オーバープロネーションを改善するために必要な対策まとめ【ランニング編】
マラソンやランニングで起きてしまう怪我の中には、実に様々なものがあります。
中でも多いのが足首や足部(足首よりも末端の部分)周辺の怪我です。
足首の捻挫や疲労骨折というと、怪我としての認識もしていただけるかと思います。
ですが、一番多い怪我は、いわゆる「病名」が付かないような足の怪我なんです。
「レントゲンでは骨に異常は無いといわれましたが、足のこの辺が痛いんですよね・・・。」という感じのやつですね。
足部に限らずですが、痛みが出るということは、やはり原因が必ずあるはずなのです。
特にランナーの中で注目されているトピックは足部の「オーバープロネーション」。
日本語(専門用語)で言うと「過回内」です。
実際に足部のオーバープロネーションが起こることで、足部や足の関節周辺に痛みが出てしまうことがあります。
プロネーションの中にも、立っているだけの状態で既にプロネーションが起きている場合と、立った状態だとそんなに分からなくても歩いたり、走ったりするとプロネーションが強く出てしまうケースとに分けられるわけです。
極端にプロネーションが大きく出てしまっている状態のことをオーバープロネーションと言っていますが、厳密な定義はありません。
そこで、今回の記事では「ランナーのためのオーバープロネーション対策」と題して、ランニング中にオーバープロネーションが起こっている場合に、どのような対処をしたら良いのかをまとめてみました。
※足部のオーバープロネーションのイメージ
そもそも、ランニング中のオーバープロネーションとは、ランニングの着地の際に足部が上の写真のように大きく回内(プロネーション)してしまうことを言います。
分かりやすく言うと、着地の際に足のアーチが潰れてしまうような状態ですね。
足裏のアーチ(土踏まずの部分)が無くなることで、足全体への衝撃を和らげることができなくなります。その結果、膝や股関節周りにまで悪影響が出てきてしまうことも。
長く愛用しているご自身のランニングシューズがある場合、シューズの靴底を見ていただくと、全体の靴の磨り減り具合よりも、内側の磨り減り方が強い場合は、オーバープロネーション気味に走っている可能性が高いと言えるでしょう。
ランニングの着地の際に、内側に足が傾くのであれば、「外側に重心を置くように走ればいいのでは?」と考えてしまいがちですが、ランニング中に「意識して」着地の仕方を変えるのは得策ではありません。
なぜなら、着地の仕方を変えることで、そもそも無理なランニングフォームとなってしまう可能性のほうが高く、例えば、足以外の別の部位にストレスがかかってしまうからです。
その結果、怪我をしなくても良いところまで、怪我してしまうリスクが高まります。
ではどうしたらいいのでしょうか?
ランニング中の着地時に起きるオーバープロネーションの対策としては、大きく3つに分けることができます。
目次
プロネーション用のシューズを購入する
※写真はイメージです。
プロネーションの程度にもよりますが、まずは市販のランニングシューズでオーバープロネーションが矯正されるのかを確認してみる必要があります。
今は、各メーカーともニュートラルシューズとオーバープロネーション用のシューズがあります。実際に履いてみた感触が良いということと、ランニングをした際にオーバープロネーションが補正されるかどうかを1つの基準にしてみて下さい。
実際に履いてもいないのに、オーバープロネーション対応のシューズだから・・・という理由だけでネット購入するのは避けましょう。
足の形や癖は人によって全く違います。
また、プロネーションが強い場合は、プロネーション用のシューズを使っても、ほとんど効果はありません。
本当は、しっかりとした専門家にインソールを作ってもらうのがベストですが、難しい場合の対策として、プロネーション用のシューズを試すというのは1つの手です。
専門家にオーダーメイドのインソールを作ってもらう
足の形や癖は人によって全く違います。
ですから、市販のオーバープロネーション用のランニングシューズのみで対応していくよりも、しっかりと足部の計測してもらったオーダーメイドのインソールを作ってもらうのがおすすめです。
一部のスポーツ店では、ランニングフォームを解析しながら、その人に合ったランニングシューズ選びをアドバイスしてくれますが、その計測方法は以外にも「ザックリ」としています。
もし足に痛みがあるのであれば、スポーツドクターや理学療法士がいる整形外科を受診すること、またインソールもオーダーメイドで作ってもらって下さい。
市販のインソールでも無いよりは良いのかもしれませんが、身体を診るプロが作るインソールはレベルが違います。
参考:【ランニングシューズのインソール】選ぶ際の注意点を徹底解説!
