ランナー必見!スポーツサングラスの選び方をプロに聞いてみた!
ランナーの中にも、スポーツサングラスをかけてレースに参加したり、練習をしたりする方が増えてきました。
同時に、スポーツサングラスにも色んなメーカーがあり、メーカーの中にも色んなフレームが存在します。
スポーツサングラスの種類が多い、ということは選択の幅が広がるので、一見メリットの方が多いような気がします。
ですが、種類が多すぎて、どのメーカーやフレーム、レンズを選んで良いのか分からない・・・。という悩みが同時に出てきてしまいます。スポーツサングラスの選び方はどうしたらいいんだろうか・・・と。
前回の記事では「ランニングシーンでスポーツサングラスが手放せなくなる5つの理由」というテーマで、そもそもなぜランナーにスポーツサングラスが必要なのかを伺いました。
今回も、東京・上野にあるスポーツサングラスのプロショップ、オードビーのオーナー佐藤さんへのインタビュー、第2回目ということで、私達ランナーがどういった観点でスポーツサングラスを選べば良いのか?さらには、サングラスを長持ちさせるための手入れの方法まで解説をしていただきました。
前回の記事をご覧になっていない方は、ランニングシーンでスポーツサングラスが手放せなくなる5つの理由をご覧ください。
※今回もスポーツサングラスのプロショップ、
オードビー佐藤さんのインタビュー記事をお送りします。
スポーツサングラスの選び方
浦中:
(前回のインタビューの続きから)
では、次にお聞きしたいことがあるんですが、ランナーがサングラスを選ぶ際のポイントを教えていただけますか?
佐藤:
商品が良いものというのはレンズが良いものですね。やはり、ものを作るという時に、高いものと安いものの差って出てくるじゃないですか。なので、その差というのは「作り込み」であるとか、例えばスポーツサングラスの多くは、フレームを作る時に、インジェクションと言って、型に素材を流し込んでフレームを作るわけなんですけど、その時のベースとなる型自体がすごく高いものだと、キレイなものが出来上がります。
サングラスメーカーのオークリーなどが高いのは、型代ですね。そこにお金をかけている。
他の安いものと何が違うのかというと、細かい部分の作りの精密さが違ってきます。
それは性能などの違いというよりも、見栄えの良さなんですよね!
洋服でもそうじゃないですか、作り込みで「何でこんなに高いの?」と言った時に、生地の作りこみだったりする。
目に見えないものの価値ですよね。
サングラスで言うと、あとはレンズですね。レンズ自体は性能によって値段が変わってきます。
値段の高いものは、NXTという素材が割れない素材として有名です。スポーツサングラスは基本的に今はNXTという素材を使っています。
浦中:
NXTの特徴としては「割れない」という認識で大丈夫ですか?
佐藤:
そうですね、割れないということとプラスチックであるということですね。
従来使っていたポリカーボネットという素材があるんですが、サングラスのレンズとしては価格の安いものにあたります。
今、スポーツサングラスのレンズの中でトップの素材はNXTです。ポリカーボネットからNXTに主流が移ってきた。
値段が高いものと安いものという見方をすると、素材の差になってきます。
ただ、選ぶときに関して言うと、基本的にはデザインで選んでもらって大丈夫です。
今は安いものでも、レンズの性能は凄く上がっているので、UVカットをしていないというレンズはまず無いと言っていいです。なので、安いレンズであっても紫外線に関してはそんなに心配はいらない時代になっています。
浦中:
ちなみに、レンスの種類や特徴はどんなものがあるんですか?
佐藤:
一般的にジョギングやマラソンで言うと、色の濃いものを選びますよね?眩しさ避けや表情を悟られないようにするために。
紫外線に関して言うと、今は透明なレンズでも実は紫外線は100%カットできるんですね!スポーツタイプのサングラスであれば、フレームが曲線を描いているので、顔にフィットするようにできていますから、横からも紫外線は入ってこないので、透明なレンズでも問題ないんです。
無理に色の濃いレンズを使う必要もない。あまり色の濃いものを使ってしまうと、物を良く見ようとしてしまうので、瞳孔が開いてしまいます。なので、逆に良くないんです。
オススメなのはレンズに色があまり付いていないものの方が良い。天候など、状況の変化によって対応ができるので。初心者の人はどちらかと言うと、色がそんなに濃くないものの方がいいですね。
※サングラスには豊富なレンズ(色)・フレームがある
浦中:
では、レンズの色の濃いものを選ぶメリットとしては、眩しさ避けができるということだけなんですね!
