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インターバルトレーニングで得られる効果をまとめてみた!

 2018/02/26 マラソンとトレーニング
この記事は約 7 分で読めます。 28,379 Views

マラソンの練習と聞くと長い距離を長時間にわたって走る!とイメージする人は多いのではないでしょうか?

実際に長距離を走る練習も必要なのですが、より効率的にトレーニング効果を得られる方法として、「高強度インターバルトレーニング(High Intensity Interval Training : HIIT)」(少しの休憩を挟みながら全力走を繰り返すトレーニング)というものがあります。

今回は高強度のインターバルトレーニング(以下、HIIT)の効果や原理、方法、注意点について説明していきます。

高強度インターバルトレーニングで得られる効果

HIITは中強度持続的トレーニング(Middle Intensity Continuous Training : MICT)(一定の強度で長時間走るトレーニング)よりも効率的にトレーニング効果が得られるということが最近多くの研究で報告されてきました。

HIITは400m 10本ダッシュや、1000m 10本ダッシュのような、一定の休息を挟みながらダッシュを繰り返すトレーニングです。

一方、中強度持続的トレーニング(以下、MICT)は最大心拍数の70%くらいの強度でペースを変えずに走り続けるトレーニングです。

MICTは長時間走らないといけないので時間がかかり、単調な運動なので飽きてしまうというデメリットがあります。

ですが、HIITは短い時間で手軽に行うことができ、飽きも少ない方法です。

それではHIITを行うと、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。

MICTと比較しながら説明していきましょう。

最大酸素摂取量(VO2max)の上昇

まずHIITの効果として、最大酸素摂取量(VO2max)を効率的に上昇できることが挙げられます。

最大酸素摂取量とは、1分間にどれだけの酸素を体内に取り込めるのかを示した値で、持久系競技のパフォーマンスに大きく影響を与えます。

最大酸素摂取量に影響を及ぼす因子として、心肺機能や血管密度、生体内のエネルギー工場であるミトコンドリアの量や機能などが挙げられます。

HIITを行うとMICTを行うよりもこれらの要素を効率よく向上させることができ、結果として最大酸素摂取量をMICTよりも効率的に上昇させることができるわけです。

高強度の運動に耐える能力が身につく

HIITでは、強度の高い局面があるのが特徴です。

強度の高い運動を行うと水素イオンがたくさん作られ、体内が酸性に傾いていき、ダッシュを行う際の疲労の原因となります。

ダッシュを繰り返すことで体内が酸性に傾かないように緩衝する能力が身につき、ダッシュをした時に疲労を感じづらくなります。

このようにHIITでは、MICTでは鍛えられない高強度の運動に耐える能力を身につけることができるのです。

速筋線維を鍛えることができる

筋肉には速筋と遅筋という、2種類の筋肉があります。

速筋は大きな力は出せるが、持久力は乏しい、遅筋は大きな力は出せないものの、持続して力を発揮できる、というのが大きな特徴です。

速筋と遅筋は使われ方にも違いがあります。

強度の低い運動をしていると、始めは遅筋が使われます。

徐々に強度を高くしていくと、遅筋だけでは大きな力を発揮できないので速筋が使われ始めます。

このように、速筋は高い強度にならないと動員されないのです。

HIITではMICTよりも運動強度が高いので、基本的に速筋が使われます。そのためHIITではMICTでは使われない速筋を鍛えることができるのです。

内臓脂肪を落とす効果も

マウスを、HIITを行わせる群とMICTを行わせる群に分け、走行距離を同じにしてトレーニングをした結果、HIITを行った方が、内臓脂肪が少なかったという結果が得られた研究があります。

これは、HIITの方が消費するエネルギーが大きいからと考えられます。

このように、HIITには内臓脂肪を減らす効果も期待できます。

なぜHIITで効率よくトレーニング効果が得られるのか

ここまでHIITで得られる効果について、MICTと比較しながら見てきました。

持久的な運動を行う際には、ミトコンドリア容量によって持久的なパフォーマンスが規定されていると言っても過言ではないほど、筋肉の中のミトコンドリアの量は重要です。

そこで、ここからはHIITによってどうして効率的にミトコンドリアを増やすことができるのかを見ていこうと思います。

エネルギーが多く必要

HIITは強度の高い運動をするので、MICTよりも多くのエネルギーが必要となります。

体の中でエネルギーの消費が激しくなると、AMPKというタンパク質が活性化され、ミトコンドリアの合成を促進するPGC-1αという転写因子を活性化し、ミトコンドリアの合成が促進されます。

