【カツサプの効果】カツオペプチドでマラソンの持久力を向上させる方法論
フルマラソン以上の距離を走るマラソンやトレイルランニングに参加されるランナーであれば、レース中に何らかのサプリメントを摂取するのではないでしょうか?
レース中はエネルギー、ナトリウム、水の補給は身の安全を守る上でも必須であり、人によってはアミノ酸のサプリメントを活用する人もいるでしょう。
アミノ酸を摂取する人はレース中の身の安全を確保すると言うよりも、レース中のパフォーマンスを落とすこと無く走りたい(足の売り切れ防止を目的)、自己ベストを更新するためにサプリメントを活用しているという人の方が多いのではないでしょうか。
フルマラソンを制限時間内に完走したいという方から、記録を狙って走るランナーまで、様々なランナーがアミノ酸のサプリメントを活用しています。
市民ランナーにとって、定番になりつつあるアミノ酸サプリメントですが、ここ最近アミノ酸サプリメントに変わる(?)ものが注目を集めています。
それはカツオのサプリメント(商品名:カツサプ)です。注目を集めている成分は「カツオ・ペプチド」と呼ばれるものです。
そこで、今回はカツサプに含まれているカツオ・ペプチドに関する詳細と、ランナーがカツサプを飲むことで得られるメリットについて、具体的な活用法を含めてご紹介したいと思います。
目次
カツオ・ペプチドとは?
カツサプに含まれるカツオ・ペプチドは魚の鰹(カツオ)に含まれる成分で、乳酸の分解を促進し、疲労回復を助けます。
カツオ・ペプチドはアミノ酸が2個つながった構造で、体に最も効率よく吸収される栄養素です。
たんぱく質そのものは分子のサイズが大きいため、体内で消化吸収されるまでに時間がかかります。
ですが、ペプチドは既に分解されているため、すばやく効率よく体内に吸収されます。
また、アミノ酸と比べてもペプチドは血液中をめぐる持続時間が長いため、速やかに体に吸収され、その作用が持続するというわけです。
カツサプの飲み方
カツサプを実際のレースで活用する際の飲み方について見ていきましょう。詳細は下記の図にまとめてあります。
※マラソンとトレイルランニングのみ掲載。
フルマラソンやウルトラマラソン、30㎞以上のトレイルレースの場合、レーススタート30分以内にカツサプを2袋飲みます。フルマラソンはレース中の摂取はなく、ウルトラマラソンや30㎞以上のトレイルレースは20㎞毎にカツサプを飲んでいきます。
特にフルマラソンで記録を狙いたいランナーであれば、レース中のサプリメント摂取は極力減らしたいはずです。カツサプを利用することで、より走りに集中することが可能というわけです。
ロングレース中に使用するのであれば、顆粒を口に入れた状態で水で流し込むか、60〜150mlの水に予めカツサプを溶かしておき、飲むことも可能です。
カツオ・ペプチドと乳酸
ランナーのパフォーマンスを決定づける3要因の1つとして、乳酸性作業閾値(LT)という指標が存在します。
参考:乳酸性作業閾値(LT)を計測しランニングパフォーマンスを向上させるには?
乳酸性作業閾値(LT)とは、血液中の乳酸濃度が急激に上がり始めるポイントです。このLT値の出現が遅くなればなるほど、乳酸が溜まりにくい身体であると言うことができます。つまり、ランニングパフォーマンスを高めるためには、LT値を高める必要があるわけです。さらに、LT値はトレーニングによって向上します。
身体に乳酸がたまると、思うように身体が動かなくなるイメージをあなたは持っているはずです。乳酸がたまること=悪いこと、もしくはパフォーマンスが落ちる原因だと考えがちですが、実は乳酸がたまることは良い側面もあります。
というのも、乳酸は分解されることでエネルギーに転換されます。なので、乳酸がたまっても分解スピードが速ければ、より多くのエネルギーが得られるということです。つまり、エネルギー補給が必須の長距離ランナーは、乳酸を味方につけると良いわけです。
乳酸が溜まるということは、乳酸の分解よりも乳酸の生成の方が優位であるということです。なので、ランニングのパフォーマンスを高めるためには、いかに乳酸をためないようにするのか?を考えると同時に、いかに速く乳酸を除去できるかを考える必要があります。
そこで効果を発揮するのがカツオ・ペプチドという成分を含んだカツサプです。
横浜スポーツ医科学センターで行われた研究によると、ランニング歴2-8年の市民ランナーに対し、運動前に「カツオエキスを摂取しない状態」と、「カツオエキスを摂取した状態」の二つの条件でLT値の計測を行ったところ、カツオエキスを摂取した場合の方がLT値が有意的に高くなったことが報告されています。
