風・気温・湿度の影響を考慮できるランニング用パワーメーターStryd Version3(V3)レビュー

これまでランニングパワーに関する情報、ランニング用パワーメーターStrydに関する情報をアップデートしてきました。

2019年5月に風・空気抵抗を考慮し、気温や湿度センサーを搭載した新しいStryd(Stryd V3)がリリースされるという情報を極秘で(?)入手してから4ヶ月・・・ようやく入手し、計測することができましたので、レビューをしていきたいと思います。

参考記事:Strydがデバイスアップデート!風・気温・湿度を考慮したランニングデータが取得可能に!

Stryd V3 vs V2:ハードウェアの違いとパッケージングの違い

まずはハードウェア(見た目)の違いとパッケージングの違いから。

Stryd(V3)はStryd(V2)と比較をすると、若干だけコンパクトになりました。ですが、フットポッドの見た目はほとんど変わりません。

大きな違いはフットポッドの背面とクリップ部分。


※Stryd V2とV3の違い(表側)


※Stryd V2とV3の違い(裏側)

クリップの変更に伴って、デバイスとクリップの着脱は以前よりも簡単になりました。

次にパッケージングの違いです。


※Stryd V3のケースは充電テーブルが小さくなった分、コンパクトに。

Stryd V2時代の充電テーブルは1度変更があり、写真の充電テーブルは初期のモデル。変更後はV3に近いものになっています。

ハードウェアの違いについては動画でも解説してみしたので、合わせてご覧ください。

 

Stryd V3 vs V2:ソフトウェア(取得できるデータ)の違い

Strydに付随するソフトウェア”Power Center”(Garminデバイスに付随するGarmin Connectのようなもの)上では、上記のようなデータが表示されます。

Stryd V2とV3によるPower Centerの違いは、風や空気抵抗を考慮したAir Powerが表示されるか否か。

デフォルトではAir Powerは表示されていませんが、自由にどの計測項目をグラフ上に表示させるか選択することができます。

SHOW AIR POWER CONTRIBUTIONをクリックすると、灰色でAir Powerが表示されます。

少し分かりづらいので、ある部分を拡大してみてみましょう。

最初の3kmをピックアップしてみました。

この中の8:06地点にカーソルを合わせると、312Wのパワーを発揮している時、その内の20%はAir Power(この時は主に向かい風)の影響を受けていることが分かります。

312Wの20%なので、62.4Wです。もしStryd V2でパワーを計測していた場合は単純に考えると、312-62.4=249.6Wになってしまいます。

この日は特に風が強い日だったので、Air Powerが大きく出ていますが、ランニング中は風・空気抵抗の影響を受けていることが分かります。

ちなみに、無風状態でもランニング中は空気抵抗を受けることになるので、Air Powerが発生。ランニングスピードが上がると、Air Powerも大きくなります。

グラフ上で灰色部分が無い箇所は「この時は空気抵抗以上の追い風を受けながら走っていたんだな」と判断すればOKです。

全体として、Stryd V3はStryd V2に比べてパワーの値が大きくなる傾向にあるようです。

パワートレーニングを実施する上で重要な指標であるFTP(Functional Threshold Power)/CP(Critical Power)に関しても、数値は大きくなります。

2019年9月時点では、温度や湿度に関する情報は表示されていません。センサーそのものは搭載されているので、今後のソフトウェアアップデートによって、表示されるようになるでしょう。

また、Air PowerはスマートフォンのStrydアプリでは表示されず、Power Centerのみで表示されるようになっています。

ソフトウェアの違いについて、動画でも解説してみましたので、合わせてご覧ください。

 

まとめ

ここまでStryd V2とStryd V3の見た目やパッケージの違い、取得できるデータの違いを紹介してきました。

これまではランニングパフォーマンスを考える上で、気温、湿度、風といった外部環境の変化に対応することは難しい状況でした。

気温が高ければ走り辛いし、向かい風が強ければ走り辛いことは感覚的には理解できますが・・・。

ですが、気温、湿度、風の情報が取得できるようになることで、例えばレース中にどれくらいのペースで走ればいいのか?が「ある程度」掴めるようになってきます。

これから「気温とランニングパフォーマンスの関係性」に関するデータは蓄積されていきます。そういった情報を元に、自身のレースプランを考えることも可能です。

また、例えば気温10℃ 5:00/kmで走った時と、気温30℃ 5:00/kmで走った時では心拍数の上がり方も変わってくるでしょうし、同時に深部体温の上昇にも違いが現れてきます。

深部体温の上昇に違いが出てくれば、発汗状況も変わってくるでしょう。

結果的に、ランニング中にどれくらいの水分を取ればいいのか?も変わってきます。

特に市民ランナーの場合、競う相手は自分自身である場合がほとんどであり、レース中の駆け引きがあるわけではありません。

何が言いたいかというと、対戦型のスポーツに比べて分析にかかる手間は少なくて済みますし、自分自身のパフォーマンスデータを分析し、ビックデータを活用することができれば成長・進化するためのヒントは必ずあるということです。

身体の「中」でリアルタイムにどんな反応が起きているのか?までは取得できる状況ではありませんが、今回新たに取得できるようになった気温、湿度、風の影響をトレーニングやレースで活かしていきましょう。