【GRAND TRAIL 】7日間6ステージ273kmに及ぶ「旅」の魅力!

※コース中に何度も出現するサボテン!刺さると、なかなか抜けない・・・。

大変なのは、ブッシュ帯。

ブッシュ帯は、文字通り低木が密集するエリア。木の枝で足と腕が傷だらけになるのはもちろん、小さなサボテンも点在しています。

油断していると、足にトゲが刺さる。痛いだけでなく、なかなか抜くことができません。やっかいこの上ない存在なのです(一度、蛇にも遭遇して焦りました)。

※Stage3で待ち構える、唯一の砂丘区間(5.4km)。夜に通ると、終わりが全く分からない・・・。

G2Gには、サハラの気分の砂漠のステージもあります。

コーラルピンク砂丘州立公園は、3日目のロングステージ後半。G2G唯一の砂丘区間であり、何度も何度も、そして何度も、砂丘のアップダウンを繰り返し越えていきます。

私を含めたほとんどのランナーは、真っ暗闇の中を、砂丘に残された足跡を頼りに進むしかありません。

遅々として進まぬ5・4㎞は、神経を擦り切れさせるほど、遠く果てしない(しかも、名前の由来となった砂丘の美しいピンク色は、夜の闇の中で一切見えないという……)。

砂漠でのレースでは、砂そのものも敵になります。シューズに入り込んだ砂は、靴の重量を増やし、ソックスと足との摩擦を上げて、全ての歩みを妨害させます。

そのため、砂がシューズの中に入らぬよう、ゲーターと呼ばれるシューズカバーの装着が一般的です。

しかし私は、不覚にも、砂丘が1箇所だけという事前情報で、ゲーターを装備に加えませんでした。

皆さんのご想像通り、これが仇となったわけです。

※ゲーターを持っていかなかったので、チェックポイント毎にシューズから砂を出す。

ほとんどのランナーが足のトラブルを抱えながら走る。

歩を進める度に、シューズに砂が入る。シューズを脱いで落としても、砂はスグにシューズに侵入する。

砂丘の途中で、何度も何度も、脱いでは履き、脱いでは履くハメに。

ついには耐えきれず、裸足で砂丘を進む……。登りは四つん這いにならなければ、到底、前に進めませんでした。

※砂丘ではシューズに砂が入りすぎて、結局こうなります(笑)。

私は、生まれて初めてシューズを手に装着し、這いつくばって、何とか最後の砂山を登り切りました……。

サバイバルは、確かにステージレースの代名詞ではあります。

しかし、だからこそ、人間の存在がちっぽけに見えるような超絶な景色にも出会うコトができるわけです。

G2Gの全ステージで最も魅力的なポイントと問われたら、参加者の多くが、「スロットキャニオン」だと答えるでしょう。

※Stage5で現れるスロットキャニオン。G2Gを象徴するスポットの1つ。

スロットキャニオンは、長い年月で、雨水が岩を穿ってできた峡谷。ひと一人がやっと通れる自然の造形美を走る、G2Gの中で魅惑のポイントです。

さらに、7日間のレースの最後には、ブライスキャニオン国定公園のピンク・クリフを見上げながらの圧巻シングルトレイルが待っています。

眼下には、息を呑むような絶景が拡がり、「早くゴールしたい」という思いと共に、「この非日常がもう終わってしまうのか……」という寂しさが込み上げてきます。

こうして、少なくない数のランナーたちが、ステージレースの魅力の虜になるのでしょう。

ステージレースに参加するために

※G2Gの日常の様子。男女関係なく、最大8人で寝食を共にします。風呂やシャワーはありません。

私も、サハラマラソンを2015年に完走後は、ステージレースを再び走ろうとは考えていませんでした。

「人生一度くらいは……」という動機から言えば、サハラの完走は、確実にひとつのゴールです。

それに加えて、ステージレースに参加するには、出発から帰国まで2週間程度の時間を要します。。

ステージレースに参加するなら、最低2週間、日本を離れなければならないということです。レース中は、ほとんどの外界の情報が遮断され、スマートフォンの使用も許されません。

