SUUNTO(スント)のランニングウォッチAMBIT 3シリーズ徹底活用術!

今やランナーにとって欠かすことのできないアイテム“ランニングウォッチ”。

一昔前までのランニングウォッチはラップタイムを計測できることが、「機能的」であるかどうかの大きな指標でした。今ではラップタイムを計測できるのは当たり前。

GPS機能の付いたランニングウォッチ(GPSウォッチ)がある意味デフォルトの状態だと言っていいでしょう。

これまで様々な切り口でランニングウォッチに関する記事を紹介してきましたが、国内のGPS機能付きランニングウォッチと言えば、SUUNTO(スント)、GARMIN(ガーミン)、EPSON(エプソン)が主流。多くのランナーが活用しています。

各社様々な特徴がありますが、今回はSUUNTO(スント)の中でもAMBIT 3シリーズに焦点を当てて、機能や活用法をご紹介していきたいと思います。

AMBIT 3シリーズに関する詳しい機能や活用術はアメアスポーツジャパン株式会社、SUUNTO(スント)のブランドマーケティングマネージャーである成瀬秀樹氏にお話を伺ってきました。成瀬氏から伺ったお話を踏まえて、筆者なりにご紹介していきたいと思います。

SUUNTO(スント)の歴史

2016年でスントは創業80周年。液体(オイル)を入れたフィールドコンパスを世界で初めて開発し、ビジネスをスタートさせたのが1936年です。もともとはコンパスメーカーとしてスタートしました。

ロシアとフィンランドが戦う冬の戦争の時に10倍以上の兵の数を持っていたロシアにフィンランド軍が勝利。真冬の豪雪地帯の中で、フィンランド軍がスントのコンパスを使って、位置を確認しながらロシア軍と対戦した経緯が世界中に広がり、世界各国の軍隊から注文が殺到してビジネスが拡大。

スントにとって転機になったのは1980年代です。

コンパスの技術を海の上でマリンコンパスとしてヨットやボードの上につけたり、潜水夫の人達が方位を知るための、水中で使えるダイブコンパスとして使用していました。ダイバーの人達は海に潜る時に水深何メートルのところまで潜り、何分静止して、何分上がって・・・という風に、ゆっくりと段階を上げて浮上していかないと、一酸化窒素が身体の中に入り込み、潜水病になってしまいます。

それまでのダイバーは紙と鉛筆を使って、自分で計算をしていたそうなのですが、それをコンピュータにしてみたらどうだろうということで、1984年にダイビングコンピューターを開発。その結果、ダイバーの中であっという間に広がりを見せました。

自分で計算しなくても水中での深度や滞在時間が一目でわかるため、潜水病にならないように安全にダイビングを行えるコンピュータが誕生したのです。

そこからスントはダイビングコンピューターの中では世界No.1のトップシェア。この技術を陸に上げて、山の高さや天気、気圧を計測する技術を開発して、世に出したのが1998年です。

スントのヴェクターというモデルで山登りの人達のための高度計、気圧計、電子コンパスの機能を使って、新製品を出しました。これが2000年位から北米で爆発的なブームになり、アメリカで爆発的に売れ、そこから同じく2000年に日本に来ました。

このような背景もあり、アウトドアに対するスントのイメージを持っている方が非常に多いのかもしれません。2012年にはGPSのカーナビと同じチップを埋め込んだAMBITという製品をリリース。特にトレイルランナーを始めとして、GPSウォッチが非常に評価され、人口が15万人と少なかった時代からスントはトレイルランナーの世界をサポートしていたとのこと。

そういった意味では、トレイルランナーの方の多くはスントのランニングウォッチを身に付けているのかもしれません。

2012年にはアスリート向けのGPSウォッチが発売され、そこから急激にGPSウォッチの市場が伸びています。

ですが、マラソンやランニング、ジョギングをする人の中でGPSウォッチを持っている人というのは全ランニング人口の約12%程度だと言われています。

スントのランニングウォッチを選ぶ3つの指標

ランナーにとても評価されているのがAMBIT 3 RUNというモデルです。

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AMBIT 3シリーズを分かりやすく、かつランナーの目的に応じて分類すると、ランナー向けにはAMBIT 3 RUNが、トライアスリート向けにはAMBIT 3 SPORTが、登山・トレイル・ロングレーサーにはAMBIT 3 PEAKがそれぞれオススメとのこと。自分自身のスポーツスタイルに合わせて、商品があるのがありがたいところです。

