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トップランナー二人が手掛けるSPORTS SCIENCE LABはマラソン界にイノベーションを起こせるか?

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ランニングのパフォーマンスを高めるために、様々な情報、デバイスやサービスが増える中、市民ランナーであっても、手軽に専門的な環境を活用できるようになってきました。

ランナーズNEXTが注目したのは、2017年5月10日(水)にオープンしたSPORTS SCIENCE LABという施設。

ランニングパフォーマンスを高めるための専門的な測定とフィードバックが得られる施設としても注目ですが、現役のランナーで東京オリンピックでのメダル獲得を目指す八木勇樹氏と、早稲田大学時代八木氏と共に長距離ブロックのリーダーとして大学駅伝3冠(出雲・全日本・箱根)を果たし、実業団ランナーとしても活躍した三田裕介氏がコーチとしてタッグを組み、設立と運営に携わっていることでも注目されています。

今回は、同施設内でお二人からお話を伺うと共に、実際にどんなサービスが提供されているのかを筆者自身が体験するという企画でお届けしたいと思います。

SPORTS SCIENCE LABオープンに至るまでの背景

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SPORTS SCIENCE LABでは、ランニングを科学することが大きな特徴ですが、お二人が実業団に所属していた頃から、マラソンに関するトレーニングについて、もっと個々の特性に合わせてトレーニングメニューを作っていく必要があると感じていたそうです。

実は、実業団でのトレーニングは、個々で違うトレーニングを実施するというより、均一化されたトレーニングをチーム全体で実施することが殆どなんだとか。

お二人とも、競技力を向上させることを考えた時に、均一化されているトレーニングではなく、根拠に基づいたもの(データを取得して取り組む科学的なトレーニング)を取り入れた方が良いとは思っていたそうです。ですが、当時は組織として取り組まなければならないことと、自分のパフォーマンスを高めるために取り組んだ方が良いこととの間で葛藤があったと。

ちょうどその頃から、心拍管理や最大酸素摂取量(VO2max)AT値などの指標が日本でも一般的になってきたタイミングと重なり、

「自分達が実業団ランナーとして取り組んでいることは本当に正しいのか?」

「ランナーとして一歩先、二歩先のステージがあって、トレーニング内容によっては、もっとパフォーマンスを向上できるのではないか?」

という想いが増幅していき、「もっと生体データや科学的な部分にアプローチしてやっていきたいと思うようになりました。」とお二人は振り返ります。

八木さんは2016年の7月に独立して、三田さんと共にランニングチームを作って運営していく中で、プロランナーとしての競技活動以外で、しっかりとしたトレーニング理論やトレーニングのやり方に関するの普及や啓蒙をしていこうと考えていたと。

市民ランナー向けの練習方法とトップアスリートやトップランナー向けの練習を区別するのではなく、二人で正しい認識を広げていきたいという想いを体現できるものとして、まずは1つの拠点を持ちたいと考え、完成したのがSPORTS SCIENCE LABだったわけです。

二人がアスリートとして、コーチ(指導者)として活動するために、ベストであり他に類を見ない最新の設備・サービスが盛り込まれています。

ランニングアビリティ測定を実施!

SPORTS SCIENCE LABでは様々なサービスを受けることができますが、最初に受ける「ランニングアビリティ測定」を実際に行ってきましたので、その時の様子も踏まえて紹介していこうと思います。

まずは事前カウンセリングを行い、これまでのマラソンに関する振り返りと、今後の目標について話をした後、ウォーミングアップを行い、測定を開始します。

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酸素マスクを装着し、スタートする直前の様子。

マスクを装着するだけでも、アスリートになった気分を味わえます。

とは言え、これから最大限自分を追い込んでいくことを想像すると、緊張してしまいますよね・・・。

ウォーキングからスタートして、測定プロトコルに沿って徐々にスピードアップしていきます。

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ランニング開始です!もうこれ以上走れない(オールアウト)状態まで追い込んだら、左手に見える赤のストップボタンを押します。もしくは、スタッフに何らかの合図(右手を挙げるなど)をすることで、代わりに計測を終了してくれます。

もう走れないという状態まで追い込めない・・・という方でも、安心して下さい。ランニングアビリティ測定は追い込むことが目的ではなく、あくまで現状を把握することが本来の目的なので、仮に追い込めなくても計測はできますし、追い込み慣れていないということが現状の課題としても認識ができるわけです。

