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乳酸性作業閾値(LT)を計測しランニングパフォーマンスを向上させるには?

ランニングノウハウ
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※計測機器はGarmin ForeAthlete 630Jにて計測。

日頃からLTのモニタリングをしていると、どうやら心拍数をもとに、LTペーストをはじき出しているようです。

なので、アップダウンの激しいコースで計測した場合(自動アップデートされます)LTペースは遅くなります。

計測環境を揃えるために、平地で計測した値を用いることにします。

直近のデータを見ると、LTペースは5′01″/km、心拍数は165 bpmという結果でした。

つまり、LTペースに1分以上の差がある事になります。

ということは、GPSウォッチで計測されたデータには信憑性がないのでしょうか?

ここで、実測したデータをもう少し掘り下げていくことにします。

lt3

スポーツ医科学センターで計測したデータシートを見ると、血中乳酸濃度が2 mmol/Lと4 mmol/Lの時のペースト心拍数が表示されています。

血中乳酸濃度が2 mmol/Lの時で見てみると、ちょうどLTペースに近い値です。

※血中乳酸濃度が2 mmol/Lになった地点=LTではありません。おおよそ2 mmol/L程度にはなると思いますが。

血中乳酸濃度が4 mmol/Lの時はOBLA(Onset of Blood Lactate Accumulation)と呼ばれ、直訳すると血中乳酸濃度の上昇開始点となります。

LTと何が違うのか・・・という話ですが、LTの場合は、上記のグラフからも分かるように、曲線のカーブが急に変化しているポイントです。

OBLAは長時間運動を維持できる限界の強度(少なくとも30分〜1時間程度)とされています。

ここまで見ていくと、GPSウォッチで弾き出された数字はLTよりもOBLAに近いことが分かります

VDOTとの関連性を考える

では最後に、VDOTとの関連性を見ていくことにしましょう。

今回の記事では乳酸性作業閾値(LT)がテーマとなってるので、VDOT自体の詳細は書籍に譲ります。

VDOTを活用すると何が良いのかというと、膨大な量の統計から、例えばフルマラソンの記録を予測していくれたりすることです。そして、どんな練習をしていけば良いのかを数字で把握できることが大きなポイントです。

例えば、VDOTが40の人はフルマラソンを3時間49分45秒程度の力がありますよ!と言った感じです。

10㎞を50分くらいで走る人であれば、おおよそ3時間49分45秒程度の力があるのではないかとの見方もできます。

スクリーンショット 2016-09-04 22.59.51

※代表的な距離でのVDOTの一部

ジャックダニエルズのランニングフォーミュラでは、練習法の1つとしてTペースで走る(閾値ランニング)というものが存在します。閾値=LTです。

今回、筆者が計測した数字は実測でのLTペース6分15秒、GPSウォッチでの予測値が5分01秒、OBLAペースが4分53秒です。

これらの数字をVDOTに当てはめてみたいと思います。

スクリーンショット 2016-09-04 23.06.49※TペーストVDOTの関係性

LTペース、LTペース(GPS)、OBLAペースの近似値を取っていくと、それぞれ、VDOT31、VDOT41、VDOT42となります。

次に、それぞれのVDOTからフルマラソンのタイムを予測すると、4時間41分57秒、3時間45分09秒、3時間40分43秒という感じです。

ここ半年以上フルマラソンに出ていないので、推測の域を出ないわけですが、おそらく最低でも4時間は切れるのではないかと思います。

そう考えると、ジャックダニエル氏の理論に近いものは実測のLTよりもGPSウォッチで予測されたLTということになります。

まとめ

ここまで様々な切り口で文章を書いてきましたが。まとめると、下記のように仮説を立てることができるのではないでしょうか。

・LTの実測値はトレーニング強度(閾値ランニング)としては強度が低いのではないか?

・GPSウォッチで計測されたLTペースはLTよりもOBLAに近いのではないか?

・トレーニングメニューを考える際にGPSウォッチが弾き出した数字を活用することは、十分にアリなのではないか?

・ジャックダニエルズが提唱する閾値ランニングはLTよりもOBLAに近いのではないか?

しかしながら、今回の事例はたった一人の事例に過ぎません。

なので、参考程度に読んでいただければと思っています。なぜなら、繰り返しになりますが事例数が少ないからです。

他の人が同じように計測をしたとしても、同じようになるかどうかは分かりません。同じようになるかもしれないし、ならないかもしれない。

なので、最低でも8人以上のデータを集めて吟味していく必要があるでしょう。

今回は、一探求者の探求事例として見ていただければ幸いです。

尚、乳酸性作業閾値(LT)を簡易的に予測し、日頃のトレーニングに活かすには乳酸性作業閾値の予測ができるGPSウォッチを活用するといいでしょう。

※現状ではGARMIN(ガーミン)のGPSウォッチの一部で、かつ心拍ベルトの装着が必要です。

尚、2017年にアメリカの会社から筋肉中の酸素飽和度を計測できるデバイスがリリースされました。

筋肉の疲労状態を可視化できるデバイスです。心拍数とは違い、筋肉中の酸素状態をリアルタイムで把握できるので、今後注目されるでしょう。GARMIN(ガーミン)のGPSウォッチとも接続できますので、一度下記の記事をチェックしてみてください。

関連記事:【最新ウェアラブルデバイスHumon Hex】ランニング時にリアルタイムで筋肉中の酸素を計測し、疲労状態を可視化する!

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ライター紹介 ライター一覧

浦中宏典

浦中宏典

ランナーズNEXT 編集長

株式会社ストレッチサポート 代表取締役
1983年8月12日 長崎県長崎市生まれ

高校卒業後、大学でスポーツ科学(運動生理学・バイオメカニクス)を学び、トレーナーとしてスポーツの世界で実績を積む。

主な活動実績はJR東日本硬式野球部、サントリーサンゴリアス(ラグビー・トップリーグ)、国際テニストーナメント、世界陸上大阪大会、日本大学フェニックス(アメリカンフットボール)他。2011年、サハラマラソンランナーのトレーナーとしてトレーニングと身体のケアを担当。

2011年4月に会社を設立。
テクノロジーの力でスポーツアクティビティを今より楽しくすることで、「もっとチャレンジしたくなる世の中を創る」
ために事業活動を行っている。

2015年4月に開催されたサハラマラソンにランナー兼トレーナーとして出場・完走。
2017年9月にはアメリカ ユタ州を中心に開催されるGrand to Grand Ultra(7日間6ステージ273㎞のレース)に参加し完走を果たす。

鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の国家資格者でもあるが、現在はランニングウォッチやランニング用パワーメーター(Stryd)などのデバイスを活用しながら、効率的にマラソンやランニングの目標を達成するためのサポートをしている。

自分自身もマラソンやトレイルランニングの実践者として、常に挑戦を続けている。

<メディア掲載実績>
テレビ NHKまちかど情報室
雑誌 Tarzan(マガジンハウス)
雑誌 トレイルラン2017夏号(山と渓谷社)
新聞 長崎新聞
ラジオ 中央FM
専門誌 月刊トレーニング・ジャーナル 他多数

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