ランニングで土踏まずが痛くなる原因と対処法
「う~、やっぱり痛いな」
そのうちおさまってくれないものかと、様子をみながら走っていても、やっぱり痛い。しかも走り続けるほどに痛みは強く、はっきりとしてくる...
ランニングを継続されている方であれば、膝やふくらはぎなど、どこかしらの部分で、このような経験をされているのではないでしょうか。
僕の場合、ランニングを始めた当初は足首が、それから初めてフルマラソンに挑戦したときは膝が、それはもう、走るのを止めてしまうほど痛くなったことを覚えています。
それらの痛みはその後、様々な専門家からのアドバイスとセルフケア、そして、ランニングフォームの改善でほぼ克服することができました。
しかしながら、痛みとの戦いは尽きないもので、今度は土踏まずが痛みを訴えてくるようになりました。そこで今回は、自身の事例をもとに、ランニングで土踏まずが痛くなる原因について解説したいと思います。
目次
ランニングで土踏まずが痛くなる原因
ランニングによって起こる土踏まず周辺の痛みとしては、足底筋膜炎(足底腱膜炎と言われることもある)が有名です。僕の場合は、土踏まずのアーチの一番高いところから、足の親指の付け根辺りにかけて、ズキズキとした痛みが出ています。
足底筋膜炎は、足の裏のアーチがつぶれている人(偏平足)や、逆にアーチが高い人(ハイアーチ)、そして、ふくらはぎの柔軟性が低下している人に良く起こるトラブルです。このことから、土踏まずの痛みは、足の裏のアーチ形状が崩れてしまうことで引き起こされていると考えられます(ふくらはぎの奥にも後脛骨筋と言う足の裏のアーチを作るために働いている筋肉があります)。
なお、足の裏のアーチと言うと土踏まずと思われがちですが、実は土踏まずを含めて3つのアーチがあり、体重を効率的に支えています。
図1:足の裏の3つのアーチ
足の裏のアーチの役割
体を支える土台となっている足の裏のアーチは、歩くときや走るときに、いったん潰れて衝撃を吸収し、そのエネルギーを次の一歩の推進力に変えると言う、バネのような働きをしています。
こちらの記事でも指摘されている通り、足の裏のアーチに対するバネの役割がランニングシューズの「ある特徴」のせいで、十分に使えなくなっている可能性があります。
そのランニングシューズの「ある特徴」から、足底筋膜炎を起こしてしまう可能性が考えられるため、詳しくご紹介したいと思います。
足の裏のバネの働きに影響するランニングシューズの特徴とは?
ランニングシューズに限らずどんな靴にも備えられている仕様に、トゥスプリングと言うものがあります。あなたの靴も平らな床や地面に置いたときに、つま先が1~3cmほど浮き上っているかと思います。その仕様がトゥスプリングと呼ばれるものです。
トゥスプリングの役割は、歩くときに靴の先端が地面にあたらず、つまずきにくくなることと、一歩の終わりに靴の踵側が上がりやすいようにするためにあります。
上記のwebサイトでは、トゥスプリングが足の縦方向のアーチ(土踏まず)の曲りを妨げることで、痛みを伴う結果となっていることが指摘されています。
ここで、走るときに足の裏のアーチがどのように機能しているのか簡単に確認してみましょう。
僕達は、走るときも歩くときも、足が着地する直前に足の指を持ち上げる動きをします(ご自身の足で確認してみて下さい)。この足の指を持ち上げる動きにより、足底筋膜を引っ張ることで、足の裏をこわばらせ、着地衝撃に備えます。このとき、土踏まずのアーチは、比較的高い状態に保たれ、潰れながら着地衝撃の一部を吸収する余地を持っています。
そして、着地衝撃を受けとめながらアーチは潰れていき、それと同時に持ち上げていた足の指も地面に下りてきます。その後、足の裏のアーチに貯め込まれたエネルギーを開放して、次の一歩へと移って行くのです。
図2:走行または歩行時の足の動き
図3:足の指の持ち上げによる足底筋膜が引っ張られる図
この一連の動きにおいて、靴にトゥスプリングがあることで、妨げられている動きがありますよね?
それは、着地の直後に足の指を地面に下ろす動きです。ところが、トゥスプリングが髙過ぎたり、靴底が硬過ぎたりして、足の指を下ろせない状況ですと、本来は着地衝撃の吸収に合わせて、緊張を緩めていきたい足底筋膜が、緊張させられたまま着地衝撃を受けてしまいます。
これでは、足の裏のバネの役割が十分に果たせないと同時に、足底筋膜の負担が大きくなってしまいます。僕の土踏まずの痛みはトゥスプリングが髙過ぎるシューズによって、足底筋膜の緊張が大きくなっていたことで起こってしまった可能性があります。
ランニング中の土踏まずの痛みに対する予防策はあるのか?
今回のケースは、土踏まずの痛みの原因=トゥスプリングが影響している可能性があることが分かりました。そして、その予防策として、RUN FOREFOOTによると最低限の機能しか備えていないミニマリストシューズや、裸足でのランニングが効果的であると言うことが述べられています。
しかしながら、そういったランニングもフルマラソンのような長距離のレースですと、僕も含めた多くの市民ランナーの足には負担が大きすぎて、故障に繋がってしまう可能性があります。
そこで、今後の土踏まずの痛みの予防策として、以下の3つを考えてみました。
①靴を履かずに過ごす時間を少しでも増やす
②ランニングの前後などに裸足でのウォーキングやジョギングを入れる
③足の裏、ふくらはぎのマッサージやストレッチなど、セルフケアを徹底する
これらの意図は、トゥスプリングによって緊張させられてしまいがちな足底筋膜をなるべく多くの時間、その緊張状態から解放させてあげることと同時に、本来のバネ機能が弱ってしまわないよう、トゥスプリングの影響なしで足に刺激を入れておくことです。
セルケアについては、足の裏に限らず、定期的に走るのであれば全身について行うことが大切です。
まとめ
以上、土踏まずの痛みの原因について解説してみましたが、いかがだったでしょうか?
土踏まずが痛いと言うランナーは、足底筋膜炎を発症している場合が多く、足底筋膜炎の原因の1つに足の裏のアーチの崩れがあることが考えられます。
足の裏のアーチ構造は、足の筋肉、腱、そして筋膜などで維持されており、その形状が崩れてしまう主な原因に、筋肉の疲労や、柔軟性を失っていることがあります。
ランニングシューズには、アーチ構造を維持するための筋肉をサポートする機能が備わっており、僕達が長い距離を走る手助けをしてくれています。
しかしながら、足底筋膜に着目してみると、トゥスプリングと言う一般的なシューズの仕様によって、常に緊張気味な状態になってしまう可能性があります。
土踏まずに痛みが出ると言う方は、このことを頭に置いて、日々のケア、そして練習を工夫してみて下さい。