私の場合は、スタートしてから20分弱でオールアウト。なので、そこまで長時間計測するわけではありません。

が、汗は大量にかきます。

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10分間の休息を挟んで、もう一度トレッドミル上で、計測を行います。写真はマスクを付けていますが、2回目の計測はマスクを装着せずに、約5分間走ります。1回目と違うのは、オールアウトまで追い込むことはせずに、ほぼ一定のペースで5分ほど走り続けます。

2回目の計測は、フルマラソンの適性負荷を算出するために行うそうです。多少のペースの上げ下げはありますが、十分走り続けられる負荷です。

2回目の計測が終わると、一度シャワーを浴びて、フィードバックを受けます。

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計測をもとに、実際に算出されたデータです。

計測項目としては、計測中の最大心拍数、心肺機能を評価するVO2max、どの程度心肺機能を追い込めたか?の目安となるVO2 SCORE。フルマラソンでベストタイムを出すための適正心拍数(Aerobic Thleshold(AT)値)、フルマラソン適正ペース(AT値走速度)、フルマラソン予測タイム、スタミナ養成の観点で効果的な心拍数の下限値まで出してくれます。

現状を把握するという意味では、5,000m、10,000m、ハーフマラソン、フルマラソンの種目別記録目安を出してくれる他、トレーニング強度の目安も算出されます。

インターバル走であれば、400m、1,000mをそれぞれ何秒ペースでやるといいのか、レペティショントレーニング、ペース走、有酸素運動であればどの程度のペースで実施すれば良いのか?という指標が出るので、計測したデータを日頃のトレーニングに活かすことが可能です。

私の場合は目標値よりも測定結果が上回るという珍しい結果となったようですが、課題に対して的確にアドバイスをいただきました。

数値データがあることで、アドバイスに対する納得感も高くなります。

トップアスリートでありながら、運動生理学にも精通している人は非常に珍しく、SPORTS SCIENCE LABの価値の高さを感じました。

SPORTS SCIENCE LABのメインサービス

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ランニングのパフォーマンスUPを考えた時に、ただ闇雲にトレーニングを積むのではなく、課題に応じたトレーニングを実施していく必要があります。

なので、ランニングアビリティ測定は必ず最初に受ける必要があるわけです。

SPORTS SCIENCE LABではランニングに関する現在地把握にとどまらず、ランニングアビリティ測定によって得られた課題に応じた解決策が用意されているのも特徴の1つです。

低酸素トレーニング

国内でも徐々に普及し始めている低酸素トレーニング。トレーニング室内の酸素濃度を調節することで、平地でも高地トレーニングと同様のトレーニング効果が得られるというメリットがあります。低酸素トレーニングと聞くと、「トップアスリートだけが実施するトレーニング」というイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。

低負荷でのトレーニングでも、ランニングに必要なスタミナをつけることができるので、特に仕事で忙しいランナーが効率よく短期間で成果を上げること考えた際に、有効なトレーニングとも言えるでしょう。

SPORTS SCIENCE LABでは単に低酸素状態でトレーニングを実施するというわけではなく、ランニングアビリティ測定から得られたデータや目標と照らし合わせながら、個々に合わせて適正な酸素濃度と負荷を設定し、トレーニングを行うことが可能です。

専門の研究機関と連携することで、個々にカスタマイズされたトレーニングの処方が可能となります。

フォームチェック

ランニングパフォーマンスを決定する要素の1つに「ランニングエコノミー」があります。つまり、いかに効率よく走ることができるか?効率のいい走り=燃費が高いので、より速く・長く走ることが可能になるというわけです。

ランニングフォームの撮影し、動作中の癖や問題点を洗い出し、癖や問題点を解決するためのトレーニングを実施していきます。

パーソナルトレーニング

ランニングアビリティ測定やランニングフォームチェックによって得られたデータから、課題を解決するためのトレーニングをマンツーマンで実施していきます。施設内でのトレーニングをマンツーマンで実施するにとどまらず、練習メニューの作成から管理まで個々に応じたアドバイスをすることで、目標達成をサポート。

巷で散見されるランナーとしての経験のみに頼ったアドバイスではなく、計測したデータをもとにした科学的なトレーニングを実施することで、最短距離での目標達成が可能になります。