佐藤:
はい、それだけです。結局、レンズの色の濃いものを買ってしまうと、晴れの日しか使えなくなります。曇っていても紫外線が強いことは多いので、色の濃いものだと使えなくなってしまいます。
レンズは透過率というものが決まっていて、光をどのくらい通すのかを表示しなければなりません。表示は義務です。
浦中:
透過率はどこに表示されているんですか?
佐藤:
本来であれば、タグが付いてあります。どういう素材でできていて、どういう素材を使っていますよ、といった情報ですね。ですが、私達のお店では、全て店頭でお客様に説明ができるので付けていないものもあるんですけれど、基本的には付いています。お客様はそのタグを見て判断をするわけですね。
で、そのタグの中に透過率も表示されていて、15%が1つの基準になっていて、透過率が15%前後のものが色の濃いレンズです。30%前後が天候が曇っていてもオールマイティに使うことができるレンズです。
だいたい、この2つのレンズが多いです。なので、まずは透過率30%のものを選ぶようにすると良いでしょう。
浦中:
ちなみに、透過率まで理解した状態で選びに来る方って、いらっしゃいますか?
佐藤:
いえ、いないですね。なので、基本はお店に来ていただいて、私どもが説明をして選んでいただく形になるんですけれど、他のお店のほとんどが説明することができないので、先程申し上げましたタグを信用して選んでくださいね、という方法を取っています。
紫外線に関しては心配することがないので、ほぼどんなレンズも100%管理できてますから、あとは透過率のなるべく30%のものを選べば、晴れていても曇っていても使うことができます。
浦中:
そうすると、私も使わせていただいていますけれど、紫外線の量によって色が変わるものってあるじゃないですか。調光レンズですね。これについてはどう考えたら良いですか?
佐藤:
そこが非常に面倒な点なんですが、例えばサングラスを購入した時にレンズが3枚ついてくるケースがあるんですが、色の濃いものと透明なものと、その中間くらいの色の濃さのものが。ですが、レンズを状況によって変えることが非常に面倒くさいことがわかります。
そういう時に便利なのが調光レンズです。調光レンズは色がクリアにもなるので、夜でも使うことができます。もちろん、日中の練習の時に晴れていれば、色が濃くなるので眩しさ避けもできる。
※調光レンズの色の変化の様子。オードビーHPより。
浦中:
調光レンズは便利ですが、ベストの選択肢としては、レンズを何枚か持っていたほうが良いということですよね?
佐藤:
調光レンズというのは、非常に便利なんですが紫外線や気温に左右されるんですね。色の変わり方が。
浦中:
気温にも左右されるんですね!
佐藤:
そうです。ですから、自分の思った通りの色にならないというデメリットがあります。もっと濃くなって欲しいんだけど、濃くならないということが起こりえます。そうするとストレスが出てきてしまう。交換するようなレンズの場合は、その時の状況にあわせてベストな選択ができる。
なので、交換ができる方は、その方がいいです。その余裕が無い方は調光レンズを使うと良いでしょう。
例えば、フルマラソンのレースの場合、途中でレンズを交換することは難しいと思うので、天候が変化する可能性がるなら、調光レンズを選択するといった感じです。
浦中:
ウルトラマラソンの場合は、ある程度余裕があるので、途中でレンズを交換しても良いかもしれませんね。
佐藤:
いや、ウルトラマラソンの場合でも、途中疲れて変えるのが面倒になってしまいますよ(笑)。なので調光レンズの方が良いと思います。
浦中:
確かに、よく考えてみたらウルトラマラソン(100㎞)の場合は、スタートが日の出前なので、確かに調光レンズですね(笑)!ちなみに、レンズによって値段も変わってくるものなんですか?例えば、色の濃いもの単体と、調光レンズの場合はどちらの方が高いんですか?
