなっていたり、うまく働かない状態であれば、鍛えるもしくは使えるようにする必要があります。
ただでさえ、ランニングをすると体重の3〜4倍のストレスが身体にかかるわけですから、怪我を予防するという意味でのトレーニングと怪我をした状態からさらにパワーアップして復帰するという両方の意味でトレーニングは重要です。
膝に痛みが出た場合は、太ももの前の大腿四頭筋を鍛えるといい、と言われています。
それは、膝のお皿周辺に痛みが出ている場合に、お皿の上を通過する筋肉(大腿四頭筋)を鍛えてあげることで、膝にかかるストレスを軽減できるという理屈です。
太ももの前の筋肉を鍛えることはもちろん重要ですが、まず痛みが出ている原因は何か?
というのがわかると、対処の方法もより明確になります。
ここでは、あくまで一般論で太もも、お尻周りの筋肉を鍛える!ということでお伝えをしておきます。具体的には、
マラソンのパフォーマンスアップに必要な筋力トレーニング5選【下肢編】の中で、トレーニングの方法を動画で解説していますので、参考にしてみてください。
ポイント:筋トレは怪我の予防もパフォーマンスアップにも効果があるので、取り組むことで一石二鳥の効果が得られるわけです。
問題解決編
痛みの詳細を知る
どんな場面で膝が痛くなったのか?
まず最初に把握しておきたいのが、どんな場面でその膝の痛みが出るようになったのか?ということです。
ランニング中に痛くなったと言っても、どの場面で痛くなったのかが明確に分かっていると、解決策を出しやすいわけです。例えば、右足を着地した瞬間に違和感が出たのか、右足が地面から離れて(Take Off)、膝を曲げた時に痛めたなど、痛みが出たポイントをできる限り思い出してみてください。
中には、走っている時は痛くなかったけれど、次の日の朝起きたら痛かった、などもあるでしょう。
いずれにしても、痛みが出てしまった「きっかけ」を把握しておきましょう。ということです。
膝のどこが痛いのか、どんな痛みなのか?
次に、「膝の痛み」の中で、具体的にどこが痛むのか、膝の外なのか、お皿の上なのか、ピンポイントで痛いのか、広範囲に広がる痛みなのか?を把握します。
もう1つは、痛みの種類です。例えば、ズキズキするような痛みとか、重だるいような痛みとか、力が抜けるような痛みとか、ここでは感覚的な訴えでになる場合が多くなります。
どんな時に痛むのか、どんな動作の時に痛むのか?
痛みが出たきっかけを把握することも大切ですが、その後「どんな動きで痛みが出てしまうのか?」も大切な要素です。何もしなければ痛くないし、歩いてても痛くない。だけど走りはじめて10分位すると、痛みが出るということもあるでしょう。
逆に、走り始めは痛みが出るんだけど、走っていると徐々に痛みを感じなくなるというケースだってあり得ます。
どんな時にどんな動作で痛むのかを、できるだけ自分の言葉で説明できると良いでしょう。
痛みの原因を探る
痛みの原因を探ると言われても、何の知識も無いまま原因追求ができるはずはありません。ここでは、普段の姿勢や自分自身の動きの癖を発見することが目的です。
現時点で膝に痛みを抱えていたとしても、「膝が痛い=膝に原因がある」とは限りません。膝を打撲したなどでない限り、ランニング中に起きた怪我の多くは、膝以外に原因があると言っても過言ではありません。
ですから、膝を診て、膝に電気をあてる、膝をマッサージするなどだけを行ってもあまり効果がありません。仮に電気治療やマッサージ等で痛みが引いたとしても、根本的な問題の解決とはなっていないため、再度膝の痛みを訴える可能性が高くなります。
ではどうすればいいのか?