さらにデザイン重視型がSPORT、機能重視型がPEAK、お値段重視型はRUNという分類もできるのではないかとのことでした。

スントというブランドはフィンランドの製品というところもあって、デザインにとてもこだわっています。計測機器としてスポーツシーンで活用するだけではなくて、普段から使用できる時計として十分に役立つデザインとイメージを持った製品を展開しています。

例えば、ウルトラマラソンに出場するランナーはAMBIT 3 RUNでは対応しきれないのか?という問いに対しては、仮にその人がウルトラマラソンを14時間で走るランナーだとしたら、GPSデータ取得頻度が1秒の場合、確かにバッテリーが持ちません。

※AMBIT 3 RUNはGPSデータ取得頻度が1秒の場合、約10時間稼働。

その場合の解決策としては

GPSデータ取得頻度を1秒から5秒に変える(GPS取得の正確性は多少落ちてしまいますが)、もしくは稼働時間の長いタイプに変えるのも1つです。

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※AMBIT 3 PEAKはGPSデータ取得頻度が1秒の場合でも、約20時間稼働します。

現状、お客さんがSUUNTOのランニングウォッチを選ぶ際には、その選び方も2通りあり、

自分自身でしっかりと勉強した上で、指名買いをされる方

もう一つはお店で説明を受けて、購入する方。その後に、自分のスポーツスタイルをお店の人にお伝えして、製品の使い方のアドバイスを受けて、自分でカスタマイズされているそうです。

これだけ分かればいい!という方はロードランナーに多く、ものすごくカスタマイズする方はトレイルランナーに多い傾向にはあるそうです。

Movescountアプリでランニングをカスタマイズする

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より、機能的にかつランニングライフを楽しむために、スントではMovescountというアプリを提供しています。アプリ上で様々な設定をすることができ、独自のプログラムを作ることが可能です。

例えば、ゴーストランナーという機能を時計に入れと、設定したペースに対して何秒速いのか、何秒遅れているのか、という表示を教えてくれます。

また、エイドステーションやトイレの位置を予めアプリに入れていくことで、次のエイドまで後何キロとか次のトイレまで後何キロといったことをアプリとして作ってダウンロードすることができます。

例えば、2015年は湘南国際マラソン専用アプリが作成され、予めエイドの位置が分かるようになっています。

GPSウォッチで何ができるかな?と考えた時に前述のアプリのページを見ていただくと、本当に沢山のプログラムがあります。

例えば、牛丼というアプリ。自分が運動して消費したカロリーが牛丼の並盛で換算すると何杯分なのか?ということが分かります。

もっと手軽にGPSウォッチを楽しまれる方の中で、人気なのがSUUNTO MOVIEという60秒間のアニメーションが作れる機能です。ロードランナーに限らず、スントオーナーの中の非常に多くの方が使用されているそうです。

2015年の1月に行ったインターネット調査では、スントオーナーの9割の方がSUUNTO MOVIEをFacebookやTwitter、Instagramでシェアをしていることが分かっています。ソーシャルメディアを活用されている方にスントユーザーの方が多いのではないでしょうか。

Movescountというページの中の「アプリゾーン」というところを見ていただくと、人気のアプリが上から順に沢山出てきます。

SUUNTOが誇るデザイン力

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スントのランニングウォッチはデザイン力に優れているのが大きな特徴ですが、中でもAMBIT 3 SPORTは非常に高い評価を得ています。AMBIT 3 SPORTはiFデザインアワード、レッドドットアワードデザインも取っています。世界で最も歴史のあるデザイン賞「Chicago Athenaeum: Museum of Architecture & Design(シカゴ・建築 & デザイン博物館)」主催のグッドデザイン賞を受賞しました。

AMBIT 3 SPORTはよりデザインを重視するために、他のモデルよりも薄型に作られています。薄さが故に問題として起こるのが強度。薄くなると強度が弱くなってしまいます。それを防ぐためにステンレススチールのリングを入れています。このリングを間に噛ませることで強度を強めているわけです。

ロードランナーは時計の重さを気にする方が多いですが、沢山のユーザーデータの中で、スントオーナーはどんなスポーツをされる方が多くて、そのためにはどのくらいGPS機能を必要とするか?というところから逆算してバッテリーの容量を決めています。そして、消費電力ができるだけかからないような基盤のルートを計算した上で開発をしています。これだけ基盤やバッテリーのスペースが必要だと。それをどんなケースの中に入れていこうかという感じで作っているそうなので、結果的に80gになりました!ということになります。

