実録!ランナー膝で歩くと膝が痛い状態から翌日には痛みなくランニングができてしまった驚異の治療法

ランナーに多く発生する腸脛靭帯炎(通称:ランナー膝)。一度痛みが出てしまうと、ランニング中に力が抜けるような感覚もあり、痛くてなかなか思うように走れません。

痛みの出ている箇所を治療しようとして、整形外科に行っても「ランニングは控えて、安静にしておいて下さい!」と塗り薬や湿布だけを渡された経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

症状も、歩く度に痛いという段階もあれば、階段の登り降りで痛い、ランニングをすると痛い、ランニングをしばらくしていると痛みが出てくる、など様々まです。

ちょうど先日、筆者自身が30㎞走の練習途中でランナー膝を発症してしまいましたので、ランナー膝になった経緯から、痛みが出ずに走れるようになったまでの一部始終を紹介していきたいと思います。

ランナー膝とは?

まず最初にランナー膝についての解説から。ランナー膝とはランナーに多く発症する膝の怪我であり、膝の外側に痛みが出るものです。正式名称は腸脛靭帯炎。

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出典:http://www.mcdavid.co.jp/M4193/

上の図膝の外側を捉えているものです。

腸脛靭帯は骨盤の大殿筋、大腿筋膜張筋という筋肉から始まっていて、膝の外側に付く靭帯です。

図の通り、ランニングで起きる膝の怪我の中で、膝蓋骨(膝のお皿)の周辺に次いで2番目に多い怪我とされています。

何らかの原因により膝の外側で靭帯と骨との間に摩擦が起きて、痛みとして発症しまうわけです。

臀部の筋肉の弱さ、大腿筋膜張筋の硬さが原因となっているケース(詳細は後述します)やO脚など骨格的な問題、ランニング中の地面の問題など様々な要因がランナー膝に繋がっています。

腸脛靭帯炎(ランナー膝)に関する解説と対処法に関する詳細は動画でも解説していますので、こちらも御覧ください。

 

 

ランナー膝の発症

2015年12月27日(日)に駒沢公園の外周(1周約2.1㎞)のコースで30㎞走に参加をしていました。

ペースは1㎞ 5′00″からスタートし最終的に4′40″まで上げるビルドアップ。

ちょうど3ヶ月のトレーニングでサブ3.5を目指している中での2ヶ月目終了と同時期でした。

3ヶ月を「3つの期」に分けてトレーニングプランを立て、ちょうど第2ステージの「鍛錬期」にあたる時期。練習頻度は週に3回、ざっくり紹介すると10㎞〜15㎞程度のジョグ、インターバル走、20㎞〜30㎞のペース走をこなしている感じで練習は推移。

月間走行距離でも200㎞も走っていません。

この日の駒沢公園はランナーの数が異様に多く(とは言え、始めて走ったので普段の週末がどれくらいの人で賑わっているのか不明)、人を避けながら(避けられながら)、蛇行しながら走っていました。

ちょうど10㎞を過ぎた辺り、心肺機能も足の疲れもほとんどありませんでしたが、右膝の外側に違和感発生。

「あ、これは痛みが出るかもな―・・・」

と思いつつ、集団走で途中で抜けるのも嫌だし、まだ10㎞だし・・・という変な見栄と、「ここで怪我したら、いいネタが書けるかも!」というコンテンツリリーサー魂が相まって、プラス13㎞走ることに(違和感が出たら、ぜひ途中で止めることをオススメします)。

プラス13㎞走っている間も、30㎞走り切ることを最大の目標に、心の中では「あ、ランナー膝キター!」と思いながらも、猛烈なポジティブ思考で切り抜けようとしましたが、痛みが治まることはなく、結局途中23㎞過ぎでリタイアすることに。

この時点では、走ると痛いけど、歩く分には痛みが出ない。ただし、階段を登ると痛いという感じ。

ここで、コンテンツリリーサーとしては、この痛みを資産化する道を探し始めるわけです。

私の仕事は、ランニングに関するコンテンツは自分の身体を通じて生み出す!というポリシーがありますから、「人体実験ランナー」として最高のコンテンツを作ってやろうじゃないかと。

痛みが出たら、アイシングを含めたセルフケアが基本ですが、ここは敢えて痛みを最大化するためにアイシングやストレッチを含めたケアは一切なし。

自宅に帰っても、痛みを放置。極めつけは風呂に入って(温かい湯船に浸かるという意味)患部を温めるという策まで講じました。

※本来であれば、膝の外側に痛みがある場合は、患部を温めないように温浴を控えます。シャワーはOK!これは患部の炎症を広げて痛みを増強させないようにするためです。患部の炎症が起きている場合は、アイシングによる冷却作用で炎症を抑えようとするわけです。

 

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※図1:腸脛靭帯炎(通称:ランナー膝)のイメージ。

図1を見ていただくと、膝の外側で腸脛靭帯と大腿骨という骨の外側が擦れているのが分かると思います。

案の定、翌日は歩くのも痛いし、階段の登り降りで痛みは更に増強するという結果に。

ランナー膝を治療する方法

さて、ここまでランナー膝を増強させて歩くのも痛い、さらに生活に支障をきたすようになってくると、次に考えるべきは、どうやってランナー膝を治療するのか?