だから、時間をある程度コントロールしやすい自営業者は、確かに参加者の割合としては多くなります。

ですが、主催者のCollinに話を聞くと(雑誌Tarzanに記事を掲載するために、Stage4終了後にインタビューの機会をいただきました)これまでに50以上の国と地域から、さまざまなバックグランドを持ったランナーが参加していると話をしてくれました。

自営業だけでなく、会社員やアルバイトと書いている人も驚くほどいます。

多忙は、参加できない大きな理由となりますが、全てではありません。

ステージレースの魅力に虜になる理由は、ステージレースそのもの。

G2Gに参加した、日本人以外のランナーたちも、サハラマラソンやゴビ砂漠、アタカマ砂漠、ナミビア砂漠のステージレースの経験者ばかり。

「なぜ、G2Gに参加したの?」と、他国の参加者に聞いても、「よく分からないけど、来てしまった!」と答えが驚くほど多い……。

もちろん、何の目的も無しに参加したランナーなど、1人もいません。

生活習慣病の対策としてランニングを始めて、走ることにのめり込み、G2Gに参加したというランナーもいます。

難病を抱える息子を励ますために、参加を決意したランナーもいます。

ただ唯一、どんなレベルのランナーにも共通しているのは、“自分が、どこまで出来るのかを試してみたい!”という、生物としての根源的な欲望なのかもしれません。

ステージレースは、100㎞、100マイルなどに代表されるウルトラトレイルに比べると、完走のハードルそのものは、それほど高くはありません。

ステージレースは、優勝を狙うトップアスリートも、出場そのものを目指してきた我々のような一般ランナーも、等しく自分の限界にチャレンジできる、ひとつの「場」なのかもしれません。

国や民族、宗教も、性別も、年齢も、走力も違うにもかかわらず、1週間を共に戦う、同じ旅の仲間。

生活を共にすることで自然と一体感が生まれ、その一体感は日に日に増していきます。参加者が120人と少ないG2Gでは、ステージレースの参加者の一体感は、さらに強固になります。

※ゴール後に7日間、同じテントで苦楽をしたメンバーと。

15のテントがある中で、メンバー全員が完走できたのは、僕らともう一つだけ!

これで2回目のステージレースは無事に終了しました。

日本国内・国外問わず本当に沢山のレースやイベントがあります。ステージレースに参加するランナーは、他のステージレースにも参加する傾向にあります。

私自身もウルトラトレイルを含め、今後もチャレンジをしていくつもりです。ただ、次のステージレースを考えた場合、間違いなくもう一度Grand to Grandに参加すると思います。

それくらい魅力的なレースでした。

個人的には、運営、ボランティア、参加者が1つのチームとなり「全員で完走しよう!」という一体感がたまらなく好きでした。

※レース終了後に行われるセレブレーションパーティー。

「ああ、もう一度帰ってきたいな」と思ったのは、レース後に参加したセレブレーションパーティーに参加してから。

様々な種類のお酒は飲み放題、そして食べ放題。7日間、インスタント食と塩素臭い水しか口にしていなかった反動は大きく、7日で落ちた(であろう)体重は一瞬で元に戻ります・・・。

パーティーでは、総合・各年代での表彰式が行われ、当日まで走っていた映像や写真を全員で見ながら、7日間を振り返ります。

とても辛かった7日間なのに、終わった後にはなぜかツラいことも含めて「楽しい思い出」に変わっているわけです。

G2Gは各国の参加人数に定員が設けられていて(日本枠は最大10名)、トータルでも最大170名までしか参加ができません。

ですが、この人数だからこそ、年齢・性別・国籍関係なく、全員で感動を共有できるのではないかとも思うわけです。

2019年以降、ぜひ一緒にこの感動を共有しましょう!