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ランニングの目的を「健康のため」と答えている限り、必ず挫折する!走ることを習慣化するためには何を目的にすべきか?

ランニングノウハウ
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健康の保持増進、運動不足解消のためには有酸素運動をしよう!

一昔前であれば、誰もがその情報を信じて疑わなかったはずです。ですが、特にここ数年で世の中には良くも悪くも色んな情報が出てきました。

ランニングを含めた有酸素運動は健康にプラスであるという研究報告は、沢山ありますが、例えば、

イギリス・ロンドンのキングスカレッジの調査では、週3時間以上の運動習慣のある人は、運動をしない人(週に15分以下)と比べて、細胞の寿命が約9年長くなるという結果を発表しています。

この研究結果は、誰もが信じて疑わないはずです。

ですが、ブリティッシュメディカルジャーナルやウォールストリートジャーナルでの報告の中には、長い距離(1週間に30-40km以上)を速いスピード(時速12km以上)で走ることは、健康を害し、寿命を縮めて、心筋梗塞のリスクを高め、運動不足に陥っている人に起こるのと同じような被害をもたらすようになる。

といった研究報告もあります。

他にも、「ハート」(Heart)という英国の医療雑誌の中では、

普通のランニングをした人は、しなかった人よりも、19%死亡率が低かったことが確認されたが、ハードなランニングをした人は、この恩恵を受けなかったことも観察された。との報告が上がっています。

なるほど、軽い運動であれば、健康に良いけれど、ハードな運動は健康を害するということでしょうか。

一方、リサーチ・市場調査を行っているクロスマーケティング社は、社会人のランニングに関する調査の中で、ランニング実施理由は、「健康維持のため」(65%)、「体力作りのため」(61%)との報告をしています。

l_shk_run01関東(1都3県)の20~69歳の男女を対象にした「社会人のランニングに関する調査」
※出典:クロスマーケティング

ここで1つの疑問が生まれます。

上記のリサーチによると「健康維持のため」という目的と「体力作りのため」という目的が、ほぼ同程度の割合です。ですが、健康維持と体力作りでは目的が異なるので、目的を達成するための方法も変わってきます。

健康維持ならば、軽いランニング程度で良いかもしれませんが、体力を作りのためには身体に負荷をかけなければなりません。

冒頭の「軽い運動であれば、健康に良いけれど、ハードな運動は健康を害する」という仮説が本当であれば、健康維持のためにランニングするのと、体力作りのためにランニングするのとでは、真逆の結果を生むということになるということです。

体力作りのためにランニングをしているという人でも、不健康になりたい!と思っている人は恐らくいないはずです。ですが、ウォーキングに毛の生えたような軽い運動を継続できるモチベーションは無いはず。

なぜなら、アブラハム・マズローの欲求5段階説にあるように、人間には本来「自己実現欲求」があります

つまり、始めはちょっとしたキッカケで走り始めた人でも、徐々に健康の保持増進という目的から、折角なら10㎞走れるようになりたいな、10㎞完走できたら、ハーフマラソンだったら完走できるんじゃないか!?フルマラソンを完走したい!できればホノルルマラソンで!

フルマラソンを完走できたら、次は記録を伸ばしていきたい、もしくはもっと距離を伸ばしていきたい!

などなど、徐々に当初の目的から成長・進化をしていきます。

人間には自己実現欲求があり、進化・成長する生き物だとするならば、健康維持のためにランニングをしていると答えた人は殆どがランニングが継続できないという行く末を辿ります。

なぜなら、「現状維持」には進化・成長の要素が無いからです。

事実、スポーツの秋にランニングを始めたランナー378人の内の68%が6ヶ月以内に挫折したという調査報告をスポーツメーカーであるデサントと健康機器メーカーのタニタが共同で行っています。

さらに、上記のクロスマーケティング社の調査対象に注目してみると、

関東1都3県に居住する20~69歳の男女 有職者(20~59歳のみ)
①過去1年以内にランニング経験がある
②過去1年以内のランニング経験はないが、ランニングに関心がある
③ランニングは未経験だがランニングに関心がある

つまり、ランニングを習慣にしているというよりも、ほぼランニングを習慣化できていない層に向けた調査だということが分かります。

この調査の内、ランニングを健康維持のために行っている、もしくは行いたい人は65%。ランニングを始めたランナーの68%が挫折するというデータを照らし合わせて考えると、クロス・マーケティングの調査内で答えた65%の人は、ランニングを継続できず、途中で挫折すると予想することができます。

jump_for_joy_910-resized-600※人々は何のために運動をするのか?

