ランニングエコノミーを高めるにはランニングフォームの修正が鍵となる!
今よりもっと速く、そして楽に走りたい!多くのランナーが求める2大欲求を満たす方法は何か?
ランニング・マラソン市場が加熱すると共に、ランナーの進化・成長欲求も加熱してきた感があります。
Dr. Joynerはランニングのパフォーマンスを決定付けるものは大きく3つあり、それぞれ
①最大酸素摂取量(VO2Max)
②乳酸性作業閾値(LT:Lactate Threshold)
③ランニングエコノミー
であるとの見解を示しています。
最大酸素摂取量とは、ランニング中に身体内に酸素を取り込んで消費できる最大値。基本的には、最大酸素摂取量が大きいほど、走りながら多くの酸素を身体内に取り込めるため、より速く走れるようになります。
乳酸性作業閾値(LT)とは、血液中の乳酸の濃度が急に上がり始めるポイントを指します。乳酸性作業閾値(LT)が高いほど、速いペースを長時間維持して走ることができるということです。
ランニングエコノミーとは、ランニング中に、いかに無駄なエネルギーを使わず、効率的に走ることができるのか、というものです。車で例えるならば「燃費」です。より少ない酸素の消費量でより速く走れれば、マラソンなどの長距離走の記録はよくなります。
今よりもっと速く、楽に走りたいのであれば、上記3つを改善していく必要があるということです。
最大酸素摂取量や乳酸性作業閾値は、所謂ランニングの練習で向上させていく必要があります。
ですが、多くの書籍等にも練習方法、トレーニング方法が記載されていますから、今回の記事中では割愛します。
今回は3つ目の「ランニングエコノミ―」に特化して考察を深めていきたいと思います。
目次
ランニングエコノミーを高めることがパフォーマンスを上げる
ランニングエコノミーは様々な要因で決定されますが、WilliamsとCavanaghの研究によると50%以上はバイオメカニクス的要因、つまり「ランニングフォーム」によって決定すると言われています。
同様に、毎日長い距離を走らなくてもマラソンは速くなる!(吉岡利貢 著)の中でも、筋繊維組成などの先天性の要素を除くと、ランニングエコノミーを決める最も大きな要素はランニングフォームです。少ないエネルギーで効率的に移動する技術が求められます。と断言しています。
Danielsもランニングのパフォーマンスを改善するには、ランニングエコノミーが重要な指標となるとの見解を示しています。
つまり、ランニングエコノミーを高めること、中でもランニングフォームを改善することがランニングのパフォーマンスを改善することに繋がると言えます。
仮に、普段から追い込む練習を積み重ね、最大酸素摂取量を高める努力をしたとしても、ランニングエコノミーが低ければ、それはエンジンが大きい燃費の悪い車と同じです。
本来持っているランニングのパフォーマンスが最大限発揮できないということになります。
走る練習だけでランニングエコノミーは高まるのか?
では、そもそもランニングを続けてさえいれば、徐々にランニングフォームは改善されるのか?
走る以外のトレーニングをする時間があったら、走る練習をした方がいい!という意見もあります。確かに、走る練習をしなければ、ランニングのパフォーマンスを高めることはできません。
ですが、ランニングフォームが未熟なまま、ランニングの距離をいくら踏んでも、間違った動作が習得されるだけで、逆に怪我のリスクが増えることに繋がるわけです。
野球のスイングでも、ただ単にバットを何千回振らせたとしても、バットを振る動作の土台ができていなければ、間違ったスイングを覚えてしまうことに繋がります。
下手なスイングを続ければ続ける程、下手なスイングが染み付き、月日が経つにつれて、修正が難しくなる。
手遅れになる前に、バットを振り込むことからスイング動作を改善する方法へとシフトしなければなりません。
同様に考えると、ランニングのためのトレーニングは、走ること以外に動きを改善するためのトレーニングが必要になってきます。
もちろん、動きを改善しようとする前に、どこのどんな動きに問題があるのかを見極める必要があります。
例えば、膝が痛むのであれば、膝が痛くなってしまった原因は何かを追求し、改善策を打つ必要があります。
ランニング中、猫背が気になるようであれば、「猫背にならないように、胸を張って走る」ではなくて、猫背になっている原因を見つけて、個別に解決していく必要があります。
やってもらうと分かると思いますが、ずっと胸を張った状態で走り続けるのは不可能に近い。
なので、ランニングエコノミーを高め、ランニングフォームを改善するためにはランニング中に改善をしようとせずに、改善のための機会を作る必要があります。
ランニングフォームを改善するために必要なこと
では、どうやったらランニングフォームを改善し、ランニングエコノミーを高めることができるのか?