ここでは立った状態での姿勢を見ることと、簡単に動きの癖を見る方法として2種類の動作をご紹介します。大切なのは、これからご紹介する立った状態での姿勢と2つの動きを「客観的に見る」ことです。自分の姿勢や動きは自分では分かりません。ですから、誰かに写真や動画を撮ってもらうか、自分自身で客観的に姿勢や動きが確認できるように撮影しておきましょう。
立った状態での姿勢
走り方や練習・トレーニング以前に、そもそもの骨格が怪我をしやすい状態になってしまっている人がいるのも事実です。
例えば、極端に膝がO脚になってしまっている場合や、足がオーバープロネーション(足が内側に倒れて、土踏まずが潰れている状態)の人などです。
実際に真正面と横、できれば後ろから全身が写るようにして、裸足で撮影をします。
もちろん足だけでなく、肩や首の傾きなど左右で違いがないのかなどの情報を収集しましょう。
スクワットテスト
まず最初に確認したい動きは「スクワット」です。スクワットはあらゆるスポーツ動作の基礎となる動きです。ランニング動作と同じように、足首、膝、股関節を連動させながら、身体をコントロールして動作を行わなければなりません。
「スクワットってどんな動き?」
という方のために、イメージと簡単な解説を動画で撮影しました。
実際に、動画を撮影しながら、スクワットの動作をやってみましょう。大切なのは、動きを意識し過ぎないということです。
ここでは、動きの癖を見つけるのが目的ですから、きっちりと動作をこなす必要がありません。
テストのやり方はこちらの動画をご確認下さい。
それではやってみましょう。
片足スクワットテスト
スクワットの動作を確認できたら、次に片足立ちの状態で行う片足スクワットを実施します。
なぜスクワットだけではなく、片足で実施する必要があるのでしょうか?それは、ランニング動作は片足着地の連続だからです。片足で着地した際に身体をコントロールできなければ、どこかしらに過剰のストレスをかけてしまいます。
なので、片足でのスクワットでしっかりと動きをコントロールできているかどうかの確認が必要になります。
片足スクワットのイメージと簡単な解説は下記の動画を御覧ください。
それでは、スクワット同様に動画で撮影しながらやってみましょう。
これら2つの動きを細かく見ようとすると、身体に対する理解が必要になり非常に大変なので、スクワットや片足スクワットをする際に「身体をしっかりコントロールでできているかどうか」をチェックします。
動作中にバランスを崩してしまう、膝が内側に入ってしまう、骨盤の動きが悪い、背中が丸まってしまう・・・などの動きが確認されたのであれば、必ずどこかの筋肉が硬くなっているか、弱くなっているはずです。
単純に考えれば、硬くなってしまった筋肉はストレッチ等で元の長さに戻してあげる必要がありますし、筋肉が弱くなっているのであれば、鍛えてあげる必要があります。
※O脚やオーバープロネーションが強いなどの骨格的な問題がある場合は、インソール等で姿勢や動きをある程度コントロールしてあげることも非常に重要になってきます。
原因に対するアプローチ
原因に対するアプローチは多々ありますが、まずは「処置編」で紹介してあるように、自分自身でできるケアをしっかり行っていきましょう。
怪我の多いランナーの多くは、ストレッチやアイシングなどの基本的なケアを疎かにしているケースがほとんどで、走ったら走りっぱなしという人が多いのが現状です。
アールビーズが12,100人に対して行った「ランナー世論調査2015」では48.3%の人が、日常的にストレッチやマッサージなどの身体のケアを行っていないと回答しています。
膝の痛みが出るということは、日頃のセルフケア不足ということもありますので、徹底して実施しましょう。
今回は膝の痛みの中で、多くのランナーに発症しているランナー膝(膝の外側に痛みが出るケース)、鵞足炎(膝の内側に痛みが出るケース)、ジャンパー膝(膝のお皿の周りに痛みが出るケース)を含んだ膝の怪我に対してどんなアプローチをしていけば良いのかをご紹介していきます。
※3つそれぞれの怪我の詳細は知っておきたいランニングで起きる膝の痛み・怪我ベスト3を御覧ください。