最大酸素摂取量や乳酸閾値などの専門的なデータは他の施設でも計測することは可能です。最近では、GPSウォッチでも予測することはできます。

ですが多くの場合、計測をして数値データを出すことはできても、そのデータにどんな意味があって、データをどうやって練習メニューに落とし込むかまでサポートしてくれるところは殆どありません。

さらに、陸上競技のトップを経験しているランナーから直接サポートが受けられるのは、SPORTS SCIENCE LABにしかない特徴です。

今後の展望について

最後に、今後の展望について、お二人に伺いました。

八木さんはアスリートとして競技で結果を出すこと、三田さんはSPORTS SCIENCE LABの代表として事業を成功させることはもちろんあるにせよ、それ以外にも目標があると。

それは、アスリートとして一流の選手を育てたい、日本のマラソンを強くしたいということ。

科学的なトレーニングを積み重ねた選手で、ケニアやエチオピアのランナーとも対等に戦える選手(アメリカのゲーレン・ラップ(Galen Rupp)選手のようにトラックの10,000mでもフルマラソンでもメダルが取れる選手)が育つ環境を作ること。

現状は、日本のマラソン界はアフリカ勢に大きく溝を空けられています。ランナーとして世界と戦うことを体現すると共に、今後のことを考えると、世界との差を埋めていくために必要なトレーニングを考え、実践し、陸上界全体を盛り上げていきたい。

才能のあるランナーが出てきた時に、色んな選択肢がある状態を作ることが、将来の陸上界にとって大切だとお話をされていました。

編集後記

最近ではGPSウォッチやパワーメーターなどのデバイスが登場&普及してきたことで、多くのランナーがデータドリブンなランニングをできる環境が整ってきました。とは言うものの、より正確に自分のパフォーマンスについて知るためには、心拍数の計測だけでなく換気量を測定することで、正確な現在地を知ること、そのデータをもとに一気通貫したサポートがあるのは大きな魅力です。

資金があれば、専門的な施設を作ることは可能です。ですが、私たち市民ランナーが専門的な施設を活用する上で大事なのはソフトの部分。つまり、データをどう解釈し、どう日頃のトレーニングに活かしていくのか?のサポートが大切になってきます。

そういう意味で、SPORTS SCIENCE LABが果たす役割は非常に大きく、今後のマラソン界、ランニング業界に一石を投じる施設になるのではないかと期待をしています。

特にお二人が日本の陸上界を変えたいという想いと、世界と戦えていない状況に対する危機感を持っていることが印象的でした。

■施設データ■

施設名:SPORTS SCIENCE LAB
所在地:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-24-23 胡桃の舎102
アクセス:https://sslab.tokyo/#access

JR「原宿駅」表参道口より徒歩10分
東京メトロ「明治神宮前駅」5番出口より徒歩5分
東京メトロ「表参道駅」A2番出口より徒歩7分

主なサービス:ランニングアビリティ測定、ランニングフォームチェック、低酸素トレーニング、パーソナルトレーニング

その他詳細については、こちらのサイトをご覧ください。

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ライター紹介 ライター一覧

浦中宏典

浦中宏典

ビジネスアスリート

データサイエンティスト


株式会社ストレッチサポート 代表取締役

1983年8月12日 長崎県長崎市生まれ


高校卒業後、大学でスポーツ科学(運動生理学・バイオメカニクス)を学び、トレーナーとしてスポーツの世界で実績を積む。


主な活動実績はJR東日本硬式野球部、サントリーサンゴリアス(ラグビー・トップリーグ)、国際テニストーナメント、世界陸上大阪大会、日本大学フェニックス(アメリカンフットボール)他。2011年、サハラマラソンランナーのトレーナーとしてトレーニングと身体のケアを担当。


2011年4月に会社を設立。

テクノロジーの力でスポーツアクティビティを今より楽しくすることで、「もっとチャレンジしたくなる世の中を創る」

ために事業活動を行っている。


2015年4月に開催されたサハラマラソンにランナー兼トレーナーとして出場・完走。

2017年9月にはアメリカ ユタ州を中心に開催されるGrand to Grand Ultra(7日間6ステージ273㎞のレース)に参加し完走を果たす。


自分自身も実践者として、常に挑戦を続けている。


<メディア掲載実績>

テレビ NHKまちかど情報室

雑誌 Tarzan(マガジンハウス)

雑誌 トレイルラン2017夏号(山と渓谷社)

新聞 長崎新聞

ラジオ 中央FM

専門誌 月刊トレーニング・ジャーナル 他多数


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