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【GRAND TRAIL 】7日間6ステージ273kmに及ぶ「旅」の魅力!

Grand to Grand Ultra
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トレイルランニングは、今まさに「ステージレース」化の時代を迎えています。

日本でも、年々トレイルレースへの参加者は増えていますが、ステージレースというジャンルは、まだこれからのカテゴリーです。

ステージレースの代名詞と言えば、30年以上の歴史を持つ「サハラマラソン」。

サハラマラソンは、1週間の長期にわたる、砂漠でのレース。1日ごとに距離設定(ステージ)が用意され、各ステージの合計タイムで、総合順位が決められます。

世界中から毎年1000名以上が参加し、メディアでも度々紹介されてきたので、ステージレース=砂漠、という印象は、今ではすっかり定着しているようです。

しかし近年、砂漠に限らず、さまざまな地形を走るステージレースが、世界各国で生まれています。

なかでも注目なのが、今年で7年目を迎える、北アメリカ大陸でのステージレース。このレースは、北米で最初のステージレースとして知られています。

それが、アメリカのユタ州とアリゾナ州で開催される「Grand to Grand ULTRA(G2G)」。

レースは6ステージ273㎞。G2Gは、数々のステージレースに参加してきたTessと、その夫である投資銀行出身のCollinがレースディレクターを務めます。2017年は世界中から、22歳から76歳までの119人がエントリー(内、日本人参加者は4人)し、完走率は77%でした。
姉妹レースに、ハワイ島で開催されているステージレースMauna to Mauna(M2M)があります。

関連記事:アメリカ初!7日間273㎞の道 Grand to Grandとは?


※G2GのTrailer Video.レース全体のイメージ映像をどうぞ!

G2Gは、グランドキャニオンやスロットキャニオン、ピンク・クリフといった、旅好きなら一度は訪れてみたい場所を1週間、ひたすら走るステージレースです。

私は、サハラマラソンを走って以来、ステージレースの世界に魅了され、第6回となるG2Gの2017年大会に参加してきました。

まだ日本では馴染の薄いG2Gですが、このレースの魅力を改めて紹介したいと思います。

レース参加から既に1年が経とうとしていますが・・・。

Grand to Grandのスタート


※Stage1 スタートの時の様子。スタートはついつい頑張りすぎてしまいます・・・。

2017年9月24日、午前8時。

G2Gは、グランドキャニオンのノース・リムの大絶景を背にスタートします。

ゴールは、7日後。ブライスキャニオン国定公園のピンク・クリフ。その距離は273㎞です。

7日間にわたるG2Gも、1日ごとのステージの距離が、それぞれ決められています(表を参照)。

 

距離

高低差

特徴

Stage1

49.6km

+504m

-414m

グランドキャニオンの絶景を望み、初日からハイスピードとなるステージ。

Stage2

43.3km

+718m

-928m

中盤までテクニカルなセクションが連続するため、心肺機能と脚力の消耗が激しい。

Stage3

85.4km

+1698m

-1304m

G2G最長のステージは、コースの75%が砂礫。レース後半には5.4㎞の砂丘が待つ。

Stage4

41.9km

+892m

-970m

ステージ3と同様の砂礫帯ながら、岩のトンネルやロープを使ったクライミング区間も!

Stage5

41.9km

+851m

-596m

前半の目玉は、スロットキャニオン! 岩場のトレイルの終盤には、ダラダラと登る舗装路が待つ。

Stage6

12.3km

+836m

-265m

ゴールのブライスキャニオン国立公園(ピンク・クリフ)まで、秋の山中を一気に駆け上がる。

※高低差は一般的なトレイルと比べると、あまりありませんが、
砂丘やブッシュ帯が多く、思ったほど走れません・・・。

選手たちは、自らの体力を1週間という長いタームで計算しつつ、持てる能力をフル活用してG2Gを闘います。

そのため戦術は、ステージごとの順位争いやタイム差だけに留まりません。早く次のキャンプ地に辿り着き、翌日までのリカバリー時間を稼ぐコトも、極めて重要な闘いです。

もちろんそれは、トップ選手だけでなく、完走目的の選手も同じ。

そう、速さだけではない、サバイバルの能力もステージレースでは問われています。


※毎朝の朝食の様子。サハラマラソンと違って、お湯は自分で沸かさなくてOK!

そんなG2Gの1日の活動は、午前6時に響く音楽で明けます。

辺りはまだ真っ暗で、何より寒い。

一番冷え込んだ朝の気温は、2℃。毎日寝袋から出るのは大変で、途中でトイレに行くのも一苦労。おかげで、7日間夜中にトイレに行くことは一度もありませんでした。

スタート時間の30分前には準備を終え、テントを出るのが決まりなので、目覚めてから1時間半で朝食を済ませ、スタートできる用意が必要となります。

しかしサバイバルは、レース前の朝食から、すでに始まっています。

朝食は、大会側が用意してはくれません。朝食を含め、全ての食事は、自分で背負った分しかないのです。

私が用意した食事は、基本的にアルファ米やカップ麺といった、非常食。

そう、食料計画も、レースの一部です。

ステージレース=サバイバルという表現は、決して誇張ではありません。

魅惑的な(?)ステージレースG2G


※最高のロケーションの中で走る。後方は筆者。前は女子2位のカナダの選手。22歳(当時)、若い!

