マラソンやランニングのパフォーマンスを高める4つの栄養素とは?

ランニングのパフォーマンスを高めるには日々のトレーニングも大事ですが、それと同じくらい重要なのが食事。私たちは食べたものを体に蓄え、エネルギーとして使ったり筋肉に変えたりしています。

タンパク質は筋肉の基となる栄養素だということはよく知られていて、意識して摂取している方も多いのではないでしょうか。もちろんタンパク質はランニングのパフォーマンスを高めるのに重要な栄養素ですが、ランナーにとって必要な栄養素はタンパク質だけではありません。

今回はランナーのパフォーマンスを高めるために摂取しておきたい栄養素について紹介していきます。

体を動かすエネルギー源 糖質

ダイエットをしている方だと特に糖質と聞くと「ダイエットの敵」という印象を持つのではないでしょうか。しかしランナーにとっては、糖質は重要な栄養素なのです。

走っている時は筋肉を動かすためにエネルギーを作る必要があります。そのエネルギー源となっているのが糖質。

もちろん脂肪もエネルギーとして使われるのですが、脂肪は使いづらいエネルギー源で、糖質と一緒でないと使うことができません。糖質は体を動かすための燃料なのです。

マラソンでは30kmの壁という、フルマラソンの後半で突然力が入らなくなる現象が起こりますが、これは体内に蓄えられている糖質を使い果たしてしまい、エネルギーを作り出せないために起こります。

さらにこのような状態で運動を続けようとすると、体内で糖質を作り出しエネルギーに変える糖新生という経路が働きます。この経路は筋肉を分解することで糖質を作り出します。

つまり、糖質がない状態で運動をすると筋肉がエネルギー源として使われ、どんどん減っていくのです。

糖質は重要なエネルギー源となる栄養素。筋肉の分解を抑え、十分な強度のトレーニングを行うためにエネルギー源となる糖質をしっかり補給しておく必要があります。

ウェイトコントロールしている場合も糖質は必要なのか?

ダイエットや減量を行っている場合、糖質には特に気を使うかと思います。体重を減らすために、糖質は本当に必要なのでしょうか。結論から言うと、ダイエット・減量中も糖質はある程度必要です。

というのも、先程お話したように、糖質を摂らないと筋肉が減ってしまうから。確かに糖質を摂らなくても体重は減りますが、その減少分は脂肪だけでなく筋肉も含まれています。

ダイエット・減量の目的は筋肉を減らさず脂肪を減らすこと。そのためある程度の糖質を補う必要があります。

運動を行わない場合は、1日の糖質摂取量を150g程度、運動を行う場合は1日の糖質摂取量を200〜300g程度摂取するようにしましょう。

運動後は、糖質は脂肪へ変換されづらく、次のトレーニングのエネルギー源(グリコーゲン)として蓄えられるので、運動後に糖質を50〜100g摂るようにしましょう。

ご存知の通り糖質はご飯やパン、麺類といったものに多く含まれています。トレーニングの2時間前にはこれらの食品を摂取しておきましょう。

エネルギーを作る補助役 ビタミンB群

ビタミンB群もランナーには必要な栄養素です。ビタミンB群はエネルギーを作り出す過程で重要な役割を果たしています。

先程糖質はエネルギー源となる栄養素だということをお話しました。この糖質は体内で何段階もの代謝を受けて最終的に水と二酸化炭素に分解されることでエネルギー源として使われています。その代謝を行うのが酵素です。

工場で例えると分かりやすいのですが、工場ではたくさんの機械で原料を加工し、ある製品を作り上げます。

体内ではエネルギーという製品を作るために酵素という機械で糖質という原料を加工しています。しかしこの機械はネジやボルトといった部品がないとうまく動きません。体内でこうした部品としての役割を果たしている栄養素がビタミンB群です。

ビタミンB群が不足すると体内でうまくエネルギーが作れなくなってしまい、パフォーマンスに影響が出てしまいます。

エネルギーの基となる糖質を摂取することも重要ですが、エネルギーを作り出すために必要なビタミンB群も摂取しておかなければなりません。

ビタミンB群は肉類や乳製品、ナッツ類に多く含まれています。不足気味に感じたらサプリメントからの摂取もオススメです。

酸素の運搬役 鉄

ダッシュをした後に頭がクラクラしたり、立ちくらみを感じたりしたことはないでしょうか。こうしたことは、鉄が足りないために起こります。

赤血球という言葉を聞いたことがあると思います。これは血液の中にある成分で、酸素を運搬する役割を果たしています。

赤血球にはヘモグロビンというタンパク質が含まれており、このタンパク質には鉄が含まれているというのが特徴です。この鉄は酸素と結合するという役割を持っています。鉄が含まれているので、赤血球は酸素を運搬することができるのです。

酸素はエネルギーを作り出す過程で必要になってきます。ランニングを行っている際は多くのエネルギーを作らなければならないので多くの酸素が必要となります。鉄がないと酸素をうまく運べず、それ故にエネルギーが作り出せずにパフォーマンスの低下に繋がります。

ランニングをしていると、汗から鉄が流れ出ていき気づかない間に鉄不足になっているということもあります。そのため、鉄を補っておく必要があります。特に女性の場合鉄は不足しやすいので注意が必要です。

また、ランナーは溶血性貧血に陥る可能性があります。溶血性貧血とは、着地の際に足の裏に衝撃がかかり、その部分にある赤血球が壊れてしまい、酸素の運搬能力が低下することを言います。

その予防としては鉄を摂取することの他に足底にクッションを敷き、足裏への衝撃を和らげるという方法もあります。

鉄はレバーやほうれん草、魚類、牛乳、卵といった食品に多く含まれています。

骨を作り、筋肉の収縮にも必要 カルシウム

ランナーが陥りやすい障害の一つとして、疲労骨折が挙げられます。疲労骨折とは慢性的に骨に負担がかかり、骨がもろくなりひびが入ったり、ひどい場合だと折れてしまう状態のことを言います。

ランニングを行っていると、着地の際に主に脛骨という、すねの部分の骨に衝撃が加わります。その衝撃は弱いものですが、長距離を走るランナーの場合はこの弱い衝撃が何度も何度も繰り返されることで徐々に骨がダメージを受けていきます。

骨はカルシウムからできているということはご存知かと思います。骨の中のカルシウムが少ない状態だと骨は弱く、衝撃に耐えることができずに疲労骨折を起こしやすくなります。骨を強くし、疲労骨折を予防するという意味でカルシウムはランナーに必要な栄養素と言えます。

また、カルシウムは筋肉の収縮とも密接に関係しています。脳は筋肉へ収縮せよという命令を電気の形で送り出します。脳から筋肉に電気刺激が届けられると、筋小胞体という器官からカルシウムが放出され、それにより筋肉が収縮できるようになっているのです。

このようにカルシウムは疲労骨折を予防する他に、筋肉の収縮にも深く関わっている栄養素なのです。

カルシウムは牛乳や乳製品、ちりめんじゃこなどに多く含まれています。カルシウムも鉄同様女性では特に不足しがちな栄養素なので女性は特にしっかりと補っておく必要があります。

まとめ

今回はランナーのパフォーマンスを高める栄養素を紹介してきました。

ランニングを行うにはエネルギーとなる糖質やエネルギーを作る補助をするビタミンや鉄が必要となります。糖質が枯渇すると筋肉が分解されるので、筋肉を減らさないようにするためにも糖質は必要な栄養素です。

また、疲労骨折を予防するカルシウムもランナーにとって必須の栄養素となります。

これらの栄養素を意識的に摂取してランニングのパフォーマンスを高めていきましょう。