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フルマラソンの「30kmの壁」はなぜ現れるのか?その原因を考察してみた!

 2018/02/09 ランニングノウハウ
この記事は約 7 分で読めます。 5,780 Views

フルマラソンを走っていると終盤(特に30km以降)になると急にペースダウンしてしまうという経験をされた方は多いのではないでしょうか。

この現象はよく「30kmの壁」と表現されています。

しかし、この「30kmの壁」はどうして生じてしまうのでしょうか?今回はその原因の1つについて説明していきます。

筋肉での主要なエネルギー源「グリコーゲン」

いわゆる「30kmの壁」の説明をする前に、まず知っておいてほしいことがあります。

それは筋肉の主要なエネルギー源は「グリコーゲン」と呼ばれる物質である、ということです。

グリコーゲンとは、ブドウ糖(グルコース)がたくさん繋がった物質で、生体内における糖質のような物質です。

私たちが運動する際にはこのグリコーゲンを分解することでエネルギーを得て運動しているのです。

一般的な成人男性だと、筋肉にグリコーゲンは約1500kcal分蓄えられているとされています。

ここで1967年に発表された、筋肉のグリコーゲン量が長時間の運動において重要であることを示した有名な研究を紹介したいと思います。

この研究では被験者に持久テストを行う3日前に運動を行わせ、筋肉のグリコーゲンを一度枯渇させます。

その後「普通食」、「低糖質食」、「高糖質食」のいずれかの食事を食べるように群を分けて持久テストにどのような影響があるかを調べています。

テストは一定の強度で自転車をどれだけ長く漕ぐことができるか?という内容のテストを行っています。

その結果、普通食や低糖質食を食べた人よりも、高糖質食を食べた人の方がより長く運動を続けることができました。

また、テスト前に筋肉にグリコーゲンがどれだけ含まれているかを調べると、普通食や低糖質食を食べた人よりも高糖質食を食べた人の方がより多くのグリコーゲンが含まれていました。

筋肉のグリコーゲンの量と運動の継続時間には比例関係、つまりグリコーゲンの量が多いと運動の継続時間が長くなる、という関係が見られました。

この研究結果から分かるように、長時間の運動を行う際は筋肉にあるグリコーゲンの量が重要だということが言えます。

「30kmの壁」が生じる原因は?

それでは「30kmの壁」がどうして生じるのかについてお話していきます。

もちろん様々な原因があるわけですが、「30kmの壁」が生じる1つの原因として、筋肉のグリコーゲンが少なくなっていることが考えられます。

筋肉に蓄えられている主要なエネルギー源はグリコーゲンです。

このグリコーゲンがなくなっていくと、今まで発揮できていた力を維持することができなくなり、どんどんと走るペースが落ちていきます。

走る前に筋肉のグリコーゲンの量をあらかじめ高い状態にしていても、体内に蓄えられる量には限界があります。

30km程走るとグリコーゲンはどうしても少なくなり、ペースを維持できなくなってしまうのです。

では、どうしてグリコーゲンがこれだけ重要なのでしょうか。

それは、グリコーゲンが身体活動時に使われやすいエネルギー源だからです。

「脂肪を燃焼する」という言葉があるように、体内では脂肪もエネルギー源として使われています。

しかし脂肪はグリコーゲンに比べると、素早くエネルギーを供給することができません。

つまり、グリコーゲンが減少してくると、素早くエネルギーを供給できなくなり、今までのペースを維持できなくなるのです。

また、脂肪をエネルギー源として使う際にはグリコーゲンを使う必要があります。

焚き火で火を燃やし続けるのに薪がいるように、脂肪を燃焼させるにはグリコーゲンが必要となるのです。

脂肪を利用するという面からも、グリコーゲンは重要と言えます。

グリコーゲンは筋小胞体という、筋肉に収縮しろと命令する器官のスイッチのような物質でもあります。

グリコーゲンが減少してくると、このスイッチが弱くなり、なかなか筋肉に収縮を働きかけることができなくなります。

この他にも、グリコーゲンが重要な理由は様々あるのですが、とにかく長時間の運動をするには筋肉のグリコーゲンの量が重要で、運動を続けているとグリコーゲンがなくなっていきます。