そんなG2Gですが、全てが砂漠のステージレースとは違い、景色はバリエーションに富んでいます。

果てしなく伸びるこの道は、どこまで続くのか……。次のチェックポイントやゴールのキャンプ地が見えているのに、たどり着けない……。

砂漠のステージレースでは、心まで折れるような景色の単調さに悩まされますが、G2Gでは、程度の差ではありますがが、比較的に少ないのが特徴です。

ただし、「こんなところ通るの?」というルートが、(その分)G2Gでは待ち構えています。


※コース中に何度も出現するサボテン!刺さると、なかなか抜けない・・・。

大変なのは、ブッシュ帯。

ブッシュ帯は、文字通り低木が密集するエリア。木の枝で足と腕が傷だらけになるのはもちろん、小さなサボテンも点在しています。

油断していると、足にトゲが刺さる。痛いだけでなく、なかなか抜くことができません。やっかいこの上ない存在なのです(一度、蛇にも遭遇して焦りました)。


※Stage3で待ち構える、唯一の砂丘区間(5.4km)。夜に通ると、終わりが全く分からない・・・。

G2Gには、サハラの気分の砂漠のステージもあります。

コーラルピンク砂丘州立公園は、3日目のロングステージ後半。G2G唯一の砂丘区間であり、何度も何度も、そして何度も、砂丘のアップダウンを繰り返し越えていきます。

私を含めたほとんどのランナーは、真っ暗闇の中を、砂丘に残された足跡を頼りに進むしかありません。

遅々として進まぬ5・4㎞は、神経を擦り切れさせるほど、遠く果てしない(しかも、名前の由来となった砂丘の美しいピンク色は、夜の闇の中で一切見えないという……)。

砂漠でのレースでは、砂そのものも敵になります。シューズに入り込んだ砂は、靴の重量を増やし、ソックスと足との摩擦を上げて、全ての歩みを妨害させます。

そのため、砂がシューズの中に入らぬよう、ゲーターと呼ばれるシューズカバーの装着が一般的です。

しかし私は、不覚にも、砂丘が1箇所だけという事前情報で、ゲーターを装備に加えませんでした。

皆さんのご想像通り、これが仇となったわけです。


※ゲーターを持っていかなかったので、チェックポイント毎にシューズから砂を出す。
ほとんどのランナーが足のトラブルを抱えながら走る。

歩を進める度に、シューズに砂が入る。シューズを脱いで落としても、砂はスグにシューズに侵入する。

砂丘の途中で、何度も何度も、脱いでは履き、脱いでは履くハメに。

ついには耐えきれず、裸足で砂丘を進む……。登りは四つん這いにならなければ、到底、前に進めませんでした。


※砂丘ではシューズに砂が入りすぎて、結局こうなります(笑)。

私は、生まれて初めてシューズを手に装着し、這いつくばって、何とか最後の砂山を登り切りました……。

サバイバルは、確かにステージレースの代名詞ではあります。

しかし、だからこそ、人間の存在がちっぽけに見えるような超絶な景色にも出会うコトができるわけです。

G2Gの全ステージで最も魅力的なポイントと問われたら、参加者の多くが、「スロットキャニオン」だと答えるでしょう。


※Stage5で現れるスロットキャニオン。G2Gを象徴するスポットの1つ。

スロットキャニオンは、長い年月で、雨水が岩を穿ってできた峡谷。ひと一人がやっと通れる自然の造形美を走る、G2Gの中で魅惑のポイントです。

さらに、7日間のレースの最後には、ブライスキャニオン国定公園のピンク・クリフを見上げながらの圧巻シングルトレイルが待っています。

眼下には、息を呑むような絶景が拡がり、「早くゴールしたい」という思いと共に、「この非日常がもう終わってしまうのか……」という寂しさが込み上げてきます。

こうして、少なくない数のランナーたちが、ステージレースの魅力の虜になるのでしょう。

ステージレースに参加するために


※G2Gの日常の様子。男女関係なく、最大8人で寝食を共にします。風呂やシャワーはありません。

私も、サハラマラソンを2015年に完走後は、ステージレースを再び走ろうとは考えていませんでした。

「人生一度くらいは……」という動機から言えば、サハラの完走は、確実にひとつのゴールです。

それに加えて、ステージレースに参加するには、出発から帰国まで2週間程度の時間を要します。。

ステージレースに参加するなら、最低2週間、日本を離れなければならないということです。レース中は、ほとんどの外界の情報が遮断され、スマートフォンの使用も許されません。

だから、時間をある程度コントロールしやすい自営業者は、確かに参加者の割合としては多くなります。

ですが、主催者のCollinに話を聞くと(雑誌Tarzanに記事を掲載するために、Stage4終了後にインタビューの機会をいただきました)これまでに50以上の国と地域から、さまざまなバックグランドを持ったランナーが参加していると話をしてくれました。