ランニング中に「意識」をしてランニングフォームを変えましょう、という見解があります。例えば、腕振りを意識してこういう風に変えましょう!とか肩甲骨を意識して、股関節を意識して、体幹を意識して・・・
などなど、色んな意識の向け方があると思います。
意識すること自体は悪くありませんが、意識をしたらフォームが改善されるか?というと、そんなに甘くはありません。
ランニングフォームは、野球で言うところのバッティングフォームと同じく「スキル」です。
野球でバッティングをしたことがない人は、まず素振りから指導を受けると思います。
素振りもただ単にバットを振るだけではなく、バットを振るための身体の使い方を習得しなければなりません。
素振りでは意識してスイングをコントロールすることができるかもしれませんが、いざピッチャーの投げる球に対して、意識したスイングをしていては、対応することはできません。競技レベルが上がれば上がるほど。
ランニングは野球やサッカー等とは違って、相手の動きに合わせた対応がほとんど必要ではありません(トップレベルのアスリートは駆け引きがありますが、市民ランナーは多くの場合、自分自身との戦いです)。
ですが、同じ動作を何十分も、何時間も繰り返さなくてはならないわけです。
例えば、フルマラソン全工程で、ずっと股関節を「意識」しながら走ることが可能でしょうか?恐らく考えただけで、No.という答えが出るはずです。
つまり、意識下で動作をコントロールし続けるのではなく、無意識下でコントロールできるようにならなければ、動作を習得したとは言えません。
では、どうやってフォームを改善する必要があるかというと、
①ランニングという動作を一度分解して考えてみる
②基礎となる(筋力)トレーニング動作を習得する
③トレーニングをランニング動作に繋げていく
という大きく分けると3つのステップが必要です。
ランニングに筋トレが必要なのか?という疑問を持たれる方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
詳しくは、マラソンランナーが筋トレをすることが本当に必要なのか考察してみた!に書きましたが、基本的にトレーニングをすることによるデメリットはありません。
R.E.Johnstonらの研究によると、筋力トレーニングがランニングエコノミーの改善に有効であったことを報告しており、2,013年のJournal of Strength & Conditioning Researchによると、平均44歳のランナーにランニングの練習+筋力トレーニングを実施させると、ランニング効率が6%アップしたとの報告をしています。
他にも、筋力トレーニングやプライオメトリクス(例えば、縄跳びなどのエクササイズ)がランニングのパフォーマンス向上にプラスの影響を与えるといった研究は多く発表されています。
もちろん、筋トレをすること自体が目的ではありませんから、最終的にトレーニングをランニング動作に結びつけることが大切になってきます。
まとめ
今回の記事はいかがだったでしょうか?
上記をまとめると、ランニングのパフォーマンスを向上させるためには、最大酸素摂取量、乳酸性作業閾値、ランニングエコノミーを高める必要があり、中でも今回は、ランニングエコノミーに関する考察を深めてきたわけです。
ランニングエコノミーを高めるための1つの解決策として、ランニングフォームの改善が効果を上げていること、走るトレーニングだけでは、ランニングエコノミーの向上に限界があること、動作を分解して、フォームを改善するためのトレーニングを実施する必要性について、紹介をしてきました。
怪我をすることに対して不安がある、今現在既に怪我をしていて何か手を打たなければと思っている、日々トレーニングに励んでいるけれど、記録が伸び悩んでいる、そんな方はぜひ参考にしてみて下さい。