さらに、フィット感とバランスで重さを感じさせない作りになっています。例えば、製品によってはシリコンの肌触りの良いストラップを付けて、汗をかいてもベタつかない、尚且つベルトを締めた時にぐらつきがないようなストラップのレイアウトになっています。なので、走っていて、違和感を感じない、フィット感が良いから、重さをそこまで感じないと言っていただける方が多いそうです。

 

パフォーマンスを上げたいランナーがチェックしておくべき測定項目

最後に、ランニングウォッチをパフォーマンスアップに繋げるための活用法について、紹介をしていきたいと思います。

パフォーマンスアップを図る上で欠かせないのが「ピッチとストライド」「心拍数の計測」です。

ピッチとストライドを把握する

自分のランニングフォームがストライドを広くして走った方が合っているのか、ピッチを上げて走った方がいいのか、これらを普段の練習の中から見極めます。そのために普段の練習からピッチとストライドを計測。

股関節の柔軟性や筋力等によっても変わってくるので、どちらがいいかを探っていく必要があります。

練習の時にから探しておくと、例えばフルマラソンのレースの時に最後までより楽に走ることが可能です。

測定項目の中では「ケイデンス」をもとに分析します。ランニングケイデンスはピッチ・ストライドを見る指標です。ランニングケイデンスとは1分間にどれだけ歩幅が動いたか。ランニングケイデンス×2で計算すると1分あたりの歩数が出てきます。

Movescount内には、距離やランニングエイデンスの計測データからピッチやストライドを計算して表示してくれるアプリもあります。

心拍数の計測をする

そしてもう1つ大事な測定項目は、心拍数を計測すること。心拍数を計測することで、レース中のコンディションを数値として把握できるので、何よりレースの失敗が少なくなります。

普段の練習の時から、心拍数を計測することで、自分の力に合ったペース配分を把握することが可能です。

多くのランナーが「キロ何分」という概念が先行してしまっていますが、そのペースで走っている時の心拍数を把握していないと、オーバーペースになりかねません。

例えばサブ3.5を達成したいというランナーは平均4分58秒のイーブンペースで走れば目標を達成できることは、ほとんどの人が知っています。

ですが、4分58秒で走っている時の心拍数を把握している人は、意外に少ないのが現状です。

どれくらいの心拍数を維持していれば、ペースダウンすること無く長時間走れるのかをある程度把握していないと、レースで失敗するリスクも高くなってしまいます。

トレーニングの効果を、心拍数をもとに考える必要性を改めて感じました。

ヨーロッパ21カ国の調査では、時計の画面の中で、メインで何を表示させているかというところで言うと、ダントツの1番は心拍数でした。ちなみに日本のダントツ1位はペース(キロ何分)とのことです。

多くのランナーが「ペース至上主義」的な感じになってしまっているのがよく分かります。

編集後記

今回はSUUNTO(スント)のランニングウォッチ、AMBIT 3シリーズについての紹介とランナーにおすすめの機能と活用術についてお話を伺うことができました。

分かりやすい選択基準を設けるのであれば、ランナー向けにはAMBIT 3 RUNが、トライアスリート向けにはAMBIT 3 SPORTが、登山・トレイル・ロングレーサーにはAMBIT 3 PEAKがそれぞれオススメとのこと。

特にSUUNTO(スント)のランニングウォッチはいくつものデザイン賞を受賞していることからも、高い機能性だけでなく、デザイン性に優れたアイテムだといえるでしょう。

デフォルトで搭載されている機能を活用するだけでも充分ではありますが、SUUNTOのランニングウォッチは自分に合ったアプリを入れて、カスタマイズすることで、いくらでもランニングをデザインすることが可能です。

なので、単にペースや距離を把握できればいいという人よりは、もっとクリエイティブにランニングを楽しみたいという方にオススメです。

単に何キロ走ったのか、キロ何分で走れたのかを把握するだけのツールではなく、さらに沢山の機能があるだけでなく、ランニングウォッチを活用することでライフスタイルそのものが変化する!ランニング体験をシェアすることで、新たな繋がりが生まれる!そんな体験を、ぜひしていただければと思っております。