GARMINで心拍トレーニングの精度を上げる方法
ランニング用GPSウォッチやスマートウォッチの普及に伴い、ランニング中に心拍数を計測するランナーは間違いなく増えたと言っていいでしょう。
心拍数を計測することの最大のメリットは、ランニング中の「運動強度」を把握できることです。
参考:【心拍トレーニングと運動強度】ランニングのパフォーマンスUPに必要なこととは?
心拍数をベースにした運動強度(心拍ゾーン)を設定するには、いくつか方法があります。
つまり、心拍ゾーンの設定方法によって運動強度は変化するわけです。
単にGPSウォッチやスマートウォッチの心拍機能を使ってランニングしているだけでは、自分にとって最適な心拍トレーニングを実施できていない可能性が考えられます。
※多くの場合、自身の心拍ゾーンがどういう設定になっているのか把握できていないのではないでしょうか?
そこで今回は、多くのランナーが利用しているGARMIN(ガーミン)のGPSウォッチを使用して、心拍トレーニングの精度を上げる方法について解説します。
目次
2種類の心拍ゾーン設定方法
GARMINのGPSウォッチでは、心拍ゾーンを決定する方法がいくつか存在します。
デバイスによって設定できる種類は異なりますが、ここではメインとなる2つの方法について、おさらいしておきましょう。
一つは%Maxという考え方で、自身の最大心拍数をベースに5つの心拍ゾーンを設定する方法です。
もう一つは%HRR(HRR:Heart Rate Reserve)という考え方。
自身の最大心拍数と安静時心拍数から5つの心拍ゾーンを設定する方法です。HRRは日本語で「心拍予備量」と表現されます。
最大心拍数をベースに心拍ゾーンを設定する方法(%Max)と、最大心拍数と安静時心拍数を踏まえた心拍ゾーンを設定する方法(%HRR)では、どちらを採用した方がいいのでしょうか?
もしくは、どちらを採用しても大きくは変わらないのでしょうか?
%Max vs %HRR
仮に最大心拍数が200 bpmのAさんが最大心拍数の80%の運動強度でランニングをする場合を考えてみます。
%Maxで考えると、その時の目標心拍数は200 × 0.8=160 bpmです。
一方、Aさんの安静時心拍数が50 bpmだった場合、心拍予備量をベースに目標心拍数を考えてみましょう。
心拍予備量を活用した目標心拍数は以下の数式で求めることができます。
目標心拍数=運動強度 × (最大心拍数 − 安静時心拍数) + 安静時心拍数
※この数式はカルボーネン法と呼ばれるものです。
0.8 × (200 – 50) + 50 = 170 bpm
つまり、最大心拍数をベースに目標心拍数を決める場合と、最大心拍数と安静時心拍数をベースに目標心拍を決める場合、同じ運動強度であっても実際の心拍数は異なります。
では次に、安静時心拍数が異なるケースについて考えてみましょう。
Bさんの最大心拍数はAさんと同じ200 bpm、ただし安静時心拍数は65 bpmだったとします。
この時、運動強度を先ほどと同じ80%で目標心拍数を算出すると、
0.8 × (200 – 65) + 65 = 173 bpm
AさんとBさんの安静時心拍数は大きく異なりますが、運動強度が同じ時の目標心拍数はそれほど大きく変わらないことが分かります。
つまり、計算そのものに安静時心拍数を含めるかどうか?が目標心拍の違いを生む、大きな要因だと言えるでしょう。
以上の結果から、心拍数を0から最大心拍数で考える%Maxと、安静時心拍数から最大心拍数で考える%HRRであれば、%HRRの方がより自分に合った運動強度を設定することができるわけです。
%Maxと%HRRの違いについては、下記の動画でも解説していますので、参考にしてみてください。
心拍予備量をベースにした心拍ゾーンをGARMINで設定する
次にGARMINのGPSウォッチ上で、心拍予備量をベースにした心拍ゾーンの設定方法について解説します。
GARMINのGPSウォッチ上では、心拍ゾーンを決定する際の基準をbpm、%Max、%HRR、%LTHRの4つから選択することが可能です。
※%LTHRはLactate Threshold Heart Rateの略で、乳酸性作業閾値(LT値)の予測機能を搭載している機種のみ設定が可能。
参考:乳酸性作業閾値(LT)を計測しランニングパフォーマンスを向上させるには?
ここでは、%HRRを基準に設定する方法を紹介します。
%HRRを心拍ゾーン決定の基準にするには、自身の最大心拍数と安静時心拍数を入力しておく必要があります。
具体的な設定方法については、文章で解説するよりも動画を使って解説した方が分かりやすいはずです。
下記にGARMINのGPSウォッチ上で%HRRを基準に心拍ゾーンを設定する方法について詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
まとめ
今回はGARMINのGPSウォッチを使って、「心拍予備量」をベースにした運動強度設定に関する考え方と、具体的な設定方法について解説しました。
せっかく心拍数を計測しながらランニングをするのであれば、ただ心拍数を計測するだけではなく、心拍トレーニングに対する理解を深めた方がトレーニングに対する納得感が全く異なります。
仮にトレーニングに関する理解があったとしても、GPSウォッチ上で正しく設定ができていないと、うまくデータを活用することができません。
ぜひランニングに関する生理学的な理解を深めながら、GPSウォッチ上で正しく設定を行い、トレーニングの効果を高めていきましょう。
心拍計測はランニンング中の運動強度を把握するのに役立ちますが、一方で心拍数のみを運動強度の指標して活用することの限界もあります。
詳細は下記の2つの記事内で解説をしていますので、合わせてご覧ください。