そのことが原因で「30kmの壁」と呼ばれる現象が生じるのです。

グリコーゲンを蓄えるために

体内にしっかりとグリコーゲンを蓄えるには、グリコーゲンの源である糖質をしっかりと食べる必要があります。

具体的にはグリコーゲンローディングという食事の方法があり、これを実践することでグリコーゲンをたくさん蓄えることができます。

グリコーゲンローディングの方法は簡単に説明すると、試合の3日前から糖質からのエネルギー摂取量を70〜80%程度にまで高めた食事を摂取するという方法です。

ただ、グリコーゲンを蓄えるには同時に水分も必要となります。

そのため、グリコーゲンローディングを行う際はいつもよりも水分を多めに摂取しましょう。

また、グリコーゲンローディングを行うと、グリコーゲンと共に体内に水分が多く貯まるため体重が1kg程度増加します。

ほとんどの場合、体重の増加よりもグリコーゲンの貯蓄の増加の方がパフォーマンスにプラスに働きますが、いつもよりも体が重く感じ、走り方などに影響が出る可能性があります。

ターゲットとなるレースとは別のレースで、一度グリコーゲンローディングを実践して感覚を掴んでおいた方がいいでしょう。

糖質を多く含む食品には米類やパン類、麺類などが挙げられます。

これらの食品を摂取して効率的に体内にグリコーゲンを蓄えましょう。

参考:マラソンレースでカーボローディングを実施する際の具体的方法と注意点まとめ

サプリメントを活用する

グリコーゲンを蓄えるという点で、食事と合わせてサプリメントを活用するのも1つの方法です。レース中だけでなく、普段のトレーニングでも活用することができます。

レース中にグリコーゲンの補給を速めることができれば、30kmの壁を超えられる可能性が高まります。

WINZONE(ウィンゾーン)のENERGY×ENERGYを活用すれば、グリコーゲンの補給を速めることができるだけでなく、脂肪の活用を促します。

つまり、限られた量のグリコーゲンのが補給でき、もう一つのエネルギー源として活用できる脂肪を使いやすい状態にできるわけです。

マラソンのレースでは30kmの壁対策として、アミノ酸のサプリメントを活用する方が沢山います。

ですが、30kmの壁の原因が「糖」の不足によるものであれば、アミノ酸よりもグリコーゲンの補給を速め、脂肪の活用を促すサプリメントを摂取するほうが理にかなっていると言えるでしょう。

その他の原因

「30kmの壁」の主要な原因の1つは筋肉のグリコーゲンが減少することです。ですが、その他の要因も関連していると考えられます。

まずは皮膚体温の上昇です。長時間の運動を行うと皮膚体温が上昇し、それにより疲労が生じるという研究結果があります。

直感でも分かるように、暑いとやる気が起きなかったり、気怠く感じることは多々あります。実際こうしたことも影響していると考えられます。

汗による体内の水分の損失も「30kmの壁」と関連していると考えられます。

体内の水分が減少すると血液がドロドロになり、スムーズに筋肉にエネルギー源を届けることができなくなったり、神経系の働きが悪くなったりすることでペースが落ちることも原因として考えられます。

参考:【心拍トレーニングの限界】心拍に影響を与える7つの要因

まとめ

今回はマラソンで「30kmの壁」が生じる原因について述べてきました。

フルマラソンで「30kmの壁」と呼ばれる現象が生じるのは、筋肉で主要なエネルギー源となっているグリコーゲンが少なくなることが主な原因の1つです。

グリコーゲンは脂肪とは違い、使いやすいエネルギー源となっています。

なので、グリコーゲンが少なくなると、同じペースではエネルギーを補う速度が追いつかなくなり、その結果ペースが落ちてしまうのです。

そのため、マラソンでは筋肉にしっかりとグリコーゲンを蓄えておくことが重要と考えられています。

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ライター紹介 ライター一覧

中野卓

中野卓

運動生理学、スポーツ栄養学を専攻する大学院生。
トレーニング効果を高める栄養素についての研究を行っている。
マラソンやランニングに関する有益な情報を、運動生理学やスポーツ栄養学的な観点から発信していきます。

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