ランニングフォームを可視化するスマートシューズ【ORPHE TRACK】

ランニングフォームを正しく評価するにはどうすればいいのか?の記事の中で紹介したように、現段階ではランニングフォームの分析に、
①映像等を使った実際の動作評価
②テクノロジーを活用した評価
の2つが必要です。
なぜなら、映像上の動作だけではどうしても評価する者の主観や経験による違いが出てきますし、テクノロジーだけでは数値には現れない細かな動きや癖を評価する限界があるからです。
上記の記事の中で、「現状はランニング中に取得できるデータの項目数、データの精度は発展途上です。まだまだ改善の余地が残っている領域と言って良いでしょう。」
との見解を示しているわけですが、今回は新たにランニングフォームをテクノロジーの力を使って定量化できる日本発のスマートシューズ、ORPHE TRACKをご紹介したいと思います。
■ORPHE TRACKとは?
「ORPHE TRACK」はすべての靴をAI搭載のIoTシューズにするためのプラットフォームです。
これまでは通常のランニングシューズに専用のデバイスを取り付けることで、様々なデータを計測していました。
ですが、ORPHE TRACKはランニングシューズ内に専用のセンサー”ORPHE CORE”を埋め込み、ランニングフォームに関する様々な指標を数値化してくれます。
つまり、シューズとセンサーはセットになっているわけです。
シューズの中敷を取り外すと、踵部分に専用のセンサーORPHE COREを埋め込む部分があり、ランニングを行う前にスマートフォンとペアリングした状態で走ります。
ORPHE COREは6軸モーションセンサー・気圧センサー・振動モーターなどを通じて、リアルタイムで高精度の運動解析とフィードバックを可能にしました。
センサーがランニングシューズの「中」にあることで、ランニングの「外」に取り付けていたものと比較して、精度の高いランニングデータの取得が可能になります。
センサーは左右のシューズ内に埋め込まれ、各データの左右差を評価することが可能です。ランニングにより発生するであろう怪我の予防や改善にも効果を発揮します。
上の写真では少し分かりにくいですが、ペアリング中はセンサー部分がライトアップされる仕組みになっており、ナイトランの際は多くの注目を集めること間違いなしです。
■ORPHE TRACKで計測できるもの
ORPHE TRACKでは大きく6つのデータ項目を計測することが可能です。
順番に見ていきましょう。
まずは、多くのランナーが興味のあるランニング中の接地位置について。
スマートフォンアプリ上ではHEEL(踵着地)、MID(足の真ん中で着地)、FORE(足の前側で着地)の3パターンに分かれており、ランニング中に「どのくらいの割合で、どこで着地をしていたのか?」をフィードバックしてくれます。
上記の写真ではランニング全体を通じて、左右共に100%踵で着地していたことを示しています。
参考記事:ランニングフォームからマラソンで疲れない走り方、着地方法を考える
次にランニング中のプロネーションの角度についても、数値化してくれます。
ランニング中の足部のプロネーションとは、着地をした際に足部がどれくらい内側に倒れこむか(土踏まず部分が潰れる方向に倒れるか)であり、数値が大きい=より足部が内側に倒れ込んでいると判断できるわけです。
ランニングスピードによってプロネーションの角度は変わってきますが、基本的にプロネーションが大きいと怪我のリスクも大きくなります。
足部のプロネーションは下肢の怪我との関連も強いので、数値化できるのは大きな強みだと言えるでしょう。
参考記事:オーバープロネーションを改善するために必要な対策まとめ【ランニング編】
次にストライドとピッチに関するデータです。
多くのランニングウォッチ・GPSウォッチでも計測可能な指標なので、馴染みのある方も多いのではないでしょうか?
1つ注意点としては、ストライドは2歩分のデータを表示しているそうで、1歩あたりの平均で見ると、左が112cm、右が109cmの歩幅ということになります。