そのためHIITではMICTよりも効率的にミトコンドリアを増やすことができます。

乳酸が生成される

高強度の運動を行うと乳酸が作られる、というのは有名な話です。多くの方が知っていることでしょう。

乳酸は疲労物質という捉え方をする人が多いのですが、実は乳酸はミトコンドリアの生合成を促進する物質でもあるのです。

骨格筋細胞を乳酸と一緒に培養すると、PGC-1αの元となる遺伝子が増加したという研究結果や、乳酸をマウスに投与すると投与しないマウスよりもミトコンドリア量が多かったという研究があります。

このことから、HIITを行うとMICTでは作られない乳酸を作り、ミトコンドリアの合成を促進することが考えられます。

この他にも活性酸素が多く作られる、細胞内のカルシウムの濃度が上昇する、など様々なメカニズムが知られています。

インターバルトレーニング・実際の方法

ここまで少し科学的で難しい話もありましたが、HIITは実際の練習の中で、簡単に取り入れることができます。方法はとてもシンプルです。

ダッシュと休憩を繰り返す、というだけ。ダッシュの時間ですが、20〜30秒程度となるように距離を設定しましょう。始めは200mのダッシュを、20秒の休憩を挟みながら10本くらいの強度から初めて、慣れてきたら距離を長くしたり本数を増やしたりしていきましょう。

例)

200m×10 rest : 30s

200m×20 rest : 20s

400m×10 rest : 40s

1000m×10 rest : 60s

休憩時間についてですが、適度に設定することが重要です。

休憩時間が長すぎたら十分に心拍数が上がらなかったり乳酸が作られなかったりして効率的にトレーニング効果を得ることができません。

逆に短かすぎても1回1回のダッシュで全力が発揮できずに十分な効果が得られないことがあります。距離が短ければ最大30秒程度、長い距離なら最大60秒を目安にレストを設定しましょう。

HIITを行う際の注意点

最後にHIITを行う際の注意点をいくつかご紹介します。

HIITの前には下半身の筋トレを行わないようにしましょう。HIITは全力で走るので下半身に大きな負荷がかかります。感覚的に分かるかと思いますが、筋トレ後には十分な速度を出すことができません。

その状態でHIITを行っても十分な効果は期待できない上に、怪我をするリスクもあります。

なので、HIITを行う前には下半身の筋トレは避けましょう。

また、インターバルトレーニングを行う際は、どうしてもペース配分が感覚的になってしまいます。

例えば、1,000mのインターバルを5本実施することを考えた時に、1,000mをどんなペースで走れば良いのか分かりづらかったり、1本目と5本目のペースが極端に違ってきたり・・・というケースも考えられます。

最近ではランニング中のパワーを計測することで、ペースコントロールがやりやすくなりましたし、インターバルトレーニングの質を上げてくれます。

最後に、初心者の場合いきなりHIITを始めると怪我をする恐れがあります。始めは少し速度を抑えて走り、慣れてきたら全力で走る感覚を掴んでから取り組みましょう。

まとめ

ここまで高強度インターバルトレーニング(HIIT)について、中強度持続的トレーニング(MICT)と比較しながら説明してきました。

HIITは高強度で運動を行う局面があるのでエネルギーの消費が高まったり乳酸が作られたりすることから、ミトコンドリアの生合成に有利に働きます。

その結果、持久力の指標となる最大酸素摂取量を効率的に上昇させることができます。

HIITはいつもの練習に簡単に取り入れることができるので、是非計画的に挑戦してみてください。

インターバルトを含めたレーニングの質や効率性を上げるための「パワートレーニング」については、入門セミナーで詳しく解説をしています。

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ライター紹介 ライター一覧

中野卓

中野卓

運動生理学、スポーツ栄養学を専攻する大学院生。
トレーニング効果を高める栄養素についての研究を行っている。
マラソンやランニングに関する有益な情報を、運動生理学やスポーツ栄養学的な観点から発信していきます。

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