マラソンランナーが自己ベストを更新するために必要なトレーニング法とは?

マラソンランナーがより速く走れるようになるにはどうしたらいいか?

この「問い」は多くのランナーが抱えている悩みでもあります。人間誰しも進化・成長欲があります。

マラソンやランニングで言うと、前述の速く走れるようになりたい、他にも今より楽に走れるようになりたい、長い距離を走れるようになりたい、などの欲求があるんじゃないでしょうか。

ランニングを始めた当初は欲求が無かったとしても、継続しているうちに欲が芽生えることだってありますよね。

そんな進化・成長欲を満たすために、今回はマラソンランナーが自己記録を更新するために必要なトレーニング法を科学的根拠に基づいて紹介したいと思います。

ただし、本当に自分に合ったトレーニングを行いたい場合は、個別にトレーニングプログラムを立てる必要がある!ということはご理解いただければと思います。

トレーニングと言うと、筋力トレーニングや体幹トレーニング等を連想してしまいがちですが、今回紹介するのは「有酸素のトレーニング」です。ランニングの練習法といった方が分かりやすいかもしれませんね。

持久力を上げる

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マラソンを速く走るためには、持久性のパフォーマンス(持久力)を上げなければなりません。

では持久力を上げるためには何が必要なのか?大きくは2つ。

1つは最大酸素摂取量(VO2Max)を向上させること。もう1つは心臓や血管の機能を向上させることです。

人間は呼吸をすることで、酸素を体内に取り入れ、この酸素を利用して糖や脂肪を分解し、運動するためのエネルギーを得ています。
このエネルギーを得るために利用した酸素の量が酸素摂取量です。つまり、運動(ランニング)を持続すればするほど、酸素摂取量は増加することになります。

この酸素摂取量の最大値が最大酸素摂取量です。

KnuttgenとSaltinによると、高い強度のインターバルトレーニングは短時間の運動であっても、酸素摂取量の改善を促進する上で効果的であるという発表をしています。

MacDougallらも30秒間の最大強度によるスプリントが最大酸素摂取量を改善させることを示しています。

つまり、これらのことからもインターバルトレーニングがランニングのパフォーマンスを上げるためには必要な要素だといえるでしょう。

トレーニングの強度・時間・頻度

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次にトレーニングの強度や時間、頻度について。

ランニングのパフォーマンスを上げるためには、トレーニングの時間・頻度をストレスに耐えられるようになるに連れて、徐々に増加させる必要があります。

少なくとも20分〜60分間を週に3〜5回実施すべきであるという論文も出ています。

持久系アスリートと健康な人という分類でのガイドラインを下記に記します。

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(引用:レジスタンストレーニングのプログラムデザイン Steven J.Fleck / William J.Kraemer)

有酸素性の能力(持久力)は前述した通りインターバルトレーニングによっても改善されます。

ただし、インターバルトレーニングの運動強度は比較的高いため、通常は通常は計画的なトレーニングプログラムにおいて、既に一般的な有酸素運動の基礎を身に付けている人のみに用いられるトレーニング法である(Fardy 1997)とのこと。

最大酸素摂取量は有酸素性トレーニングを開始した後、半年から1年で遺伝的な発達の上限に到達すると推測されています。

よって、有酸性能力の更なる向上のためには、乳酸性作業閾値の向上、ランニング効率の改善、より優れたレース戦略の習得、精神面の強化、酸の緩衝能力の向上、ヘモグロビンや血液学的特性の改善、呼吸筋のフィットネスの改善を含む呼吸器系の適応、筋力とパワーの発揮能力の向上によるものだと考えられています(Laursen and Jenkins 2002 ; Markov et al.2001)。

※有酸素性能力を上げるための要素は、最大酸素摂取量だけではないですよ!ということが理解できればOKです。

Slawinskiら(2001)はトレーニングによってランナーの最大酸素摂取量に変化が見られなくても、ストライド頻度におけるばらつきが減少することで持久力が改善されると主張しています。

まとめ

今回の記事はいかがだったでしょうか?

従来、持久力のトレーニングは最大酸素摂取量によって説明されてきましたが、それ以外にも様々な要因がパフォーマンスアップに絡んでいます。

理想論をお伝えするのであれば、トレーニングは個々人によってプログラムする必要があるため、これさえやれば速くなる!という具体的な方法論はお伝えすることができません。

ですが、今回の科学的根拠に基づく記事があなたのランニングパフォーマンスをアップさせるために何かのお役に立てれば幸いです。