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【書評】2時間で走る フルマラソンの歴史と「サブ2」への挑戦!

そんな中、近所の書店でたまたま、ある一冊の本と出会いました。

それが、イギリスの若手ジャーナリストであるエド・シーサの著書、2時間で走る:フルマラソンの歴史と「サブ2」への挑戦

2011年にボストン・マラソンで2時間3分2秒(当時の世界最高記録だったにも関わらず、ボストン・マラソンは世界で最も古くから継続して開催されているにも関わらず、世界記録を出せる大会とは位置づけられていない)をマークし、翌年のベルリン・マラソンでも2時間4分15秒をマーク、ワールド・マラソン・メジャーズを2度も制したジョフリー・ムタイの人生を通じて、彼だけでなく偉大な選手たちが育った家庭環境や練習環境などを事細かに紹介しています。

東アフリカのトップランナーは生まれつき競技能力に優れ、順風満帆に競技生活を送っているように表面上は思ってしまいますが、この本を読むと決してそんなことはないと思うはずです。

確かに、身体能力は恵まれているかもしれませんが、それ故の苦労もあるということがハッキリと認識できるはずです。

アフリカでの貧しい生活環境は様々な苦労のホンノ1つに過ぎません。いや、むしろ、高い競技成績を残し、恵まれない生活環境から離れたランナーほど、苦しんでいると言っていいでしょう。

ジョフリー・ムタイを含めた、そんなアフリカ勢ランナーの記録への挑戦と葛藤がリアルに描かれています。

他にも、日本でも活躍したサムエル・ワンジル(仙台育英高校→トヨタ自動車九州)が北京オリンピックで金メダルに輝いた後、なぜ24歳の若さでこの世を去ったのか?

なぜ、ケニア人のトップアスリートは日本で言う軽量化されたレースシューズよりも、靴底に厚みがあり、デザイン用語で言うHTドロップ(踵とつま先の高さの差)が高いものを好むのか?

なぜフルマラソンは、42.195㎞という非常に中途半端な距離なのか?

世界のマラソンの歴史を学びながら、日本にいると想像できない、考えられない世界のマラソンの動きまでを知ることができます。

普段ランニングやマラソンをしている人だけでなく、マラソンを見るのが好きな人にもぜひ読んで欲しい1冊です。

マラソンに関するノウハウが書かれた書籍ではありませんが、世界のマラソンを見る目がきっと変わるはずです。