ストレッチ編
主にお尻や太ももといった、股関節の周りにある筋肉をストレッチしていきます。ランナー膝の場合は特にお尻周りの筋肉が原因となる場合も多く、鵞足炎は太ももの裏(その中でも内側)、ジャンパーズニーは太ももの前が硬くなってしまっているケースも多く見受けられます。
今回は数あるストレッチの中で5つだけ、非常に簡単にできるものを紹介しました。ぜひ、どれか1つだけをやるのではなく、5つ全てを実践するようにしてみてください。
お尻周りのストレッチ①
お尻周りのストレッチ②
股関節前面&太ももの前のストレッチ
太ももの前のストレッチ
太ももの裏のストレッチ
今現在、膝が痛くてランニングができないという方は、お風呂上がりなどの時間を使って、各ストレッチを1分ずつ程度しっかり伸ばしていって下さい。
膝に不安がある方や、膝の怪我を予防したい方はランニングの前後にもしっかりとストレッチをしておきましょう。
トレーニング編
ストレッチ同様に、主にお尻や太ももといった、股関節の周りにある筋肉をトレーニングしていきます。
リハビリやトレーニングの種類自体は非常に多くあるわけです。
さらに、膝を痛めてしまった原因に対して、どうプログラムを作っていくかは人それぞれ異なります。ですが、中でも一般ランナーの方によく見られる状態としては、膝のお皿の上内側にある内側広筋と呼ばれる筋力が弱くなっている場合と、お尻の側面にある中殿筋と呼ばれる筋力が低下している場合があります。
内側広筋は膝のお皿をしっかり安定させる役割を持っていますし、中殿筋は片足で立った状態の時に身体のバランスを保ってくれる働きがあります。
もちろん、他にも様々な要因がありますが、ランナーの中で特に筋力が低下しやすい。内側広筋と中殿筋のエクササイズについて、ご紹介をしておきます。
内側広筋のトレーニング
中殿筋のトレーニング①
中殿筋のトレーニング②
上記3つは座った状態や横向きで寝ている状態でのトレーニングです。ランニングは立った状態での動きになりますので、最終的にはランニング動作中も内側広筋や中殿筋がしっかり働いている必要があります。
スクワットや片足でのスクワットで、今の自分のバランス感覚が把握できたと思うので、もし上手く動きをコントロールできていなかったのなら、1つの判断基準として、スクワットや片足でのスクワットがしっかりできる状態を作っておきましょう。
スクワット
片足スクワット
自分の動作と比較してみましょう。
まとめ
今回の記事はいかがだったでしょうか?情報量が非常に多くなってしまいましたが、今回はランニング中に起きてしまった膝の痛みへの対処法を順番に解説してきました。
※実は、今回ご紹介した痛みの原因を探るとことまでの流れは、膝の痛みにかぎらず、例えばふくらはぎや腰痛などでも同じです。
順番に紹介はしましたが、ベストは痛みが出た時点で一度医療機関(整形外科)を受診することです。
例えば、あなたがもし疲労骨折をしていたら、仮に効果的なエクササイズをしていたとしても症状の悪化を助長してしまうだけです。
ご自身で怪我の原因を突き止めるには例え医学的な知識があっても、主観や感覚で判断するのは限界があります。
怪我をした際は「弱くなってしまった筋肉を鍛える」「硬くなってしまった筋肉や関節などを伸ばす」ことが必要ですが、それだけではなく、休んで症状の回復を待たなければどうしようもないケースだってあるわけです。
また、自分では「こう動いているはずだ」と思っていても、自分の感覚と実際の動きがズレている事も多々あります。
ですから、客観的な評価をもとに、適切な解決策を講じていくほうが、膝の痛みを取り除くためには、時間的にも近道ですし、結果的にコストパフォーマンスも高くなります。
エクササイズはある程度のパターン化はできても、そのエクササイズが適切かどうか、本当のところは分かりません。
筋肉の強さや弱さ、柔軟性の有無、オーバープロネーションやO脚など骨格の違い、動作の癖、練習量などが複雑に絡み合い、結果として「痛み」となって出てしまいます。
セルフケアなど、自己管理を徹底しつつ、自分でできないことは「無理に」自己解決しようとせずに、専門家に相談するようにもしてみてください。