作家の村上春樹さんも、小説「走ることについて語るときに僕の語ること(文春文庫)」の中で、

次のようなことを語っています。

世間にはときどき、日々走っている人に向かって
「そこまでして長生きしたいかね」と嘲笑的に言う人がいる。

でも思うのだけれど、
長生きをしたいと思って走っている人は、
実際にはそれほどいないのではないか。

むしろ
「たとえ長く生きなくてもいいから、少なくとも生きているうちは十全な人生を送りたい」
と思って走っている人の方が数としてはずっと多いのではないかという気がする。

同じ十年でも、ぼんやりと生きる十年よりは、
しっかりと目的を持って、生き生きと生きる十年の方が当然のことながら遥かに好ましいし、
走ることは確実にそれを助けてくれると僕は考えている。

与えられた個々人の限界の中で、少しでも有効に自分を燃焼させていくこと、
 
それがランニングというものの本質だし、
それは生きることの(そして僕にとってはまた書くことの)メタファーでもあるのだ。
 
このような意見には、おそらく多くのランナーが賛同してくれるはずだ。

つまり、村上春樹さんに対して、「そこまでして長生きしたいかね?」と発言している人は、ランニングをやったことがないか、一度はやってみたけれど挫折をしてしまった可能性が高い。

なぜなら、「なぜそんなに走ってまで、長生きをしたいのか?」という問いは、ランニング=長生き(健康)のためにやる、という概念を持っている人が立てる問いだからです。

最初は「健康のため」に走り出したというケースもあるでしょうが、今尚ランニングを継続できている人はもっと違う何かのために走っているに違いありません。

村上春樹さんのように「たとえ長く生きなくてもいいから、少なくとも生きているうちは十全な人生を送りたい」という考えの人は少なくないはずです。

雑誌ランナーズを発行しているアールビーズ社が独自で行ったランナー世論調査2015の中で、ランニングを続ける理由TOP10として、下記のようなデータを公開しています。

スクリーンショット 2015-10-25 1.51.17※出典:ランナー世論調査2015より

このデータは12,100人のランナーから得られた回答で、平均走歴8.1年、1週間に平均で3.0回走るランナーを対象にしています。つまり、ランニングを習慣にしている人が多い層に対するアンケートと言っていいでしょう。

中でも多いのが「健康でいるため」。

ですが、注目すべきは「複数選択可」の質問であるということ。健康でいるためが最もプライオリティが高いかと言われれば、そうではないはずです。逆に、40%以上の人は健康のために走っていないとも見て取れます。

では、人間は何のために走るのか?

それは、人間に備わっている「進化・成長欲」を満たすために他なりません。

ランナー世論調査の中でも、レース出場に向けて、ウエイトコントロールのため、走力向上のため、目標達成のため、精神鍛錬のため、他競技のパフォーマンス向上のため、というのは全て進化・成長欲を満たすためでもあります。

しかも、ランニングは非常にシンプルなスポーツであり、進化・成長を数値化しやすい。

ランニングに限らず、物事を習慣化するための方法論は様々ですが、改めて人間の進化・成長欲を満たすための目標設定と、達成した時の体験(成功体験)の重要性を様々なデータから読み解くことができた気がします。

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ライター紹介 ライター一覧

浦中宏典

浦中宏典

ランナーズNEXT 編集長

株式会社ストレッチサポート 代表取締役
1983年8月12日 長崎県長崎市生まれ

高校卒業後、大学でスポーツ科学(運動生理学・バイオメカニクス)を学び、トレーナーとしてスポーツの世界で実績を積む。

主な活動実績はJR東日本硬式野球部、サントリーサンゴリアス(ラグビー・トップリーグ)、国際テニストーナメント、世界陸上大阪大会、日本大学フェニックス(アメリカンフットボール)他。2011年、サハラマラソンランナーのトレーナーとしてトレーニングと身体のケアを担当。

2011年4月に会社を設立。
テクノロジーの力でスポーツアクティビティを今より楽しくすることで、「もっとチャレンジしたくなる世の中を創る」
ために事業活動を行っている。

2015年4月に開催されたサハラマラソンにランナー兼トレーナーとして出場・完走。
2017年9月にはアメリカ ユタ州を中心に開催されるGrand to Grand Ultra(7日間6ステージ273㎞のレース)に参加し完走を果たす。

自分自身も実践者として、常に挑戦を続けている。

<メディア掲載実績>
テレビ NHKまちかど情報室
雑誌 Tarzan(マガジンハウス)
雑誌 トレイルラン2017夏号(山と渓谷社)
新聞 長崎新聞
ラジオ 中央FM
専門誌 月刊トレーニング・ジャーナル 他多数

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