ということを考えなければなりません。

※ここでは、敢えて膝痛の実験をしているので、読者の皆さんは痛みを最小限に抑えて、早期に回復できるようにすることが再優先です。お間違えの無いように

まず最初に考えなければならないのは、なぜランナー膝が発症してしまったのか?ということ。

実は、数年前に一度同じ症状(ランナー膝)が出たことがあります。同じく右の膝です。

もともと右足の外側の筋肉が非常に固くなる傾向にあり、強度を上げて走りっぱなしの状態にしておくと痛みが出てしまうということは分かっていました。

外側の筋肉が非常に固くなる傾向が、ランナー膝を引き起こす要因の1つではあります。ですが、外側の筋肉が非常に固くなる傾向は「結果」であり「原因」ではありません。

外側が硬くなってしまうのは必ず「原因」があります。

大事なのは、【保存版】ランニングで膝の痛みが起きてしまったら必ず実施したい具体的対処法の全て!でもお伝えしている通り、ランナー膝を治療したい場合のファーストステップ=痛みの原因を突き止めることなのです。

ランナー膝を含めて、ある特定の部位に痛みが出てしまう場合は、筋肉という切り口で単純に考えると、どこかの筋肉が非常に弱くなってしまっている、且つどこかの筋肉が硬くなってしまっているケースが多い。

私の場合は、右の臀部が弱く、対象に骨盤の前にある大腿筋膜張筋(図2参照)と呼ばれる筋肉が固くなっている。

日常生活でも、立っている時もデスクワークの時も右に体重を乗せてしまっている、などの癖があります。

 

 

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※図2:Tensor fasia lata=大腿筋膜張筋 Gluteus maximus=大殿筋 IT band=腸脛靭帯

図2をご覧いただくと分かるように、ランナー膝として痛みがでている部分でもある腸脛靭帯は大腿筋膜張筋と大殿筋から始まり、靭帯のような組織を通じて膝(正確には脛骨)の外側まで伸びています。

つまり、大腿筋膜張筋や大殿筋やその他の臀筋群に問題がある場合には、ランナー膝へのリスクも高くなる。

例えば、大腿筋膜張筋や大殿筋が硬くなってしまった場合を考えると、膝の外側に付着している腸脛靭帯が上に(お尻側に)引っ張られる形となり、骨と靭帯が擦れる原因になってしまいます。

どちらか一方の筋肉が弱く、どちらか一方の筋肉が硬いと、腸脛靭帯にかかるテンションがアンバランスとなり、同様に痛みが出るリスクは高くなるということです。

なので、ランナー膝の治療で痛みが出ている膝の外側にアイシングをしたり、鍼治療やマッサージを施しても、大腿筋膜張筋や臀筋に問題がある場合は、一時的に痛みが引いたとしても、走ると痛みが出てしまうケースが多い。つまりは、根本的に問題が解決していないことが多いということが理解できるはずです。

今回発症したランナー膝の治療は、痛みが出ている箇所の治療はしていません。

自分自身の動きや身体の使い方を分析し、硬くなった部分は硬さを取ってもらい、弱くなってしまっている部分は鍛えるという手段を取りました。

結果的に、治療後は膝の痛みと引っ掛かりはなくなり、翌日にはランニングを再開できるようになりました。

※ランニングをリスタートしてからはアイシングやストレッチなどの身体のセルフケアは再開しています。

ランナー膝とストレッチ

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ここで一度、ランナー膝とストレッチに関して考えてみましょう。

怪我を予防するために、怪我から復帰するためにストレッチをしっかりやりましょう!という類のメッセージが存在します。もちろん、日頃からストレッチを実施していくことは重要です。

ですが、膝を痛めた直後に腸脛靭帯を伸ばすストレッチを実施するのは注意が必要です。

例えば、大腿筋膜張筋や臀部の筋肉が硬くなってしまっている場合は前述したように、もともと患部が上に引っ張られている状態で、さらに患部を伸ばそうとするので、痛みが増強してしまう恐れがあります。

なので、怪我をする=ストレッチで対処、とだけ覚えていると痛い思いをすることがあります。

なぜ、その痛みが出てしまっているのか?を理解することが大事になってきますが、膝を痛めた直後から72時間程度までは患部に無理なストレスを加えないほうが無難だと覚えておきましょう。

