ランニングフォームを評価する3つのポイント〜効率の良い走りを実現するために〜

トップ選手のランニングフォームを見ると、腕を振るランナーと振らないランナー、ヒール着地のランナーとフォアフット着地のランナーがいるようにランニングフォームには個人差があります。

トップ選手でも個人差があるので、私たち市民ランナーのランニングフォームに個人差があるのは当然と言っていいかもしれません。ただし、自分の筋力や柔軟性にあったランニングフォームを身につけることができれば、

ケガ予防やパフォーマンスアップに繋げることが可能です。この記事では、アスレティックトレーナーの視点でランニングフォームを評価する際に大切にしているポイントについてまとめていきます。

これを読めば、ランニングフォームを評価する際の全体像が理解でき、自分の弱点がより明確になるでしょう。

効率の良いランニングフォームとは

効率の良いランニングフォームとは『いかにムダな力を使わず前方に移動できるか』ということです。

ムダな力を使わない、前方に移動する、この2つがキーポイントとなります。

①ムダな力を使わない

姿勢を維持したまま、身体全体が連動して、いかに効率良く、身体を動かせているかを見ています。

②前方に移動する

前方に速く移動するためには、足の回転数と歩幅を上げることが重要です。それぞれピッチ(ケイデンス)とストライドと表現されます

「身体を効率良く動かしながら、ストライドとピッチを高められるか」が効率の良いランニングフォーム獲得の鍵となり、評価する際のポイントとなります。

ランニングフォームを評価する3つのポイント

ランニング中は、常に身体に対して重力がかかり続け、これに加えて自分の体重を片脚で支える筋力が必要となり、着地衝撃の負荷加わります。

フルマラソンであれば、3時間以上も大きな負荷に耐え続けなければなりません

れらの負荷に耐えるには、当然のことながら「筋力」が必要となります。

ランニング中に加わる負荷に耐えられる筋力があるのか?については以下の3つのレベルでチェックすることが重要です。

1)重力に負けずに耐えられる筋力はあるか?

2)自分の身体を支える筋力はあるか?

3)着地衝撃吸収と身体を前方に運ぶ筋力はあるか?

重力に負けずに耐えられる筋力があるか?

重力に耐えられる筋力がないと、姿勢を維持できず、猫背や反り腰、へん平足などの、いわゆる「歪んだ姿勢になります。歪んだ姿勢でのランニングは肩こり、腰痛など、疲労が溜まりやすくなるわけですなので、歪みを整え、姿勢を維持するための筋力アップが必要になります

では、重力に負けない筋力が備わっているかどうか、次の手順でチェックしてみましょう。

①壁に背中と腰をつけてバンザイを行う(腰の隙間は手のひらが1枚入るくらい)

②バンザイした時に背中と腰の隙間が広がっていないか、指が壁までつくかチェックする

  • 背中と腰の隙間が広がる→体幹が弱い
  • 肩が上がらない、壁につかない→上半身が硬い

自分の身体を支える筋力はあるか?

身体を支える筋力がないと、片脚でバランスを保持できず、膝がブレたり、関節に負担がかかり、ケガのリスクが高くなります。片側だけ痛みが出る場合は、身体を支える筋力の左右差が考えられます。

片脚バランスや片脚での筋力アップ、柔軟性アップが必要です。

身体を支える筋力の簡単なチェック方法は、下記の通りです。

①手をバンザイにした状態で片脚バランスをとる

②左右交互に入れ替えて、軸がブレないで姿勢を維持できるかをチェックする

  • 体が傾く、外側に乗ってしまう→お尻の筋力が弱い
  • 片脚を上げると同時に腰や膝が丸まってしまう→体幹筋力が弱い

着地衝撃吸収と身体を前方に運ぶ筋力があるか?

着地衝撃吸収する筋力がないと、接地時間が長くなり、床からの反発を上手く使えなくなります。そうなると、ピッチやストライドが上がらず、無理に脚を前に出したり、腕を振ったりすることにな、リズムやバランスが崩れてしまいます。

そうならないためには、下半身や体幹の筋力アップが必要です。

着地衝撃を吸収する筋力、身体を前方に運ぶ筋力の有無は以下の方法でチェックしてみてください。

①イスに座り、片脚を上げておく

②片脚でイスから立ち上がれるかチェック

  • イスから立ち上がれない→筋力不足
  • 上体が丸まる、膝が内に入る→お尻の筋力不足

以上、3つの簡単なチェックはいかがでしたか?

3つのレベルで筋力チェックを行うことで、弱点が明確になり、どの筋力を鍛えれば良いのか把握できます。

自分の筋力に見合ったランニングフォームを見つける

自分の筋力に見合ったランニングフォームを見つけるには「着地の仕方」をチェックするのがオススメです。

着地には大きく3つの種類があります。つま先から着地するフォアフット、足全体で着地するミッドフット、かかとで着地するヒールストライクの3種類です。

走りの効率やケガのリスクを考えると、ミッドフット着地になっていることが大切です。

ミッドフット着地できているとうことは、身体を上手く動かせており、ピッチやストライドも理想の状態になっています。

ミッドフット着地でない場合、筋力に問題があるのか、使い方に問題があるのかを、筋力チェックの3項目と照らし合わせていきます。

筋力チェック3項目の内、1つでもエラーがある場合、筋力を高めることで、着地の仕方が変わります。

1つもエラーがない場合、筋力はあるのに、効率よく動かせていないということなので、「動きの効率を高めるトレーニング」を行ないます。

まずは、効率の良いミッドフット着地ができていること、ピッチやストライドを見つけていくことが大切です。

ランニング中の着地は、動画やランニングフォーム分析用のセンサーシューズを使って評価しています。

自身のランニングフォームを動画で判断するは専門的な知識が必要です。

センサーシューズ「ORPHE TRACK」であれば、自分の着地の癖や特徴を簡単に知ることができます。

参考:ランニングフォームを可視化するスマートシューズ【ORPHE TRACK】

まとめ

効率の良いランニングフォームとは、「身体を効率良く動かしながら、ストライドとピッチを高めていく」ことです。

効率良く動かすには、筋力が必要であり、その筋力に見合ったピッチとストライドを見つけることが大切です。トレーナーとして、ランニングフォームを評価する際は、筋力レベルを把握し、個々のレベルに合った、ランニングフォームを見つけるようにしています。

ランニングフォーム作りに励まれているランナーは、どうしてもランニングフォームの「形」ばかりに意識がいきやすいのが現状です。筋力も合わせた視点で考えていくと、自分の弱点が分かり、自分に合ったランニングフォーム見つやすくなるでしょう。