オーバープロネーションを改善するためのトレーニングを行う
3つ目は「トレーニング」です。ランニングシューズやインソールを使ってオーバープロネーション対策をすることは大切です。
ですが、インソールのみで対応するだけでなく、例えば弱くなってしまっている筋肉に関しては鍛えていかなければなりません。
ランニング中にオーバープロネーションになってしまうということは、特定の筋肉が弱くなってしまっている場合が多いわけです。
オーバープロネーションも状態にもよりますが、ある程度は予防、改善ができます。
あまりにもひどい場合にはインソールを入れざるを得ない、という状況になってしまいますが、トレーニングも同時に進めていく必要があります。
本当は色んな評価をしながら、一人ひとりに合ったオリジナルのトレーニングメニューを作成する必要がありますが、ここでは、実際に評価ができないので、2つご紹介をしておきましょう。
後脛骨筋をトレーニングする
全ての人がそうだとは言えませんが、オーバープロネーションになっている人は足が偏平足である場合が多いです。
足のアーチが下がってしまい、土踏まずが無くなってしまう状態のことを言うわけですが、上の図のTibialis Posterior (後脛骨筋)という部分が上手く働かなくなり、アーチが落ちた状態になっている人がいます。
ですから、オーバープロネーションを局所的に見た時には、この後脛骨筋を鍛えてあげることが予防、改善に有効といえるでしょう。
この筋肉を鍛えるためにはいくつか方法はありますが、足首を内返しするトレーニングを行うと良いでしょう。
体幹や臀部をトレーニングする
もう1つは体幹と臀部を鍛えて、「使える」状態にしておくことです。
筋肉はただ鍛えるだけでは、使えるようになりません。
ランニング中に足部のオーバープロネーションが起こってしまう人は、お尻の筋肉(中でも中臀筋)の筋力が弱くなっている可能性があります。
この筋肉がうまく機能しないと、片足立ちの際にうまくバランスが取れなくなってしまいます。
ランニングは動作を細かく見てみると「片足立ちの連続」です。常にどちらかの足は宙に浮いていますよね。
普段からランニングをしている人であれば、片足立ちの際にバランスが保てない・・・ということは少ないでしょう。
ですが、ランニングフォームをよく観察すると、膝が内側に入っている人は以外と多いんです。
プロネーションも、膝が内に入るのに連動するような形で起こってきます。
その動きが大きいと、結果オーバープロネーションとなるわけです。
ですから、オーバープロネーションの対処はシューズだけに頼ってはいけない、のと同時に、そもそも足だけを見て判断することも避けなければなりません。
常に、この問題の原因はどこにあるのか?という問いを立てて、根本的な問題の解決を進めていく必要があります。
例えば、臀部の筋肉を鍛えるトレーニングに下の写真のようなものがあります。
このエクササイズは、中殿筋と言われる筋力を鍛える上では非常に重要です。
ですが、このエクササイズを観察してもらうと分かるように、ランニングの動作に近いかどうかを判断すると・・・ちょっと違いますよね。
ですから、最終的にはよりランニングの動作に近い形で、臀部の筋肉を使えるようにしなければなりません。
マラソンのパフォーマンスアップに必要な筋力トレーニング5選【下半身編】
にトレーニングの方法をまとめていますので、参考にしてみて下さい。
まとめ
以上、ランナーのためのオーバープロネーション対策をまとめてみましたがいかがだったでしょうか?
オーバープロネーションの対応策は上記のように大きく3つにまとめることができますが、ぜひ、ご自身だけで判断するのではなく、しっかりと専門家に診てもらい、最適な対策を実施していって下さい。