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フルマラソンの「30kmの壁」はなぜ現れるのか?その原因を考察してみた!

ランニングノウハウ
この記事は約 7 分で読めます。 28,293 Views

フルマラソンを走っていると終盤(特に30km以降)になると急にペースダウンしてしまうという経験をされた方は多いのではないでしょうか。

この現象はよく「30kmの壁」と表現されています。

しかし、この「30kmの壁」はどうして生じてしまうのでしょうか?今回はその原因の1つについて説明していきます。

筋肉での主要なエネルギー源「グリコーゲン」

いわゆる「30kmの壁」の説明をする前に、まず知っておいてほしいことがあります。

それは筋肉の主要なエネルギー源は「グリコーゲン」と呼ばれる物質である、ということです。

グリコーゲンとは、ブドウ糖(グルコース)がたくさん繋がった物質で、生体内における糖質のような物質です。

私たちが運動する際にはこのグリコーゲンを分解することでエネルギーを得て運動しているのです。

一般的な成人男性だと、筋肉にグリコーゲンは約1500kcal分蓄えられているとされています。

ここで1967年に発表された、筋肉のグリコーゲン量が長時間の運動において重要であることを示した有名な研究を紹介したいと思います。

この研究では被験者に持久テストを行う3日前に運動を行わせ、筋肉のグリコーゲンを一度枯渇させます。

その後「普通食」、「低糖質食」、「高糖質食」のいずれかの食事を食べるように群を分けて持久テストにどのような影響があるかを調べています。

テストは一定の強度で自転車をどれだけ長く漕ぐことができるか?という内容のテストを行っています。

その結果、普通食や低糖質食を食べた人よりも、高糖質食を食べた人の方がより長く運動を続けることができました。

また、テスト前に筋肉にグリコーゲンがどれだけ含まれているかを調べると、普通食や低糖質食を食べた人よりも高糖質食を食べた人の方がより多くのグリコーゲンが含まれていました。

筋肉のグリコーゲンの量と運動の継続時間には比例関係、つまりグリコーゲンの量が多いと運動の継続時間が長くなる、という関係が見られました。

この研究結果から分かるように、長時間の運動を行う際は筋肉にあるグリコーゲンの量が重要だということが言えます。

「30kmの壁」が生じる原因は?

それでは「30kmの壁」がどうして生じるのかについてお話していきます。

もちろん様々な原因があるわけですが、「30kmの壁」が生じる1つの原因として、筋肉のグリコーゲンが少なくなっていることが考えられます。

筋肉に蓄えられている主要なエネルギー源はグリコーゲンです。

このグリコーゲンがなくなっていくと、今まで発揮できていた力を維持することができなくなり、どんどんと走るペースが落ちていきます。

走る前に筋肉のグリコーゲンの量をあらかじめ高い状態にしていても、体内に蓄えられる量には限界があります。

30km程走るとグリコーゲンはどうしても少なくなり、ペースを維持できなくなってしまうのです。

では、どうしてグリコーゲンがこれだけ重要なのでしょうか。

それは、グリコーゲンが身体活動時に使われやすいエネルギー源だからです。

「脂肪を燃焼する」という言葉があるように、体内では脂肪もエネルギー源として使われています。

しかし脂肪はグリコーゲンに比べると、素早くエネルギーを供給することができません。

つまり、グリコーゲンが減少してくると、素早くエネルギーを供給できなくなり、今までのペースを維持できなくなるのです。

また、脂肪をエネルギー源として使う際にはグリコーゲンを使う必要があります。

焚き火で火を燃やし続けるのに薪がいるように、脂肪を燃焼させるにはグリコーゲンが必要となるのです。

脂肪を利用するという面からも、グリコーゲンは重要と言えます。

グリコーゲンは筋小胞体という、筋肉に収縮しろと命令する器官のスイッチのような物質でもあります。

グリコーゲンが減少してくると、このスイッチが弱くなり、なかなか筋肉に収縮を働きかけることができなくなります。

この他にも、グリコーゲンが重要な理由は様々あるのですが、とにかく長時間の運動をするには筋肉のグリコーゲンの量が重要で、運動を続けているとグリコーゲンがなくなっていきます。

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ライター紹介 ライター一覧

中野卓

中野卓

運動生理学、スポーツ栄養学を専攻する大学院生。
トレーニング効果を高める栄養素についての研究を行っている。
マラソンやランニングに関する有益な情報を、運動生理学やスポーツ栄養学的な観点から発信していきます。

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