自営業だけでなく、会社員やアルバイトと書いている人も驚くほどいます。

多忙は、参加できない大きな理由となりますが、全てではありません。

ステージレースの魅力に虜になる理由は、ステージレースそのもの。

G2Gに参加した、日本人以外のランナーたちも、サハラマラソンやゴビ砂漠、アタカマ砂漠、ナミビア砂漠のステージレースの経験者ばかり。

「なぜ、G2Gに参加したの?」と、他国の参加者に聞いても、「よく分からないけど、来てしまった!」と答えが驚くほど多い……。

もちろん、何の目的も無しに参加したランナーなど、1人もいません。

生活習慣病の対策としてランニングを始めて、走ることにのめり込み、G2Gに参加したというランナーもいます。

難病を抱える息子を励ますために、参加を決意したランナーもいます。

ただ唯一、どんなレベルのランナーにも共通しているのは、“自分が、どこまで出来るのかを試してみたい!”という、生物としての根源的な欲望なのかもしれません。

ステージレースは、100㎞、100マイルなどに代表されるウルトラトレイルに比べると、完走のハードルそのものは、それほど高くはありません。

ステージレースは、優勝を狙うトップアスリートも、出場そのものを目指してきた我々のような一般ランナーも、等しく自分の限界にチャレンジできる、ひとつの「場」なのかもしれません。

国や民族、宗教も、性別も、年齢も、走力も違うにもかかわらず、1週間を共に戦う、同じ旅の仲間。

生活を共にすることで自然と一体感が生まれ、その一体感は日に日に増していきます。参加者が120人と少ないG2Gでは、ステージレースの参加者の一体感は、さらに強固になります。


※ゴール後に7日間、同じテントで苦楽をしたメンバーと。
15のテントがある中で、メンバー全員が完走できたのは、僕らともう一つだけ!

これで2回目のステージレースは無事に終了しました。

日本国内・国外問わず本当に沢山のレースやイベントがあります。ステージレースに参加するランナーは、他のステージレースにも参加する傾向にあります。

私自身もウルトラトレイルを含め、今後もチャレンジをしていくつもりです。ただ、次のステージレースを考えた場合、間違いなくもう一度Grand to Grandに参加すると思います。

それくらい魅力的なレースでした。

個人的には、運営、ボランティア、参加者が1つのチームとなり「全員で完走しよう!」という一体感がたまらなく好きでした。


※レース終了後に行われるセレブレーションパーティー。

「ああ、もう一度帰ってきたいな」と思ったのは、レース後に参加したセレブレーションパーティーに参加してから。

様々な種類のお酒は飲み放題、そして食べ放題。7日間、インスタント食と塩素臭い水しか口にしていなかった反動は大きく、7日で落ちた(であろう)体重は一瞬で元に戻ります・・・。

パーティーでは、総合・各年代での表彰式が行われ、当日まで走っていた映像や写真を全員で見ながら、7日間を振り返ります。

とても辛かった7日間なのに、終わった後にはなぜかツラいことも含めて「楽しい思い出」に変わっているわけです。

G2Gは各国の参加人数に定員が設けられていて(日本枠は最大10名)、トータルでも最大170名までしか参加ができません。

ですが、この人数だからこそ、年齢・性別・国籍関係なく、全員で感動を共有できるのではないかとも思うわけです。

2019年以降、ぜひ一緒にこの感動を共有しましょう!

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ライター紹介 ライター一覧

浦中宏典

浦中宏典

ランナーズNEXT 編集長

株式会社ストレッチサポート 代表取締役
1983年8月12日 長崎県長崎市生まれ

高校卒業後、大学でスポーツ科学(運動生理学・バイオメカニクス)を学び、トレーナーとしてスポーツの世界で実績を積む。

主な活動実績はJR東日本硬式野球部、サントリーサンゴリアス(ラグビー・トップリーグ)、国際テニストーナメント、世界陸上大阪大会、日本大学フェニックス(アメリカンフットボール)他。2011年、サハラマラソンランナーのトレーナーとしてトレーニングと身体のケアを担当。

2011年4月に会社を設立。
テクノロジーの力でスポーツアクティビティを今より楽しくすることで、「もっとチャレンジしたくなる世の中を創る」
ために事業活動を行っている。

2015年4月に開催されたサハラマラソンにランナー兼トレーナーとして出場・完走。
2017年9月にはアメリカ ユタ州を中心に開催されるGrand to Grand Ultra(7日間6ステージ273㎞のレース)に参加し完走を果たす。

自分自身も実践者として、常に挑戦を続けている。

<メディア掲載実績>
テレビ NHKまちかど情報室
雑誌 Tarzan(マガジンハウス)
雑誌 トレイルラン2017夏号(山と渓谷社)
新聞 長崎新聞
ラジオ 中央FM
専門誌 月刊トレーニング・ジャーナル 他多数

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