マラソンやランニング中の水分補給を失敗しないためにできる3つのこと

マラソンやランニングを含めたスポーツを行う上で非常に大事なのは、「水分補給」です。熱中症対策といった安全面でもそうですし、いかに速く走るかというパフォーマンスアップという切り口でも重要になってきます。

他にも、疲労回復(リカバリー)という点で大切です。

多くのランナーが「水分補給は大事だ!」と思ってはいるものの、具体的にどう水分補給をしていけばいいのかがイマイチ分からない・・・。という人も、きっと多いのではないでしょうか。

喉が乾く前にこまめに飲む、一気に水を飲み過ぎない、など一般的に言われていますし、実際にそうすべきだとは思います。

ですが、もう少し具体的なガイドラインがあれば、多くのランナーがマラソンやランニングに取り組む上での安心材料になるはずです。

特にフルマラソン以上の距離を走るレースに出場する人で、記録を伸ばしたいと思うランナーは、何より「補給」が大事です。

フルマラソンやウルトラマラソンでは水分補給、エネルギー補給、ナトリウムの補給が必須です。どれが欠けても失敗します。

今回は中でも「水分補給」に焦点をあてて、マラソンのレースで失敗しないための注意点や具体的な水分補給の方法を考えていきたいと思います。

ランニング中・ランニング後の水分補給量を考える

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まずは、そもそもマラソン中、ランニング中にどれくらいの水分をとればいいのか?という点について考えてみましょう。

水分損失とパフォーマンス低下の関係は有名ですが、Armstrongらの研究によると、体重の2%の水分が失われることで、有酸素性能力が20%減少すると報告しています。

体内の水分が減少することで体温調節がうまくできなくなり、心拍数も増加してしまうわけです。

Walshらの研究によると、自転車競技社が1.8%の脱水をした場合、脱水していない状態と比較して、最大酸素摂取量の90%の運動強度で疲労困憊に至るまでの時間が32.8%短くなったと報告しています。

もちろん、運動の種類や環境(寒い中でやるのか、暑さの中でやるのか等)によってもパフォーマンスは変化しますが、最低でも自分の体重の2%以内に水分損失量を抑える必要はありそうです。2%以上になってくると、パフォーマンスが低下するだけでなく、特に夏場は熱中症のリスクも非常に高くなってしまいます。

では、どうやって失われた水分を測定するのか?というと、走る前と走った後の体重変化を計測します。できるだけ裸で計測しましょう。特に夏場は汗が衣類にまとわり付くので、シャツなどを着たままだと、失われた水分量が正確に分かりません。

運動前の体重ー運動後の体重=水分損失量

ですが、仮にランニング中に水分を摂取した場合は、

運動前の体重ー運動後の体重+運動中の水分摂取量=水分損失量となります。

水分損失量÷運動前の体重×100で身体の何%の水分が失われたのかが計測できます。

日常生活での水分補給を考える

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では、次に考えたいのは1日の中で私たちはどれくらいの水分を摂取すればいいのか?ということ。

フランスの食品安全局によると、一般的なフランス人に対し、平均60kgの成人で1日2.1〜3.0L(体重1kgあたり35〜50ml)の水分補給を推奨しています。

2008年にはヨーロッパ食品安全局が成人で1日に女性で2L、男性で2.5Lの水分補給を提言しています。

もちろん、1日の水分摂取推奨量が2.5Lであっても、極端な話1回の補給で2.5L補給するのではなく、できる限り頻度を増やしてこまめに水分補給することが重要です。

ランニングを含めたスポーツ活動を行う人の場合は、当然上記の推奨量よりも摂取しなければならない水分量は結果的に多くなります。

マラソンレースでの水分補給を考える

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日常での水分補給よりも、マラソンレースの際の水分補給はシビアです。ファンランであっても、やはり後半は体力的にもシンドくなりますし、血流が筋肉に集中してしまいますから、内臓の疲れを感じる人も多くなります。

特に記録を意識している人であれば、水分摂取の重要性は分かっているけれど、なるべく前に進むことを優先したい・・・などの葛藤も出てくることでしょう。

個人的には、そこまでして記録にこだわる必要はないと思いますが、人それぞれ目的や考え方もあるでしょうから、ここではできる限り効率的に水分補給をしていく方法を考えていきます。

マラソンレースでの水分補給を考える際に、レースを走る中でどれくらいの水分が失われるのか?ということをまず考える必要があります。

ここでも、前述した

運動前の体重ー運動後の体重=水分損失量

という式を活用します。

ポイントは、レース時の格好とレースペースで走ることです。

例えば、サブ3.5を狙うランナーであれば、イーブンペースで考えると4′58″/㎞で1時間走る。

1時間走った際の失われた水分量が分かれば、時間あたりに補給すべきおおよその水分量が分かるというわけです。

ただし、気象条件によって当然失われる汗の量は違います。極端な例ですが、夏場に走って失われた水分量を冬場のレースで補給しようとすると、水分過多になってしまうのは明白です。

ですから、レース時の気象にできるだけ近い状況で計ることをオススメします。

同じ冬のレースであっても、最高気温が15℃の時もあるでしょうし、5℃しかない時もあるでしょう。気温差によって、水分量を調節することは当然ながら必要になってきます。

レース後半になって気温が上がってくる場合は、飲む回数を多くする必要もあるでしょう。

失われた水分の100%を必ずしも補給する必要はありません。ですが、減った水分量の8割以上は飲むようにしましょう。

最後に、水分補給時の水の温度について補足。基本的に水分補給をする際は、自分が飲みやすい水の温度で飲む場合がほとんどだと思いますが、日本体育協会では、5℃〜15℃の水温の水が脱水状態を引き起こしにくくし、パフォーマンスの維持、向上のためには最適であるとの見方を示しています。

まとめ

今回はマラソンやランニングと水分補給についてまとめてみました。一概にどれくらいの量を飲んだほうが良いですよ、とは言えません。ですが、水分補給に関する考え方、おおよその摂取量に関する考え方は理解していただけたのではないでしょうか?

特にフルマラソンのレースで失敗する人の中には、レースマネジメントの他、補給(水分、エネルギー、ナトリウム)で失敗している人も多く見受けられます。

どうしても練習内容にばかり目が行ってしまいますが、直前まで練習をやり過ぎて、実は内臓の疲労が抜け切れないままレースに臨んでいる人も沢山いらっしゃいます。暴飲暴食による内蔵の疲れが・・・という人もいるかもしれませんが・・・。

身体的には疲れていなくても、内蔵の疲れは表に出てくることが少なく、回復までの時間で考えてみても、身体の回復の2倍はかかると言われています。

内蔵疲労が残った状態では水分やエネルギーの補給自体がうまく行きませんので、体調管理も含めて、計画的に補給をしていくようにしましょう!

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