つくばマラソンが打ち出したテーマ〜科学的なマラソンレースとは?
去る2015年11月22日(日)、第35回つくばマラソンが開催されました。
当日はフルマラソン(42.195㎞)の部に約15,000人のランナーが、10㎞の部に約3,500人のランナーが参加。
つくば市のイメージから、「
「スタートを科学する」、「景観を科学する」、「
※つくば市は筑波大学や筑波研究学園都市などに代表されるような「科学」と密接に関係している都市。
「科学」というキーワードは、我々にとって非常に重要ですが、実際にランナーにとって「具体的にどんな影響があるのか?」を計測できなければ意味がありません。
今回のつくばマラソンでは「科学」が実際にランナーにとってプラスの要素になったのか?はたまたどんな効果があったのかを実際にランナーとして参加された方へのインタビューを通じて、そして筆者自身が取材を通じて体験したものをご紹介していきたいと思います。
目次
スタートを科学する
今回のつくばマラソンでメイントピックになったのが「スタートを科学する」という部分を体現した「ウェーブスタート」の導入。
参加者1万人以上、陸連公認コースでの大会においては、日本初の試みだとのこと。
ウェーブスタートとは、参加者を何組かに分け、時間をずらしながら出走させるスタート方式。
ボストンマラソンやニューヨーク・シティ・マラソンなどはこの方法を実施しており、日本国内においても、ハーフマラソンやファンランで実施している大会があります。ウェーブスタートを実施する理由は、スタート時、及びコース上の混雑を緩和するためです。
※つくばマラソンHPより。
例えば、東京マラソンなどの大きなマラソンレースでも、エントリー時に申請をした自己記録の速いランナーから順番に整列をし、スターターの号砲と同時にスタートします。
3万人規模の東京マラソンでは、最終ランナーがスタートラインを越えるまでに30分以上かかってしまうケースがあり、つくばマラソンをきっかけとしてウェーブスタートが規模の大きなマラソンレースでも機能するようになれば、日本のマラソンレース自体が進化していくことでしょう。
第35回のつくばマラソンでは、合計3回の号砲でスタートするウェーブスタートが実施されました。
第1ウェーブ:約2,900名のランナーが9:00にスタート。
第2ウェーブ:約5,500名のランナーが9:10にスタート。
第3ウェーブ:残り約6,600名のランナーが9:20分にスタート。
※2 スタートの号砲が鳴ってからフィニッシュするまでのタイム
※3 スタートラインに到達したときからフィニッシュするまでのタイム
ウェーブスタートを導入したことにより、「とても満足している」と回答した方が58.8%、「満足している」と回答した方が33.3%、合計すると92.1%の方がウェーブスタートに満足しているという結果になりました。
また、アンケートでは「ウェーブスタート導入により、タイムが遅いのに前からスタートしようとする割り込みを減らすことができた」、「スタート地点は道幅が狭いため混雑緩和や転倒などの事故防止につながった」、「これまでは10km 過ぎまで走路の混雑が続いていたが、今回は5km 地点で混雑を感じなくなった」などのコメントもありました。
筑波大学体育系教授であり本大会の実行委員、かつ自身も当日はランナーとして参加した鍋倉賢治氏によると、「トイレ渋滞の緩和、スタートロスタイムの短縮、コース幅に対する走行するランナーの量など、全てにおいて今までと比べ遥かに改善されたと思います。 一度に大量のランナーが通過するため給水補充が間に合わない、といった課題もありましたが、今回、そのような状況は少なかったようです。」と解説されています。
景観を科学する
※つくばマラソン事務局調べ
給水所の表示物を、視認性・識別性を高めるため、配布物(水、バナナなど)を連想させる色を採用し、わかりやすかったかどうか聞いたところ、「とてもそう思った」と回答した方が14.1%、「そう思った」と回答した方が37.2%、合計で51.3%の方が「わかりやすかった」と感じている結果となりました。
アンケートでは「給水所でのみかんやきゅうりの色分けが見やすくて良かった」などのコメントをいただいています。
交通規制を科学する
アンケート調査の実施概要
■調査対象 : 第35回つくばマラソン参加ランナー
■実施期間 : 2015年11月24日(火)~12月13日(日)
■調査方法 : インターネット調査
■有効回答数 : 1,013件