患部の痛みが治まってから、徐々に負担のかからない範囲からストレッチを実施していくのがベターです。

ランナー膝にならないために

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身体のどこかの筋肉が硬かったり、弱かったりということがあったとしても、必ず怪我をしてしまうわけではありません。

また、どんなに怪我の予防策を取ったとしても、100%怪我を防げるわけでもありません。

ですが、怪我のリスクは抑えることができます。

仮に、ランニングの強度や練習量を上げると右足の外側が張ってしまうのであれば、足の外側に負担のかからない身体の使い方を習得すること。もちろん、身体の使い方の習得には時間がかかってしまいますから、セルフケアと同時に定期的に張ってしまった筋肉をほぐしてあげることが大事です。

私自身、セルフケアを行っていたつもりですが、自分自身でできることには限界があります。

ストレッチにしても、セルフマッサージにしても、自分でやると甘えが出ます(ストレッチの場合、本来伸ばしたいところまでは伸ばせずに、気持ちがいいなと思うところまでしか伸ばせないと思います。心理的に。)

なので、何でも自分で本やネットで調べて問題を解決しようとするのではなく、専門家のアドバイスや技術を活用すべきというのが今回の学びです。

ランニングでもビジネスでも、専門家の力を借りずに自分自身でなんとかしようとする人が非常に多いわけです。

例えば、ウェブを使ってアクセスを集めて、何らかの商品を販売したいという人がいたとします。

これらを1人で構築することはできるかもしれませんが、必ず問題が発生します。

それは専門家(コンサルタントやエンジニア、マーケッターなど)に依頼するより時間が異常にかかってしまうことかもしれません。

全くアクセスが集まらないことかもしれません。アクセスは集まったけど、商品が全く売れないことかもしれません。

何でもかんでも、全てにおいて一流の仕事はできない。

自分ではできているつもりでも、実は全くできていなくて、問題だらけというケースも多数あります。

同様に、身体の使い方を自分でマスターしようとしていても、間違った身体の使い方を身に付けてしまっているケースも多々あるわけです。

ですから、自分でできることの限界を知り、できないことをアウトソースして成果を出すこと(膝の痛みが出ないようにすること)に集中しましょう。

トレーニングは「正しく継続する」が鍵

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ランナー膝を含めて、怪我を予防するためには走る練習以外に「トレーニング」が必要不可欠です。

ランニング動作(ランニングフォーム)の改善を図らなければ、悪い癖がある場合は、悪い癖を持ったのまま特定の筋肉や関節に負担がかかってしまいます。

残念ながら、ある一定期間トレーニングをして動作を身に付けただけでは、継続(そして進化)していかない限り、徐々にその効果は薄れてしまいうわけです。

現に、私自身が数年前に怪我をして、トレーニングでランニングフォームを改善してきましたが、トレーニングをやめて数年後にはランナー膝が再発して、治療が必要になってしまっています。

トップアスリートも走る練習に加えて、日々トレーニングをしています。

ランナー以外のアスリートも同様です。もちろん、競技の特性によってトレーニングの中身は変わってきますが、どんな競技も競技スキルのみを高めればいいというわけでは決してありません。トレーニングを正しく継続していくことで、身につくスキルもありますからね。

一般ランナーは確かに仕事もしながら走る時間を確保しなければなりませんし、トレーニングを加えるとなると更なる時間が必要になります。

専門家のアドバイスや技術を活用するとなると、お金も必要になってきます。

そこで、考えるのはやはり「何のために走っているのか?」を明確にしないかぎり、走ることが徐々に切なくなってきます。間違いなく。

もし、怪我をせずに楽しく走りたいのなら、ある程度の時間もしくはお金を投資する必要があるということです。

トレーニングや身体のケアをする時間はないけれど、怪我はしたくない、パフォーマンスを上げたい!という考え方は、ある意味「楽して儲けたい!」的な思考と似ています。

目的や目標から、どういうランニングライフを送るのか?まずはしっかり考えていきましょう。

まとめ

今回はランナー膝と治療の考え方を実例を踏まえて紹介してきました。

自分自身が発症した膝の外側の痛み=ランナー膝として紹介をしていますが、膝の外側を痛めた=ランナー膝であると自己判断するのも注意が必要です。

必ず医療機関を受診するようにしましょう。

最終的には「何のために走るのか?」というところに落ち着いたのが、何とも自分らしいところです。良くも悪くも。

色んなランナーの方から、様々な要望をお聞きする機会がありますが、方法論を探しまわっている人が多い中、しっかりと自分と向き合うことがランナー膝という1つの課題を解決する上で大切です。