カツオペプチドを摂取したほうが、乳酸の蓄積を遅らせることができたわけです。
つまり、カツオエキスは運動中の乳酸(エネルギー源)を効率よく分解して、運動持久力向上の可能性があることを示唆しています。
カツサプと筋肉ダメージの軽減について
マラソンレースやトレイルレースでは距離が長くなればなる程、筋肉へのダメージは大きくなります。より速く、長く走り続けるためには、筋肉へのダメージを最小限に抑えなければなりません。
筋肉のダメージを測る指標の1つにクレアチンキナーゼ(CK(CPK))があります。ランニング後の血中CKの値が高いということは、筋肉のダメージが大きい、値が小さければダメージが少ないと判断できます。
高い強度の練習やレース後には、当然CKの値は高くなります。
上記のグラフは大学サイクリング部の男子学生18名を「プラセボグループ6名」「カツサプ1.8g摂取グループ6名」「カツサプ3.0g摂取グループ6名」という3つのグループに分けて実験を行った際の結果です。
被験者に一定の運動をしてもらい、その後のCK値を測定して、経過時間による変化をグラフにしています。
3つのグループ共に運動後5分でCKの値がピークとなり、その後は徐々に低下しています。
ですが、プラセボグループに比べると、カツサプ3.0g摂取グループはCKの値が低くなっているのが分かります。
つまり、カツサプを事前に摂取することで、筋肉へのダメージを最小限に抑えられる可能性があるわけです。
同時に、筋肉疲労を原因としたケイレンに関する効果も検証されており、カツサプは筋肉をリラックスさせることで、筋疲労による筋ケイレンを防ぐ可能性を示しています。
特にフルマラソンレースの後半で足がケイレンを起こしてしまう・・・というランナーには朗報です。
実際にカツサプをランニング中に使用してみた
自身でもカツサプの効果を実感すべく、まずは敢えて筋肉疲労の出やすいトレイルランニングでカツサプを使用してきました。ちょうどステージレース前のトレーニングということもあり、5kg程のバックパックを背負った状態でのトレーニングとなりました。
※使用シーン毎に、随時更新していく予定です。
今回は約26kmのトレイルで、標高そのものは高いわけではありませんが、小さなアップダウンが繰り返されるコースです。
「カツサプの飲み方」の項目で書いてある通り、トレイルを走る前に、カツサプを一袋飲んで走り始めます。
今回意識したことは、特に下りはスピードをつけて下ること、急な登りはふくらはぎも使いながら登ることを意識しました。
できるだけ筋肉にダメージを与えながら走ります。ランニング中、ランニング後の疲労感を、カツサプを使わなかった時と比較するのが目的です。
※トレイルランニング中の標高を示すグラフ。
私の場合はレース、トレーニングに関わらず、トレイルランニング後に大なり小なり、筋肉痛が出ます。特に下り多いコースは。今回は通常のトレイルランより重い荷物を背負った状態で走っているので、ランニング中も心拍数は高くなりやすく、筋肉痛は大きく出るものと思っていました。
ですが、途中でバテることもなく、トレーニング後の筋疲労はほとんどありませんでした。普段、荷物を背負って走ることに慣れていないため、肩と背中の疲労はありましたが、足は全く問題なし。
意図的にふくらはぎを使いながら走ったこともあり、翌日はふくらはぎに若干の張りがありましたが、ほとんど気にならない程度。リカバリー目的でトレーニングも実施できました。
もちろん、カツサプの効果だけでなく、当日のコンディションや外部要因も含めて考える必要はあります。ですが、一度試してみる価値は十分あるサプリメントだと言えるでしょう。
まとめ
ランニングに関するサプリメントにも様々なものがあります。今回は新しいジャンルとも呼べる、カツオペプチドを含んだサプリメント「カツサプ」について紹介しました。
一般的に乳酸は「疲労物質」だという認識の方がほとんどですが、実はそうではありません。
ランニング中に乳酸が作られるということ自体は、自然なことであり、エネルギー効率を考えるととても重要です。
ランニングのパフォーマンス向上を考えた時に、「いかに乳酸を溜めないか?」は大事です。と同時に、「溜まった乳酸をいかに素早く処理できるか?」も大事なポイントになってきます。
なぜなら、乳酸の処理能力が上がれば、多くのエネルギーを再利用できるからです。
カツオペプチドを含んだサプリメント「カツサプ」はアミノ酸のサプリメントと比較すると1本あたりの値段は高いと感じるでしょう。
ですが、科学的な見地を踏まえレースでのベストパフォーマンスを引き出すことを考えると、一度試してみる価値はあるのではないでしょうか?