佐藤:
はい、値段は変わりますね。調光レンズのほうが値段は高くなります。なぜなら、調光レンズの場合、3枚分以上(透明、半透明、色の濃いもの)のレンズ機能がありますから、3つのレンズを組み合わせたものと考えると、当然高くなります。
浦中:
なるほど、調光レンズはカスタマイズ感は確かに落ちるけれど、値段は高い。その代わり、手間がかからないわけですね。
佐藤:
あとは、度付きのサングラスが必要な人の場合は、圧倒的に調光レンズがオススメですね!一回一回レンズ交換のために外せないじゃないですか。
浦中:
私の場合は、サハラマラソンに出場した際に体験しましたけど、サハラマラソンでもやはりオススメは調光レンズでしたね。日中の日差しがムチャクチャ強い時でも、全く気になりませんでした。ナイトステージもあったので、尚更ですね!
スポーツサングラスを長持ちさせる方法
それと、サングラスについては、手入れに関しても非常に大事になってくると思うんですが、より長持ちさせる方法があれば、教えていただければと思っています。まずそもそも論として、スポーツサングラスに寿命という概念はあるんですか?
佐藤:
サングラスは基本的に工業製品なので、レンズやフレームについているパーツのゴムは定期的に交換する必要があります。レンズは高額製品であり、かつ消耗品でもあります。
ポリカーボネットやNXTは全てプラスチックなんですね。プラスチックというのは、温度によって、膨張、縮小するので、絶対的に歪んでいきます。あとは、レンズに傷はついてきますから、それは目にとって良くない。なので、寿命は3年と考えて下さい。
3年位すると、調光レンズは目に見えて色の変わり方が悪くなってきます。一方で、色の濃いレンズも同じように歪が出たり、傷がついたりして性能は落ちているんだけど、付けている側としては分からない。
なので、調光レンズにしても、色の濃いレンズにしても3年位で交換をする必要があります。
浦中:
もしレンズの手入れを怠っていると、寿命は3年よりも短くなってくるんですか?
佐藤:
もちろん、そうです。
浦中:
では、ちゃんと手入れをして、長持ちをさせた状態で3年なんですね!では、レンズの寿命を1年、2年ではなく、3年持たせるための方法があれば、教えていただけませんか?
佐藤:
基本的に手入れの方法は4つしか使えません。それは、お水、中性洗剤、ティッシュ、メガネ拭き、この4つだけです。
ただし、まず水洗いをすること。水洗いをして、ゴミや砂を取り除きます。汚れがひどい場合は中性洗剤を使うようにします。洗った後の処理に関しては、ティッシュを使って大丈夫です。ティッシュは水気を取るために使います。水気をキレイに取っておかないと、水垢が残りますし、フレームに金属を遣っている場合はサビてしまう。
水洗いをする前にティッシュを使ってしまうと、レンズに傷が付いてしまうので、まずは水洗いをします。ティッシュでキレイに水気が取れたら、最後にメガネ拭きで拭いてから保管をします。
これだけしか使うことはできないんです。
そう考えると、4つに含まれないものは使えません。例えば、中性洗剤の代わりに石鹸を使ったり、お水ではなくてお湯を使って洗うことはできないわけですね。
浦中:
なるほど!ちなみに、定期的に交換するのはレンズやゴムの部分だけでいいんですか?フレームは大丈夫なんですね。
佐藤:
フレームの部分はナイロンという素材がほぼ100%使われているんですね。ほぼ、どのスポーツメーカーも同じです。ナイロンの中にも色んな種類があるわけなんですが、石油系のナイロンは水を含むということはできないので、腐ることがありません。腐ってくるのは消耗品の部分だけです。
まとめ
今回の記事ではスポーツサングラスの選び方、レンズの機能、そして手入れの方法を佐藤さんから伺ってきました。
スポーツサングラスを選ぶポイントとしては、まずは自分の好きなデザインを選ぶことが大切だということ。
デザインを踏まえてレンズを選ぶ際には、基本的に透過率30%のものを選ぶこと(透過率はタグに表記されています)。
サングラスの手入れには①水洗い②中性洗剤③ティッシュ④メガネ拭きの4つしか使えないということが分かりました。
ぜひ、今回の記事をスポーツサングラス購入の際の参考にしていただければ幸いです。
実際にどんなサングラスを選べば良いのか直接アドバイスが欲しい方、サングラスのフレームをより自分の顔にフィットさせたい方(フレームは基本的に海外製の商品なので、日本人の骨格に合わない)は、ぜひオードビーさんまで足を運んでみてください。
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